飲食店がAIを導入するとここまで変わる!導入を検討すべきAIの種類を解説

飲食店でも、売上分析、配膳、電話予約、販促・事務など、幅広い業務でAIの恩恵を受けられます。限られた人数で営業を続けやすくし、接客や改善活動に使える時間を増やすことができます。
大切なのは、自店の負担や機会損失を見つけ、効果の大きい業務から段階的に導入することです。
「人手が足りず、接客が慌ただしくなる」「忙しい時間に電話を取れない」「売上データはあるものの、分析する時間がない」。飲食店を経営していると、改善したくても手を付けられない業務が積み重なります。
こうした課題を解決する選択肢の一つが、AIの導入です。現在は、売上分析を支援するPOSレジ、料理を運ぶ配膳ロボット、電話予約に対応するAIなど、飲食店の業務に組み込んで使える製品が提供されています。
この記事では、飲食店の経営者・運営責任者に向けて、導入を検討したいAIの種類と、選び方、導入時の注意点を解説します。
飲食店でもAIを導入する恩恵は大きい
飲食店は、料理や接客など、人が担う仕事の多い業種です。それでも、AIで支援できる業務は少なくありません。
例えば、料理を運ぶ往復作業をロボットに任せれば、スタッフが客席の様子を確認する時間を増やせます。電話予約をAIが受け付ければ、目の前のお客様への対応を中断する回数を減らせます。売上分析や資料作成にAIを使えば、店長が閉店後に行っていた事務作業の負担も軽くできます。
つまり、AI導入の効果は、人件費の削減だけではありません。限られた人数で営業しやすくすること、予約の取りこぼしを減らすこと、接客や改善活動に時間を使えるようにすることにも価値があります。
一方で、電話がほとんど鳴らない店に電話AIを導入しても、大きな効果は期待できません。厨房と客席が近い小規模店では、配膳ロボットより、売上集計の自動化の方が役立つ場合もあります。
「どのAIが優れているか」だけでなく、「自店のどの問題を解決するか」から考えることが重要です。
飲食店向けのAIにはどんなものがあるの?
飲食店で検討しやすいAIとして、ここでは4種類を紹介します。それぞれが支援する仕事と、自店の課題を照らし合わせてみましょう。
表は横にスクロールできます。
| AIの種類 | 主に支援する仕事 | 導入を検討したい状況 |
|---|---|---|
| AI連動型のPOSレジ | 売上・商品データの分析 | 数字は集まっているが、改善に活用できていない |
| AI配膳ロボット | 配膳・下膳の運搬 | ホールスタッフの往復作業が多い |
| AI電話受付・予約対応 | 電話応対、空席確認、予約登録 | 混雑時や営業時間外の電話を取り逃している |
| ChatGPT・Codex | 分析、事務、販促物の制作、簡単な自動化 | 店長や責任者に事務・制作業務が集中している |
AI連動型のPOSレジ
AI連動型のPOSレジは、POSに蓄積された売上や商品の販売データを使い、分析や改善策の検討を支援する仕組みです。
通常のPOSでも、商品別売上や時間帯別売上などを確認できます。しかし、数字を見て「何が起きているのか」「次に何を試すべきか」を考えるには、時間と経験が必要です。AIは、その読み取りを補助します。
例えば、集客のカチプロが紹介しているPOSレジの一つ、funfoには「funfo AI」があります。公式の機能紹介では、売上や商品の販売データを分析し、結果の説明や改善策を提示する機能が案内されています。LINEのユーザー訪問データを使った、新規客・リピーターの来店状況の分析も対象です。
経営者にとっての利点は、分析の出発点を作りやすくなることです。売上表を一から読み解く代わりに、AIの分析を確認しながら、注目する商品や時間帯を絞り込めます。
活用のイメージ
閉店後に売上表を眺めて終わっていた状態から、商品の動きをAIで整理し、翌週に試すセットメニューや販売方法を検討する状態へ変えていきます。
ただし、AIが示す売上変動の理由が正しいとは限りません。近隣イベント、悪天候、臨時休業、スタッフ不足など、データに十分反映されていない事情もあるためです。AIの分析を現場の状況と照合し、実行する施策は店側で決めましょう。
funfoのAI機能や利用量はプランによって異なります。導入時は、使いたい機能が契約プランに含まれるかを確認してください。funfoの公式料金・機能を見る
AI配膳ロボット
AI配膳ロボットは、人や障害物を避けながら、指定した場所まで料理や食器を運ぶロボットです。
厨房と客席の往復が多い店では、運搬がホール業務の大きな負担になります。配膳ロボットに運搬を任せることで、スタッフは料理の説明、追加注文への対応、客席の片付けなどに時間を使いやすくなります。
代表的な製品には、次のようなものがあります。製品名から公式情報を確認できます。
表は横にスクロールできます。
| 製品 | 主な特徴 | 通過幅・積載量の公表値 |
|---|---|---|
| BellaBot | ネコ型の配膳ロボット。複数卓への配送や下膳に活用できる | 通過幅70cm以上 最大40kg |
| KettyBot Pro | 小型の機体に大型ディスプレイを搭載。配膳に加え、案内や広告表示にも活用できる | 通過幅55cm以上 最大30kg |
| Servi アイリスエディション | 配膳・下膳を支援。料理を取り出した後、自動で戻る重量センサーを搭載 | 通過幅は最短60cm 最大30kg |
通過幅は公表値であり、実際に必要な幅は利用環境や運用方法によって異なります。
配膳ロボットがホール業務をすべて代替するわけではありません。料理を載せる作業や、到着後の受け渡し方法を決める必要があり、お客様への気配りや個別の要望への対応も残ります。
導入前には、通路幅だけでなく、椅子を引いた状態、曲がり角、床の段差、スタッフとのすれ違いまで確認しましょう。カタログ上は通行できても、営業中に使いやすいとは限らないため、実店舗で試すことが大切です。
費用は、本体代や月額料金に加え、初期設定、保守、契約期間、故障時の交換対応まで含めて比較します。
AI電話受付・予約対応
AI電話受付は、スタッフに代わって電話に応対する仕組みです。対応する予約台帳と連携できる製品では、空席を確認し、予約登録まで自動化できます。
飲食店では、電話が鳴っていても、会計や料理提供を優先せざるを得ない場面があります。営業時間外の電話には、そもそも対応できない店もあるでしょう。電話AIは、こうした予約機会の損失を減らすために活用できます。
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| サービス | 主な対応内容 | 導入時の確認点 |
|---|---|---|
| AIレセプション AIスタッフ「さゆり」 | 24時間365日の電話応対、席のみ予約の受付、ebicaへの自動登録 | ebicaの導入が必要。コース予約やその他の問い合わせは店舗転送などで対応 |
| トレタ予約番 | 予約受付・配席の自動化、店舗に合わせた応対設定、店舗への電話転送 | 予約台帳との利用条件を確認。公式掲載上、キャンセル対応は予約番で受け付けた予約が対象 |
| IVRy(アイブリー) | 空席確認から予約登録までの自動対応 | レストランボード・TableCheckと連携。変更・キャンセルの対応範囲は連携先や設定によって異なる |
選ぶときは、電話を受け付ける機能と、予約を確定する機能を分けて確認することが重要です。用件を録音したり、予約フォームのURLを案内したりする仕組みと、空席を確認して台帳に登録する仕組みでは、任せられる範囲が異なります。
また、店頭やスタッフの電話対応で受けた予約も、同じ台帳に反映させる必要があります。AIが参照する空席情報を正しく保つ運用があってこそ、予約対応を自動化できます。
料金は、予約対応に必要な費用を合計して比較
AIの月額基本料に、予約台帳の利用料、従量料金、通話・転送料、初期設定費を加えて確認します。サービス全体の最安料金だけでは、予約自動化にかかる費用を判断できません。
ChatGPT・Codex
ChatGPT・Codexは、飲食店専用の製品ではありませんが、経営管理や事務、販促物の制作など、責任者が抱えやすい仕事の補助に使えます。
ChatGPTで悩みや方針を整理し、Codexも使って資料やWebページ、簡単なツールなどを具体的な形にすると、店舗業務に取り入れやすくなります。例えば、次のような活用が考えられます。
- 売上データを整理し、週次報告や改善案を作る
- 接客マニュアルや新人研修資料の下書きを作る
- SNS投稿、メニュー表、POPを制作する
- 店舗ホームページを作成・修正する
- CSVの整形や定型集計を行う簡単なツールを作る
画像の生成・編集にも対応しており、文章やWebページの制作と組み合わせて使えます。メニュー表やPOPを作る場合は、実際の商品内容と価格を渡し、仕上がりを確認しながら調整します。
活用するときは、「何か集客案を考えて」と依頼するより、店の状況や成果物の用途を具体的に伝えます。
依頼の例
「平日の17〜19時の来店を増やすため、既存のセットメニューを紹介するLINE配信文を作ってください。対象は近隣で働く人です。価格は税込1,500円で、仕事帰りに短時間で利用できることを伝えてください」
このように対象客、目的、商品情報を伝えると、店の方針に合っているかを確認しやすくなります。
一方、予約や決済など、停止すると営業に大きく影響する仕組みを、保守体制のない自作ツールに置き換えることは慎重に判断すべきです。小規模な集計や制作から始め、管理できる範囲で自動化を広げましょう。
飲食店がAIを導入する際のプロセス
AI導入で特に重要なのが、優先順位です。便利そうな製品を順番に契約しても、スタッフが使えなければ、費用と管理の手間が増えてしまいます。
経営上必要なAIを選び、費用を比較し、現場で使える状態にしてから効果を確認します。補助金の対象かどうかは、必要な製品を絞った後に検討しましょう。
- STEP 01課題と優先順位を決める
- STEP 02費用・補助金を比較する
- STEP 03導入・トレーニング
- STEP 04効果を確認する
1.経営上の課題から、導入する業務を絞る
まずは、現在の業務でどのような負担が発生しているかを整理します。
電話対応に時間を取られているなら、件数と対応時間を記録します。配膳が追いつかないなら、運搬そのものが問題なのか、厨房から料理が出るタイミングや食器の片付けが問題なのかを確認します。
そのうえで、次の観点から優先順位をつけます。
表は横にスクロールできます。
| 判断すること | 確認する内容 |
|---|---|
| 経営への影響 | 予約の取りこぼし、提供の遅れ、残業などに、どれだけ影響しているか |
| 改善できる作業量 | 導入によって、何の作業がどれだけ減るか |
| 現場での使いやすさ | スタッフが覚えられるか、既存の設備・システムと合うか |
| 費用 | 初期費用と継続費用に見合う効果があるか |
| 失敗時の影響 | 誤りや停止が起きたとき、人が対応できるか |
例えば、月に数時間しか発生しない仕事より、毎日のピークタイムに接客を中断させている仕事の方が、優先度は高くなりやすいでしょう。
ただし、最初から大きな投資をする必要はありません。既存のPOSや予約台帳に追加できる機能、少人数で試せる生成AIなどから始める方法もあります。
2.補助金を使う場合と使わない場合を比較する
導入したい製品が決まったら、補助金の対象になるかを調べます。補助金に合わせて不要な製品を選ぶのではなく、必要な投資の負担を軽くするために活用します。
デジタル化・AI導入補助金2026では、登録されたIT導入支援事業者が提供する、承認済みのITツールが対象になります。事業者が登録されているだけでなく、導入したい製品・契約内容も対象かを確認しなければなりません。
通常枠では、ソフトウェアや最大2年分のクラウド利用料に加え、対象となる導入設定・研修・保守なども補助対象に含まれます。ただし、すべてのAIサービスに利用できる制度ではありません。
補助金を使えば必ず有利になるとも限りません。通常契約時との価格差、必要な契約期間、追加費用、申請にかかる手間、導入までの時間を含めて比較しましょう。
交付決定前の発注・契約は補助対象外になるため、手続きの順番に注意が必要です。支払いから補助金を受け取るまでの資金も準備します。
なお、配膳ロボットは、中小企業省力化投資補助金のカタログ注文型に製品カテゴリがあります。ソフトウェア向けの補助金と分けて、対象機種や条件を確認しましょう。
各製品の補助対象登録は個別の確認が必要です。制度の詳細は、記事末尾の公式案内をご確認ください。
3.導入とトレーニングをセットで進める
契約や設置が終わっても、導入は完了ではありません。スタッフが日常業務で使える状態にする必要があります。
操作方法に加えて、「どこまでAIに任せるか」「人が確認するのはいつか」「うまく動かない場合にどうするか」を決めておきましょう。
例えば、電話AIなら、人に転送する問い合わせの条件を整理します。配膳ロボットなら、誰が料理を載せ、到着後に誰が受け渡すかを決めます。生成AIなら、作った文章や数字を誰が確認してから使うかを決めます。
可能であれば、一部の時間帯や業務から試し、現場の問題を直してから利用範囲を広げます。担当者がいない日でも使えること、失敗したときに人が対応できることまで含めて準備しましょう。
4.導入後の効果を数字で確認する
導入後は、「便利になった気がする」で終わらせず、導入前と比較します。
電話AIなら有人対応時間と予約完了件数、配膳ロボットなら運搬時間や提供時間、生成AIなら修正を含めた作業時間などを確認します。
時間削減を評価する例
事務作業が1日30分、月26日分減れば、月13時間の余力が生まれます。ただし、その時間がそのまま人件費の削減になるとは限りません。残業が減るのか、接客や販促に時間を回せるのかまで考えて評価します。
使われていない場合も、すぐに製品の性能だけを疑うのではなく、操作が難しいのか、業務に合わないのか、担当者が決まっていないのかを確認しましょう。
飲食店がAIを導入する際のデメリット・注意点
AIで作ったシステムにも、継続的な管理が必要
AIを使えば、簡単な業務ツールを作りやすくなります。しかし、一度動いたからといって、将来も正常に動き続ける保証はありません。
入力形式の変更、連携サービスの更新、想定外の操作などによって不具合が起きることがあります。修正できる担当者がいなければ、便利だったツールが業務を止める原因にもなります。
予約・決済などの重要な業務では、機能に加え、保守、問い合わせ窓口、バックアップ、障害時の復旧方法まで確認して選びましょう。
個人情報を不用意に入力しない
飲食店では、予約者の氏名・電話番号、来店履歴、従業員情報などを扱います。これらを、利用条件を確認せずに汎用AIへ入力することは避けましょう。
確認すべきなのは、入力情報が学習に利用されるか、どのように保存されるか、誰が閲覧できるかなどです。電話AIや予約台帳についても、顧客情報や通話記録の取り扱いを確認します。
売上分析で顧客名が不要なら削除するなど、目的に必要な情報だけを使う習慣をつけることが大切です。
AIの誤りを確認・修正できる運用にする
AIは、もっともらしい説明をしていても、内容を誤ることがあります。売上分析の理由付け、メニューの価格、営業時間、販促文などは、そのまま使わず確認しましょう。
電話AIや配膳ロボットのように自動で動く製品では、すべての処理を人が見続けるのではなく、異常や対応できない状況が起きたときに人へ引き継げるようにします。
確認や修正に時間がかかりすぎる場合は、任せる範囲や設定を見直します。作業が自動化されたかだけでなく、現場全体の負担が減っているかを見ることが重要です。
AI導入は、自店の課題を一つ選ぶことから始める
飲食店で使えるAIは、売上分析、配膳、電話予約、販促・事務まで広がっています。ただし、効果が出る業務は店舗によって異なります。
まずは、毎日の営業で時間を取られていることや、対応できずに機会を逃していることを一つ選びましょう。その仕事をどこまで任せられるか、スタッフが使えるか、継続費用に見合うかを確認します。
現場が無理なく使えて、経営上の効果が続くことが、AI導入の目標です。小さく導入して効果を測り、成果を確認できた業務から活用を広げていきましょう。
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