焼肉きんぐのマーケティング戦略|食べ放題・焼肉ポリス・ファミリー集客の仕組みを解説

焼肉きんぐは、テーブルオーダーバイキング形式の焼肉食べ放題専門店です。運営会社は株式会社物語コーポレーションです。本記事では、その業績やコンセプト、顧客体験、コース設計、出店戦略をまとめます。
さらに4P分析の視点から、商品、価格、流通、プロモーションを整理します。特急レーンや焼肉ポリスといった店舗運営の工夫、公式アプリの焼肉ポリス手帳、テレビCMやSNSを組み合わせた集客の仕組みまで解説します。
飲食店の集客やリピート促進を考える方に応用できる視点が多い内容です。物語コーポレーションは2025年6月期に過去最高業績を更新しました。2026年6月期第3四半期累計でも増収増益が続いています。焼肉きんぐは、伸びている外食チェーンの事例として、商品設計や店舗体験、リピート施策を分析しやすいブランドです。まずは戦略の土台となる業績から見ていきます。
焼肉きんぐを運営する物語コーポレーションの業績
焼肉きんぐを運営する株式会社物語コーポレーションは、愛知県豊橋市に本社を置く外食企業です。焼肉きんぐを主力に、丸源ラーメンや寿司・しゃぶしゃぶゆず庵など複数の業態を展開しています。焼肉食べ放題チェーンとして高い認知度を持っています。
2025年6月期の連結売上高は1,239億円でした。前期比16%増です。営業利益は92億円で前期比13%増でした。親会社株主に帰属する当期純利益は61億円で、前期比9%増でした。売上高と各利益が過去最高を更新しました。
※本セクションの業績は、焼肉きんぐ単体ではなく、運営会社である物語コーポレーション全体の連結業績です。
| 項目 | 2025年6月期(通期) | 前期比 |
|---|---|---|
| 連結売上高 | 1,239億円 | 16%増 |
| 営業利益 | 92億円 | 13%増 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 61億円 | 9%増 |
※数値は株式会社物語コーポレーションの決算発表に基づきます。一部は概数です。
好調の要因は複数あります。国内直営店の既存店売上高が前期を上回りました。客数も前年を上回っています。2025年6月期は焼肉きんぐで27店舗を出店しました。海外でも店舗数を伸ばしています。
直近でも成長は続いています。2026年6月期第3四半期累計で、売上高は1,121億300万円でした。前年同期比21.0%増です。営業利益は91億2,500万円で前年同期比31.4%増でした。親会社株主に帰属する四半期純利益は59億9,300万円で、前年同期比30.5%増でした。同四半期累計では焼肉きんぐで15店舗を出店しています。
会社は積極的な成長計画も掲げています。2030年6月期に連結売上高で2025年6月期比の約1.8倍となる2,200億円を目指すと発表しました。成長投資に約850億円を充てる方針です。国内外での事業拡大をはかります。
原材料価格の上昇という逆風もあります。これに対し、看板商品の磨き込みや期間限定フェアで価値を高めています。都市型価格の導入など価格改定も進めました。この収益基盤の上に、後述する各施策が積み上がっています。
焼肉きんぐのコンセプト
焼肉きんぐのコンセプトは明快です。家族みんなで楽しめる焼肉食べ放題の提供です。広い駐車場を備えたロードサイド店、食べ放題、席での注文という構造から、ファミリー層を主な対象としていると読み取れます。気兼ねなく満腹になれる体験を重視しています。
運営の根底にはスローガンがあります。「とびっきりの笑顔と心からの元気」です。店舗運営の指針として掲げられています。商品力とサービス力の両輪で他社との差別化を図っています。
テーブルオーダーバイキングという形式
焼肉きんぐの中核はテーブルオーダーバイキングです。タッチパネルで注文する仕組みです。注文した料理はスタッフが席まで運びます。お客様は食事中に席を立つ必要がありません。
この形式は通常のビュッフェと異なります。料理を取りに行く手間がないからです。ゆっくり過ごせる体験につながります。食べ放題でありながら落ち着いた時間を提供できます。
焼肉きんぐの顧客体験
焼肉きんぐの強さは体験設計にあります。注文のしやすさ、選ぶ楽しさ、再来店したくなる仕掛けです。ここでは顧客体験の要素を整理します。
コースを選び、好きなだけ注文する自由
食べ放題は複数のコースから選べます。手軽なコース、一番人気のコース、上位部位まで楽しめるコースなどです。予算や好みに応じて選択できます。価格は店舗により異なります。
注文はタッチパネルで完結します。食べたいものを食べたい分だけ頼めます。ドリンクもテーブルから注文できます。この自由度の高さが満足感の核です。お客様は能動的に食事を組み立てます。
SNSのUGCを生みやすい構造
豊富なメニューは情報拡散と相性が良いと考えられます。看板商品や期間限定フェアは写真映えします。自分の頼んだ皿を投稿したくなります。SNS上の投稿、つまりUGCが生まれやすいと考えられます。UGCはユーザー自身が作る投稿のことです。
UGCが集客につながる流れ
お客様が料理やフェアの様子を投稿します。その投稿を見た人が興味を持ちます。「次の休みに行きたい」と感じます。来店の動機が自然に生まれます。広告費だけに頼らず口コミが広がる構造です。
期間限定フェアは投稿の鮮度を保ちます。新しい話題が定期的に生まれるからです。ファンが繰り返し発信するきっかけにもなると考えられます。こうした仕組みがブランドの熱量を支えていると読み取れます。
焼肉きんぐのコース設計と看板商品
焼肉きんぐはコース設計に特徴があります。価格帯の異なる食べ放題コースを用意しています。入りやすい価格から上位コースまで段階があります。幅広い客層を取り込む設計です。
看板商品の打ち出しも明確です。五大名物と呼ばれる名物メニューがあります。きんぐカルビなどが代表例です。コースの満足度を象徴する存在です。
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| 複数の食べ放題コース | 予算や好みに応じた選択肢を提供 |
| 五大名物などの看板商品 | ブランドの象徴をつくり満足度を高める |
| 期間限定フェア | 来店のたびに新しい話題を提供する |
期間限定フェアも継続的に展開しています。韓国グルメとのコラボなどが実施されてきました。来店のたびに新しい発見があります。再来店の理由づくりになっています。
商品の品質維持にも力を入れています。肉の加工は専用の体制で行われています。厚みや切り方を細かく研究しています。原材料の調達環境が変わっても、品質を保つ工夫を重ねています。
焼肉きんぐの店舗運営の工夫
焼肉きんぐは店舗運営にも独自性があります。食べ放題の体験価値を高める仕組みです。代表例が特急レーンと焼肉ポリスです。飲食店全体の考え方は飲食店のマーケティング戦略の記事も参考になります。
特急レーンによる提供のスピード化
特急レーンは、一部店舗で導入されている配膳効率化の仕組みです。キッチンと客席をレーンでつなぎます。料理をよりスピーディーに席まで届けます。提供までの時間を短縮できます。
この仕組みには接客面の狙いもあります。配膳にかかっていた時間を接客に回せます。スタッフがお客様と向き合う余裕が生まれます。効率化と接客強化を両立する発想です。
焼肉ポリスによる接客の付加価値
焼肉ポリスは焼き方や食べ方を案内する役割です。専用の腕章を着けたスタッフが対応します。席を見回り、おいしい焼き加減を提案します。公式では「おせっかいすぎるおもてなし」と表現される接客です。
なぜ接客に投資するのか
食べ放題は価格で比較されやすい業態です。しかし接客を体験価値に変えれば、価格競争から抜け出せます。焼肉ポリスはその象徴です。記憶に残る体験が再来店につながります。
焼肉きんぐのアイドルタイムと回転の考え方
飲食店にはアイドルタイムがあります。来店客が少ない時間帯のことです。多くの店ではランチとディナーの間にあたります。この時間の使い方が収益を左右します。アイドルタイム対策の考え方は飲食店のアイドルタイム対策の記事もあわせてご覧ください。
焼肉きんぐはランチ営業にも対応しています。ランチ食べ放題コースを用意しています。一部店舗では平日もランチ営業を行っています。昼の時間帯にも来店動機をつくる工夫です。
食べ放題は滞在時間が比較的長い業態です。そのため回転よりも体験価値で勝負します。落ち着いて過ごせる時間が満足度を生みます。結果として再来店につながりやすくなります。これは滞在型の飲食店に共通する示唆です。
焼肉きんぐが伸びている理由
ここまでの要素を、成長の理由として整理します。焼肉きんぐの強さは一つの施策ではありません。複数の要素がかみ合っています。五つの観点で見ていきます。
ファミリー層に向いたロードサイド型の出店
焼肉きんぐは郊外のロードサイドを中心に広げてきました。広い駐車場を備えた店舗が多いです。家族が車で来店しやすい立地です。ファミリー層という大きな市場をつかみました。
食べ放題なのに席を立たなくてよい快適さ
テーブルオーダーバイキングが快適さを生みます。料理を取りに行く必要がありません。タッチパネルで注文し、席で受け取れます。食べ放題の慌ただしさを抑えた体験です。
焼肉ポリスによる体験価値の差別化
焼肉ポリスは接客を体験価値に変えました。焼き方の案内が満足度を高めます。価格だけで比較されにくくなります。記憶に残る体験が再来店を生みます。
コース設計で客単価と満足度を両立
複数のコースが客層の幅を広げます。入りやすい価格から上位コースまであります。看板商品や期間限定フェアが満足度を高めます。客単価と満足度を同時に追求しています。
アプリで再来店の動機をつくる
焼肉ポリス手帳が再来店を後押しします。来店が積み上がる楽しさがあります。誕生月クーポンも来店のきっかけになります。一度きりで終わらせない仕組みです。
焼肉きんぐの4P分析
ここからは4Pの視点で整理します。4Pとは製品、価格、流通、プロモーションのことです。マーケティングの基本フレームです。各要素がどう連動しているかを見ていきます。
Product 製品
製品の核は焼肉食べ放題の体験です。複数のコースと豊富なメニューを用意しています。五大名物などの看板商品があります。期間限定フェアで変化を持たせています。
テーブルオーダーバイキングという形式も製品の一部です。席で注文し、席で受け取れます。特急レーンや焼肉ポリスが体験を補強します。商品と体験が一体になっています。
Price 価格
価格戦略には明確な特徴があります。複数のコース価格を設定しています。入りやすい価格帯から上位価格帯まで段階があります。客層の幅を広げる設計です。
価格は立地によっても異なります。都市型店舗は郊外店より高めに設定される傾向があります。商圏ごとの条件に合わせた調整です。原材料費の上昇には、調達やメニューの見直しで対応しています。
食べ放題には心理的な価値もあります。総額が読みやすく、満腹まで楽しめます。価格に対する納得感を生みます。家族での利用がしやすい価格設計です。
Place 流通
流通の中心は店舗網です。焼肉きんぐは郊外のロードサイドを中心に成長してきました。広い駐車場を備えた店舗が多いです。ファミリー層が車で来店しやすい立地です。
ロードサイドから都市型への展開
近年は都市型店舗にも力を入れています。2022年に東京の浅草へ出店しました。その後も都心部への出店を進めています。都心部の生活者や観光客との接点拡大が狙いと読み取れます。
都市型店舗は経営の難易度が高いです。賃料が高く、採用も激戦だからです。それでも出店するのは認知拡大の意味が大きいからです。郊外で築いたブランドを都市部にも広げています。
- 郊外ロードサイドでファミリー層を取り込む
- 都市型店舗で都心部の生活者や観光客との接点を広げる
- 直営とフランチャイズの両輪で店舗網を拡大する
店舗以外の接点も整えています。公式アプリから席の予約ができます。来店前の利便性を高めています。待ち時間を減らす工夫です。
Promotion プロモーション
プロモーションは複数の手段を組み合わせています。テレビCMで幅広い層に認知を広げます。SNSで新メニューやキャンペーンを発信します。公式アプリで個別の来店を促します。
公式アプリの中心が焼肉ポリス手帳です。来店回数に応じて階級が上がる仕組みです。階級は巡査から警視総監まで10階級あります。特定の階級に到達すると、オリジナルアイテムや階級別クーポンがもらえます。ゲーム感覚で再来店を促すゲーミフィケーションです。
誕生月のクーポンなども配信しています。来店のきっかけを継続的につくります。アプリが顧客との接点を維持します。お客様との関係を長く保つ役割です。
| 施策 | 役割 |
|---|---|
| テレビCM | ファミリー層を中心に幅広く認知を獲得 |
| SNS発信 | 新メニューやフェアの即時告知とUGC誘発 |
| 焼肉ポリス手帳 | 来店回数に応じた特典で再来店を促進 |
| 誕生月クーポン | 来店のきっかけづくりと関係維持 |
これらの施策はばらばらではありません。CMが認知をつくります。SNSが話題を広げます。アプリが再来店を後押しします。店舗体験が満足度を高めます。要素が連動しています。
焼肉きんぐの戦略から学べるモデルケース
ここまでの内容を、自店に置き換えて考えます。規模が違っても応用できる視点があります。三つの観点で整理します。
体験の付加価値で価格競争を避ける
焼肉きんぐは接客と仕組みで体験を高めました。焼肉ポリスや特急レーンが好例です。自店でも価格以外の価値を設計できます。記憶に残る体験が再来店を生みます。
リピートを促す仕掛けをつくる
焼肉ポリス手帳は再来店の動機になりました。来店が積み上がる楽しさがあるからです。自店でもアプリやスタンプを活用できます。ゲーム感覚の仕掛けが有効です。
客層に応じて立地を使い分ける
焼肉きんぐは郊外と都市型を使い分けました。客層と目的が異なるからです。自店でも立地ごとに戦略を変えられます。狙う客層を明確にすることが要点です。
大手の施策を自店サイズに翻訳する
焼肉きんぐの施策は大規模に見えます。しかし本質は小さな店でも応用できます。高額な設備がなくても考え方は使えます。次の表に置き換えの例を整理します。
| 焼肉きんぐの施策 | 中小飲食店への応用 |
|---|---|
| 焼肉ポリス | 名物スタッフや焼き方・食べ方の案内で、初回客への体験価値をつくる |
| 食べ放題コース | 松竹梅のコース設計で客単価を引き上げる |
| 期間限定フェア | 季節メニューで再来店の理由をつくる |
| 焼肉ポリス手帳 | LINEのショップカードやスタンプ、来店回数特典に置き換える |
| 特急レーン | 高額設備でなくても、配膳導線や注文導線の改善に応用する |
| 都市型店舗の展開 | 立地ごとにメニューや客席、価格を変える |
大手だからできる施策と片づけないことが大切です。重要なのは、大手の設備をそのまま真似ることではありません。自店の客層に合わせて、初回来店客が迷わない案内、再来店したくなる特典、スタッフが接客に集中できる導線を設計することです。小さな工夫の積み重ねが集客につながります。
まとめ
焼肉きんぐのマーケティングは多層的です。テーブルオーダーバイキングが体験の土台です。特急レーンや焼肉ポリスが価値を高めます。コース設計と期間限定フェアが満足度を支えます。
4Pの視点では各要素が連動しています。コース価格と立地で客層を広げます。ロードサイドと都市型を使い分けます。CMとSNSとアプリが認知から再来店までを後押しします。
これらは規模を問わず応用できます。体験の付加価値、リピートの仕掛け、立地の使い分けが要点です。自店の集客を見直すヒントとしてご活用ください。
本記事の業績数値や施策内容は、公表時点の情報に基づいています。価格やメニュー、コース、クーポンの内容は変更される場合があります。最新情報は公式サイトおよび公式アプリをご確認ください。
