CoCo壱番屋のマーケティング戦略|カスタマイズ体験・4P分析・店舗集客の仕組みを解説

CoCo壱番屋のマーケティング戦略|カスタマイズ体験・4P分析・店舗集客の仕組みを解説

カレーハウスCoCo壱番屋は、カレー専門店として国内外で圧倒的なシェアを誇るチェーンです。運営会社は株式会社壱番屋です。本記事では、その業績やコンセプト、顧客体験、店舗限定メニュー、アイドルタイム対策をまとめます。

さらに4P分析の視点から、価格戦略、流通を支えるフランチャイズの仕組み、プロモーションを整理します。ブルームシステムと呼ばれる独自ののれん分け制度や、X中心のSNS運用、公式アプリのクーポン施策まで解説します。

飲食店の集客や店舗展開を考える方に応用できる視点が多い内容です。まずは戦略の土台となる業績から見ていきます。

目次

CoCo壱番屋の業績と市場での立ち位置

CoCo壱番屋を運営する株式会社壱番屋は、愛知県一宮市に本社を置く外食企業です。カレーハウスCoCo壱番屋を中心に、国内外で店舗展開を進めています。カレー専門店チェーンとして、国内外で高い認知度と店舗網を持っています。

2025年2月期の連結売上高は610億600万円でした。前期比10.6%増です。親会社株主に帰属する当期純利益は31億7,100万円で、前期比18.1%増でした。

続く2026年2月期の連結売上高は655億1,800万円でした。前期比7.4%増となりました。一方で利益面は減益です。営業利益は47億1,500万円で前期比4.3%減でした。親会社株主に帰属する当期純利益は25億6,200万円で、前期比19.2%減でした。

項目2025年2月期2026年2月期
連結売上高610億600万円(10.6%増)655億1,800万円(7.4%増)
営業利益49億2,500万円47億1,500万円(4.3%減)
親会社株主に帰属する当期純利益31億7,100万円(18.1%増)25億6,200万円(19.2%減)

※当期純利益は「親会社株主に帰属する当期純利益」を指します。数値は株式会社壱番屋の決算短信に基づきます。

売上高は価格改定の効果や国内外子会社の事業拡大で伸びました。2025年1月にはラーメン店チェーンを買収しています。カレー以外の事業も育てる方針です。

一方で利益は減益でした。米をはじめとする食材の仕入価格高騰が影響しています。物流費の増加や店舗の減損損失なども要因です。国内CoCo壱番屋では既存店ベースの客単価が前期比4.2%増となりました。その一方で、客数は前期比3.5%減でした。

なお、2027年2月期について会社は、連結売上高726億円、営業利益50億円、親会社株主に帰属する当期純利益27億2,000万円を見込んでいます。2026年2月期は増収減益でしたが、次期は売上拡大と利益回復を見込む計画です。

つまり、売上規模を伸ばしながらも、原価高と客数減への対応が重要な局面です。値上げによる客単価向上だけでは足りません。新規顧客の獲得や再来店を促す施策が、今後のマーケティング上の論点になります。この構造が、以降で見る各施策の背景です。

CoCo壱番屋のコンセプト

CoCo壱番屋のコンセプトは明快です。お客様一人ひとりの好みに応えるカレーの提供です。創業者は宗次德二氏です。「経営者がしていいのはお客様と従業員が喜ぶことだけ」という哲学を掲げてきました。

味づくりの基本は家庭の味を思わせるカレーです。毎日食べても飽きがこない味を目指しています。老若男女に愛される普遍性を重視しています。

品質を守るため、カレーソースは自社工場で生産しています。味のぶれを防ぐためです。安心と安全、そして安定供給に責任を持つ姿勢を明確にしています。

カスタマイズを前提にした設計

CoCo壱番屋の最大の特徴はカスタマイズ性です。ポークやビーフなど複数のソースを用意しています。辛さ、トッピング、ライスの量を自由に選べます。公式情報では、その組み合わせは12億通り以上とされています。

この発想は「こんなカレーが食べたい」という声への対応から生まれました。お客様の要望に一つずつ応えた結果が、現在の豊富なメニューです。商品設計そのものが顧客起点になっています。

CoCo壱番屋の顧客体験

CoCo壱番屋の強さは、商品ではなく体験にあります。自分だけの一皿をつくる楽しさを提供します。ここでは顧客体験の要素を整理します。

辛さとトッピングを選ぶ自由

来店客はまず辛さを選びます。甘口から段階的に辛さを上げられます。次にトッピングを選びます。ロースカツ、チーズ、野菜など種類が豊富です。ライスの量も調整できます。

この選択プロセスが体験の核です。お客様は受け身の食事ではなく、能動的な参加者になります。自分用に最適化した一皿が完成します。満足度と再来店の動機につながります。

SNSのUGCを生みやすい構造

カスタマイズ性は情報拡散とも相性が良いです。自分だけの組み合わせは、人に見せたくなります。SNS上の投稿、つまりUGCが生まれやすくなります。UGCはユーザー自身が作る投稿のことです。

UGCが集客につながる流れ

お客様が自分の一皿を投稿します。その投稿を見た別の人が興味を持ちます。「自分ならどう注文するか」を想像します。来店の動機が自然に生まれます。広告費をかけずに口コミが広がる構造です。

裏メニューやカスタマイズの研究は、ファンの楽しみにもなっています。書籍やWebで紹介される例もあります。この遊びの余白が、ブランドへの愛着を深めています。

CoCo壱番屋の店舗限定メニュー

CoCo壱番屋には期間限定メニューがあります。さらに特徴的なのが店舗限定メニューです。特定の店舗でしか食べられないカレーです。公式では、店舗がご当地食材を使い独自に開発した限定オリジナルメニューと説明されています。

店舗限定メニューはご当地色が強いものが多いです。地域の食材やブランド食材を使います。たとえば地域のブランド牛を使ったカレーがあります。ご当地グルメをカレーに仕立てた例もあります。

限定の種類特徴
期間限定メニュー季節や食材の入手時期に合わせて販売。話題性を継続的につくる
地域限定メニュー一定の地域内の複数店舗で提供。地域ごとの嗜好に対応
店舗限定メニュー特定店舗のみで提供。その店に行く理由をつくる

店舗限定メニューには戦略的な意味があります。第一に、その店舗を訪れる固有の理由になります。第二に、地域への貢献とつながります。地域に愛される店づくりの一環です。

限定メニューは入れ替わることもあります。販売を終えるメニューもあります。そのため「思い出の一皿に再会する旅」を楽しむファンもいます。希少性が来店動機を強めています。

CoCo壱番屋のアイドルタイム対策

飲食店にはアイドルタイムがあります。来店客が少ない時間帯のことです。多くの店ではランチとディナーの間にあたります。午後3時から5時ごろが代表例です。

この時間帯は売上が立ちにくいです。人件費だけがかさみやすい時間でもあります。CoCo壱番屋の一部店舗では、食事以外の滞在価値を高める工夫が見られます。代表例が店内への漫画の設置です。アイドルタイム対策の考え方は飲食店のアイドルタイム対策の記事もあわせてご覧ください。

店内の漫画という滞在価値

一部の店舗では、漫画を読みながら食後の時間を過ごせます。電源設備を備える店舗もあります。喫茶店のように使ってもらう発想と読み取れます。ただし設備の有無は店舗によって異なります。全店共通の施策として断定はできません。

なぜ滞在価値が成り立つのか

カレーは客単価が比較的高い業態です。一杯のコーヒーで長居する店とは収益構造が異なります。だから滞在時間が延びても成り立ちやすいといえます。空いている時間に来店を促す視点として参考になります。

こうした工夫は店舗体験の改善にもつながります。アイドルタイムを捨てずに活かす発想です。公式の戦略として断定はできませんが、店舗体験から読み取れる示唆として参考になります。

CoCo壱番屋の4P分析

ここからは4Pの視点で整理します。4Pとは製品、価格、流通、プロモーションのことです。マーケティングの基本フレームです。飲食店全体の考え方は飲食店のマーケティング戦略の記事も参考になります。

Product 製品

製品の核はカスタマイズできるカレーです。辛さ、トッピング、ライス量を自由に選べます。複数のソースを用意しています。店舗限定や期間限定でメニューに変化を持たせています。

商品の幅も広げています。パスタやラーメンなど別業態も展開しています。M&Aによる事業拡大も進めています。カレー一本足からの多角化です。

Price 価格

価格戦略には明確な特徴があります。地域別価格制を採用しています。地域によってメニュー価格が異なる仕組みです。商圏ごとの条件に合わせた設定です。

近年は段階的な値上げも実施しています。2024年夏には店頭メニューの値上げを行いました。原材料費や人件費の上昇が背景です。値上げで客単価を高める方針です。

客単価の引き上げには成果も出ています。客単価が伸びたことで、客数の減少を一定程度補いました。価格を起点にした収益管理が進んでいます。

Place 流通

流通の中心は店舗網です。そして店舗展開を支えるのが独自のフランチャイズの仕組みです。CoCo壱番屋ではブルームシステムと呼びます。社員のれん分け制度です。

ブルームシステムとは

まず正社員として壱番屋に入社します。安定した収入を得ながら経営を学びます。店舗運営や人材マネジメントのノウハウを習得します。その後に独立する制度です。「ブルーム」には開花という意味が込められています。

この制度には独立後の特徴もあります。独立後のロイヤルティは不要とされています。利益はオーナーの手取りになります。資金面では債務保証制度の利用も可能です。

制度は早い段階で始まりました。フランチャイズ1号店の開店からほどなく導入されています。人材育成を経営の中心に置いた仕組みです。公式サイトでは、2025年6月現在の直近10年間のデータとして、約8割のオーナーが経営を続けていると紹介されています。

  • 未経験からでも経営ノウハウを段階的に学べる
  • 本部と加盟店が育成を通じて強い関係を築く
  • 高い継続率が安定した店舗網につながる

店舗以外の流通チャネルも整えています。テイクアウトと宅配に対応しています。公式アプリから注文できます。来店以外の接点も広げています。

Promotion プロモーション

プロモーションは流通の仕組みとも結びついています。ブルームシステムは独立支援制度として注目されます。働き方や生き方の選択肢として語られます。制度そのものが話題を生み、ブランドの発信材料になります。

SNSの中心はXです。公式アカウントが情報を発信しています。期間限定メニューやキャンペーンを告知します。テレビ番組やタレントとの連動企画も展開しています。

公式アプリも重要な接点です。アプリ上でクーポンを定期的に配布しています。トッピングの割引クーポンなどが代表例です。たとえば2025年には、アプリ内でスクラッチに挑戦する企画が実施されました。貯めたポイントに応じてトッピング無料クーポンと交換できる内容でした。

施策役割
X中心のSNS発信限定メニューやキャンペーンの即時告知
公式アプリのクーポン来店動機づくりと再来店の促進
店舗限定メニュー話題性とUGCの誘発
ブルームシステム独立支援としての発信材料

これらの施策はばらばらではありません。商品のカスタマイズ性がUGCを生みます。SNSとアプリが情報を届けます。値上げと客単価管理が収益を支えます。要素が連動しています。

CoCo壱番屋の戦略から学べるモデルケース

ここまでの内容を、自店に置き換えて考えます。規模が違っても応用できる視点があります。三つの観点で整理します。

体験の設計で再来店をつくる

CoCo壱番屋はカスタマイズで体験を設計しました。お客様が能動的に参加する仕組みです。自店でも選ぶ楽しさを設計できます。トッピングやサイズの選択肢が一例です。

空き時間を価値に変える

アイドルタイム対策は発想の転換でした。空いている時間を捨てずに活かしました。自店でも閑散時間の使い方を見直せます。滞在価値を高める工夫が鍵です。

限定で来店の理由をつくる

店舗限定メニューは来店動機になりました。希少性が人を動かします。自店でも限定や季節の打ち出しが有効です。SNSで話題になりやすい設計が望ましいです。

まとめ

CoCo壱番屋のマーケティングは多層的です。カスタマイズによる顧客体験が土台にあります。店舗限定メニューが来店理由と話題を生みます。アイドルタイム対策が空き時間を価値に変えています。

4Pの視点では各要素が連動しています。地域別価格と値上げで収益を管理します。ブルームシステムが安定した店舗網を支えます。XとアプリがUGCやクーポンで集客を後押しします。

これらは規模を問わず応用できます。体験設計、空き時間の活用、限定の打ち出しが要点です。自店の集客を見直すヒントとしてご活用ください。

本記事の業績数値や施策内容は、公表時点の情報に基づいています。価格やメニュー、クーポンの内容は変更される場合があります。最新情報は公式サイトおよび公式アプリをご確認ください。

小形 洸太

この記事を書いた人

小形 洸太

マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。

集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。

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