はま寿司のマーケティング戦略とは?直近10年の施策と3C・4P分析

はま寿司は、ゼンショーホールディングスのグループ企業が展開する寿司チェーンです。
近年は国内だけでなく海外でも積極的に出店しており、2026年3月末時点の店舗数は国内664店舗、海外198店舗の合計862店舗に達しました。
はま寿司の成長を支えているのは、期間限定フェアやテレビCMだけではありません。
親会社であるゼンショーホールディングスの食材調達力、郊外を中心とした店舗展開、注文商品を直接届ける高速ストレートレーン、受付や注文のデジタル化など、複数の仕組みが組み合わされています。
回転寿司業界を代表するスシローと比べても、成長を支える仕組みには違いがあります。
スシローがネタや商品開発、デジローを使った店舗体験を前面に出しているのに対し、はま寿司はゼンショーグループの調達・物流基盤と積極的な出店を生かし、「身近で利用しやすい寿司店」を作ってきました。
本記事では、はま寿司の業績と直近10年間のマーケティング施策を確認したうえで、回転寿司・レール寿司業界における3C分析と4P分析を行います。
はま寿司の業績
はま寿司を運営する株式会社はま寿司は、ゼンショーホールディングスのグループ企業です。
業績を確認する際に注意したいのが、ゼンショーホールディングスは、国内のはま寿司単体ではなく「グローバルはま寿司」という事業区分で業績を公表している点です。
そのため、以下の売上高と営業利益には、日本国内だけでなく海外のはま寿司事業も含まれます。
2026年3月期の売上高は3,202億円
ゼンショーホールディングスが公表した、2026年3月期のグローバルはま寿司の業績は次のとおりです。
| 項目 | 2026年3月期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,202億77百万円 | 28.9%増 |
| 営業利益 | 267億71百万円 | 25.4%増 |
| 国内店舗数 | 664店舗 | ― |
| 海外店舗数 | 198店舗 | ― |
| 合計店舗数 | 862店舗 | ― |
2026年3月期は、国内外で132店舗を出店し、5店舗を退店しました。店舗数は前期末から127店舗増えています。
前年度にあたる2025年3月期の売上高は約2,485億円、営業利益は約214億円でした。
2025年3月期の売上高は前期比26.1%増、2026年3月期は28.9%増となっており、2期連続で20%を超える増収となっています。
急速な出店が、売上成長を支えていることがわかります。
ただし、売上高の伸び率に対して営業利益の伸び率はやや低く、営業利益率もわずかに低下しています。
出店費用や海外事業の拡大など、成長に向けた投資が増えている可能性があります。
国内スシローとは単純比較できない
スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIESは、2025年9月期に国内スシロー事業で2,659億3百万円の売上収益を計上しました。(参考:スシローのマーケティング戦略を解説|人気の理由・3C分析・4P分析までわかりやすく紹介)
数字だけを見ると、グローバルはま寿司の売上高3,202億円が上回っています。
しかし、はま寿司の数字には海外事業が含まれている一方、2,659億円は国内スシロー事業だけの数字です。
さらに、両社には次の違いがあります。
- 決算期が異なる
- 売上高と売上収益で会計上の表記が異なる
- 国内事業と海外事業の開示区分が異なる
- グループ内で含まれる事業範囲が異なる
したがって、この数字だけで、はま寿司とスシローのどちらが国内回転寿司市場で上位なのかを判断することはできません。
業績を比較する場合は、売上だけでなく、国内店舗数、既存店売上、客数、客単価、利益率などを同じ条件にそろえる必要があります。
はま寿司が直近10年に行ってきたマーケティング施策
はま寿司のマーケティングは、広告や値引きだけで構成されているわけではありません。
受付、注文、商品提供、店舗デザインなど、来店前から会計までの顧客体験全体を改善してきました。
Pepperを使った受付・座席案内の自動化
はま寿司は2016年から、人型ロボット「Pepper」を受付や座席案内に活用する実証実験を始めました。
来店客がPepperの画面に人数や希望する座席を入力すると、空席状況に応じて座席を案内する仕組みです。
2016年10月のウィラ大井店を皮切りに、真岡店や浦和店などで実証実験を行い、その後、導入店舗を拡大しました。
2017年12月には、当時の全店舗への導入を完了しています。
この施策の目的は、ロボットを使った話題づくりだけではありません。
受付業務を自動化することで、従業員が会計、片付け、商品提供などの業務に対応しやすくなります。
広告によって来店客を増やしても、受付や座席案内に時間がかかれば、待ち時間が長くなり顧客満足度が下がります。
はま寿司は集客だけでなく、混雑時に顧客を受け入れる店舗側の処理能力も改善してきたと考えられます。
平日の一皿90円で価格イメージを形成
はま寿司は長年、平日に対象商品を一皿90円+税で販売してきました。
2021年11月にも、「平日寿司一皿90円+税キャンペーン」を実施しています。
当時、多くの回転寿司チェーンが一皿100円前後の商品を中心としていた中で、90円という価格はわかりやすい来店理由になりました。
特に、価格を重視するファミリー層、学生、シニア層などに対して強い訴求力があります。
また、平日に価格を下げることで、土日や祝日に集中しやすい需要を平日に分散させる効果も期待できます。
現在は、すべての対象商品を恒常的に90円で提供する方法ではなく、期間限定の100円商品と、150円以上の商品を組み合わせる価格構成へ変化しています。
ただし、はま寿司が平日90円を終了した理由を公式に明言した資料は確認できません。
そのため、原材料費や人件費の上昇が直接的な終了理由だったと断定することはできません。
有名声優を起用した店内ナレーション
はま寿司は、注文用タッチパネルや店内放送に有名声優を起用してきました。
2020年には「有名声優ナレーション」第7弾として、花江夏樹さんを起用しています。
花江さんは、注文用タッチパネル、店内放送、テレビCMのナレーションを担当しました。はま寿司の公式SNSでも、声優ナレーションや新商品に関する情報を発信しています。
一般的な飲食店のタッチパネル音声は、注文操作や商品の到着を知らせるための機能です。
はま寿司は、その音声に有名声優を起用することで、注文体験そのものをコンテンツに変えています。
声優のファンに来店理由を作れるだけでなく、来店客がナレーションについてSNSで発信することも期待できます。
店舗内の設備を、広告や情報発信の接点として活用した施策といえるでしょう。
選べる声優ナレーションを導入
2024年には、複数の声優から好きなナレーションを選べる「選べる!タッチパネル声優ナレーション!」を導入しました。
従来は、はま寿司側が設定した声優の音声をすべての利用者が聞く仕組みでした。
選択式にすることで、顧客が自分の好みで店内体験を変えられるようになっています。
これは、単に有名人を広告に起用する施策とは異なります。
注文端末の中に選択肢を設け、顧客が参加できる体験に変えている点が特徴です。
期間ごとに声優を追加すれば、再来店やSNS上での話題化にもつながります。
2021年にブランドと店舗デザインを刷新
はま寿司は2021年、ロゴ、店舗デザイン、ユニフォームなどを刷新しました。
新しいロゴでは、従来の「は」のシンボルマークや波の意匠、カラーを見直し、海外展開を意識した「HAMA-SUSHI」の英字表記を加えています。
店舗も、木目を基調とした現代的で清潔感のあるデザインへ変更しました。
このブランド刷新は、従来の「安い回転寿司」というイメージだけでなく、品質、清潔感、利用しやすさも伝える取り組みと考えられます。
また、海外店舗でも共通して使いやすいロゴに変更することで、グローバルブランドとしての統一感も作っています。
高速ストレートレーンの導入
はま寿司は、従来の回転レーンから、注文商品を座席まで直接届ける高速ストレートレーンへの切り替えを進めてきました。
高速ストレートレーンでは、タッチパネルで注文された商品が、レーンを通じて直接座席まで届けられます。
公式には、注文した商品を素早く届け、より新鮮な状態で楽しめる仕組みとして説明されています。
注文された商品を中心に製造するため、従来の回転レーンと比べて、商品廃棄を抑えやすいと考えられます。
また、不特定多数の顧客の前を商品が流れ続けないため、他の利用客が商品に触れるリスクも小さくなります。
ただし、廃棄量の削減効果や在庫管理への影響について、はま寿司が具体的な数値を公表しているわけではありません。
そのため、記事ではストレートレーンの機能と、そこから考えられる効果を分けて見る必要があります。
テイクアウト商品の拡充
2020年以降、飲食店では店内飲食以外の売上を確保する必要性が高まりました。
はま寿司も、寿司の盛り合わせだけでなく、持ち帰り用の海鮮丼、寿司弁当、手巻き寿司セットなどを展開しています。
丼商品は、一人でも注文しやすく、ランチや自宅での食事にも利用できます。
複数人向けの寿司盛り合わせだけでは、単身者や少人数世帯には量が多くなる場合があります。
一人用の商品を増やすことで、家族で店舗を利用する顧客だけでなく、単身者やテイクアウト利用者にも接点を広げています。
テレビCMと「はまい!」によるブランド訴求
はま寿司は、川口春奈さんを起用したテレビCMを継続的に展開しています。
CMでは、ブランド名を強く連想させる「はまい!」という短いフレーズを使用しています。
短く覚えやすい言葉を繰り返すことで、商品の魅力とはま寿司のブランド名を結び付けています。
なお、「はまい!」という言葉の正式な由来を説明した公式資料は確認できません。
そのため、「はま寿司」と「うまい」を組み合わせた造語と断定するのではなく、ブランド名を連想させるフレーズとして評価するのが適切です。
期間限定フェアとテレビCMを連動
はま寿司では、地域の食材や高価格帯のネタを使った期間限定フェアを継続的に開催しています。
例えば、2021年の「九州うまいもん祭り」では、長崎県産の羽がつおを100円、九州産かんぱちを150円で提供しました。
同年の「北海道&東北うまいもん祭り」では、北海道産や東北産の魚介類を使った商品を販売しています。
地域名や食材名をフェアのタイトルに使うことで、通常メニューとの違いがわかりやすくなります。
100円の商品は来店のきっかけになり、150円以上の商品やサイドメニュー、デザートを追加注文してもらうことで客単価を高められます。
はま寿司は、低価格商品だけで利益を得るのではなく、価格の異なる商品を組み合わせることで、来店客数と客単価の両立を図っていると考えられます。
回転寿司・レール寿司業界の3C分析
3C分析とは、Customer、Competitor、Companyの3つの視点から、企業の事業環境を整理する方法です。
Customer:顧客と市場環境
回転寿司の中心顧客は、子ども連れのファミリー層です。
一皿ごとに商品を選べるため、家族それぞれが好きなネタを注文できます。
寿司だけでなく、ラーメン、うどん、揚げ物、ポテト、デザートなども提供されており、魚をあまり食べない子どもとも利用しやすい業態です。
近年は、タッチパネル注文やセルフ会計が普及したことで、一人客も利用しやすくなっています。
従業員とのやり取りを最小限にして、注文から会計まで進められるためです。
また、写真付きのタッチパネルや多言語対応は、訪日外国人にも利用しやすい仕組みです。
一方、回転寿司業界では、原材料費、物流費、人件費などの上昇が課題となっています。
消費者の節約意識が強い中で、単純に価格を引き上げれば、来店頻度が下がる可能性があります。
そのため、大手チェーン各社は、100円台の商品を残しながら、高価格帯の商品やサイドメニューを増やしています。
現在の回転寿司市場では、「最も安い店」を競うだけでなく、「支払った価格に対して満足できるか」が重要になっています。
Competitor:競合企業
はま寿司の主な競合には、スシロー、くら寿司、魚べい、かっぱ寿司などがあります。
スシロー
スシローは、ネタや商品開発、期間限定フェアを前面に出した訴求に強みがあります。
また、大型のタッチディスプレイ上で寿司が流れる様子を再現する「デジロー」の導入を進めています。
2025年9月期末時点でデジローの導入店舗は123店舗となり、2026年9月期第1四半期末には国内144店舗まで拡大しました。
スシローは、従来の回転寿司が持っていた「商品を見ながら選ぶ楽しさ」を、デジタル技術で再現しています。
注文商品を素早く届ける機能性を重視するはま寿司とは、デジタル化の見せ方が異なります。
くら寿司
くら寿司は、食べ終わった皿を投入口に入れるとゲームに参加できる「ビッくらポン!」など、ファミリー向けの体験に強みがあります。
アニメやキャラクターとのコラボレーションも多く、景品や限定商品を目的とした来店を作りやすい企業です。
寿司を食べることに加えて、ゲームや景品を楽しめることが、他社との差別化になっています。
魚べい
魚べいは、注文された商品を高速レーンで直接届ける方式を早くから採用してきました。
現在のはま寿司と同じように、従来型の回転レーンを中心としない店舗運営を行っています。
魚べいなどを運営するGenki Global Dining Conceptsは、国内外で複数の寿司ブランドを展開しています。
ただし、同社が公表する店舗数には魚べい以外のブランドも含まれるため、企業全体の店舗数を魚べい単体の店舗数として扱うことはできません。
魚べいは、提供スピードと注文型レーンの使いやすさにおいて、はま寿司と競合しやすいブランドです。
Company:はま寿司の強みと課題
はま寿司の大きな強みは、ゼンショーグループのMMDを利用できることです。
MMDとは、原材料の調達から製造・加工、物流、店舗での販売までを、一貫して企画・設計・運営する仕組みです。
ゼンショーは、MMDによって、安全で高品質な原材料を安定的かつ適正な価格で調達できると説明しています。
はま寿司は、寿司ブランド単独で食材を調達するのではなく、ゼンショーグループの規模や物流網を活用できます。
店舗数を増やしながら、一定の品質と価格を維持するうえで重要な基盤です。
また、国内664店舗という店舗網も強みです。
郊外のロードサイドを中心に、駐車場を備えた店舗を展開することで、ファミリー層が自動車で利用しやすい環境を作っています。
一方、課題は、スシローと比較したときに、寿司そのものの特徴や商品へのこだわりが伝わりにくいことです。
はま寿司には、商品に合わせて選べる複数の醤油、店舗で切り付けるネタ、期間限定の地域商品などがあります。
しかし、消費者からは「価格が手頃」「近くにある」「レーンが便利」という印象を持たれやすく、商品力がブランドの中心として認識されているとは限りません。
今後は店舗数や利便性だけでなく、「はま寿司でなければならない理由」を、商品や体験によってさらに明確にする必要があります。
はま寿司の4P分析
4P分析とは、Product、Price、Place、Promotionの4つの視点から、企業のマーケティング戦略を整理する方法です。はま寿司を4P分析すると以下のようになります。
Product:寿司を中心とした幅広い商品構成
はま寿司の主力商品は、手頃な価格の握り寿司です。
マグロ、サーモン、エビなどの定番商品に加えて、中とろ、ウニ、カニ、地域の魚介類などを期間限定で販売しています。
また、商品や好みに合わせて選べる複数の醤油を用意しています。
醤油を選べる仕組みは、大きな設備投資を必要とせず、顧客が自分で味の違いを楽しめる施策です。
ラーメン、うどん、茶碗蒸し、揚げ物、デザートなどのサイドメニューも充実しています。
寿司だけを提供する専門店というより、家族それぞれが好きな商品を選べる「寿司を中心としたファミリーレストラン」に近い商品構成です。
Price:低価格商品と高付加価値商品の組み合わせ
はま寿司は、100円台の商品を中心としながら、150円以上の商品や高価格帯の商品も提供しています。
100円商品は、テレビCM、SNS、店頭で訴求しやすく、来店のきっかけになります。
一方、中とろ、ウニ、カニなどの高価格帯商品や、サイドメニュー、デザートを組み合わせることで、客単価を確保できます。
かつての平日90円施策は、「はま寿司は手頃」という価格イメージを形成しました。
現在は、そのイメージを残しながら、商品ごとに複数の価格を設定する構成へ変化しています。
すべての商品を安くするのではなく、集客商品と利益を確保する商品を組み合わせる価格戦略です。
Place:郊外型店舗と国内外への積極出店
はま寿司は、郊外のロードサイドを中心に店舗網を広げてきました。
駐車場を備えた店舗が多く、家族が自動車で来店しやすい点が特徴です。
2026年3月末時点の店舗数は、国内664店舗、海外198店舗の合計862店舗です。
国内では、生活圏の中で利用できる身近な寿司チェーンとして店舗を増やしています。
海外でも出店を進めており、2026年3月期だけで国内外合わせて132店舗を出店しました。
ブランド刷新でロゴに英字表記を加えたことからも、海外展開を重要な成長戦略としていることが読み取れます。
Promotion:テレビCM・フェア・SNS・店内体験の連動
はま寿司のプロモーションは、テレビCM、期間限定フェア、SNS、タッチパネル、店内放送などを組み合わせています。
テレビCMでは、川口春奈さんと「はまい!」というフレーズを使い、商品とはま寿司のブランド名を結び付けています。
店舗では、CMや公式サイトで紹介した期間限定商品を実際に注文できます。
SNSでは、フェアや新商品、有名声優ナレーションに関する情報を発信しています。
さらに、タッチパネルや店内放送でも声優を起用し、来店後の体験を話題に変えています。
広告、商品、店舗体験を別々に考えるのではなく、一つの企画を複数の接点で伝えている点が特徴です。
スシローとはま寿司のマーケティング戦略の違い
スシローとはま寿司は、どちらも手頃な価格帯の商品を中心とする寿司チェーンです。
ただし、強みの優先順位と、顧客への見せ方には違いがあります。
| 比較項目 | スシロー | はま寿司 |
|---|---|---|
| ブランド訴求 | ネタ、商品開発、価格以上の満足感 | 手頃さ、身近さ、利用しやすさ |
| 店舗体験 | デジローで商品を見ながら選ぶ楽しさを再現 | 高速ストレートレーンで注文商品を直接提供 |
| 成長基盤 | スシローブランドの商品力と国内外展開 | ゼンショーの調達・製造・物流基盤 |
| 主な立地 | 郊外、都市部、商業施設など | 郊外ロードサイドを中心に展開 |
| プロモーション | 商品フェア、コラボ、テレビCM | 商品フェア、テレビCM、声優、店内放送 |
| ファミリー施策 | デジタルレーンやキャラクター企画 | 幅広いメニュー、価格帯、声優ナレーション |
スシローは、ネタや商品開発を中心に「寿司を食べに行く理由」を強く訴求しています。
デジローも、効率化だけでなく、回転寿司の商品を見ながら選ぶ楽しさを残す取り組みです。
一方のはま寿司は、ゼンショーグループの供給網、積極的な出店、高速ストレートレーンなどを組み合わせ、「身近で利用しやすい寿司店」を作っています。
ただし、スシローも省人化や出店を進めており、はま寿司も商品開発やテレビCMに力を入れています。
両社の戦略が完全に分かれているわけではありません。
違うのは、マーケティングで最も強く見せている価値と、成長を支える経営資源です。
まとめ
はま寿司のマーケティング戦略は、単なる低価格戦略ではありません。
親会社であるゼンショーホールディングスのMMDを活用し、食材の調達、製造、物流、店舗運営までを一体化しています。
店舗では、Pepperを使った受付、高速ストレートレーン、タッチパネルなどを導入し、顧客の待ち時間や従業員の業務負担を抑えやすい環境を作ってきました。
さらに、テレビCM、有名声優のタッチパネル音声、期間限定フェア、SNSなどを組み合わせ、幅広い世代との接点を作っています。
スシローが、ネタや商品開発を中心に「寿司を食べに行く理由」を訴求するブランドだとすれば、はま寿司は、ゼンショーの供給網と店舗運営の効率化を生かし、「身近で利用しやすい寿司店」を広げてきたブランドと整理できます。
2026年3月期のグローバルはま寿司の売上高は3,202億円を超え、国内外の店舗数も862店舗まで増加しました。
今後の課題は、店舗数や価格、利便性だけでなく、「はま寿司だから食べたい」と思わせる商品や体験を、どこまで明確なブランド価値として定着させられるかです。
低価格商品、高付加価値商品、店舗体験、海外展開をどのように組み合わせるかによって、回転寿司業界における競争力はさらに変化していくでしょう。
