業務スーパーのマーケティング戦略とは?業績の成長理由をSTP・3C・4Pで分析

業務スーパーのマーケティング戦略とは?業績の成長理由をSTP・3C・4Pで分析
業務スーパーの企業・戦略研究

業務スーパーのマーケティング戦略は、自社製造・直輸入で「安くて特色のある商品」をつくり、FCの店舗網で家庭と飲食事業者に届け、日常の買い物先として選ばれることです。強みは、低価格を続けられるコスト構造、PB・輸入食品の独自性、買い足しに使える店舗網の3つです。

運営会社の神戸物産は、2023年10月期から2025年10月期に、連結売上高を4,615.46億円から5,517.01億円へ、営業利益を307.17億円から398.78億円へ伸ばしました。業務スーパーの店舗数も、同じ期間に1,048店舗から1,122店舗へ増えています。

中心となる顧客は、日々の食費を管理したいファミリー層と、食材を仕入れる調理のプロです。冷凍・加工食品は食事の準備を助け、独自のスイーツや輸入食品は新しい味を試す楽しさを加えます。実用性と商品の発見が、繰り返し訪れる理由になると考えられます。

本稿では、「なぜ安く売れるのか」「誰がターゲットか」「競合とどう差別化しているか」を、直近3年間の業績と約10年間の施策から解説します。STP・3C・4Pの分析を通じて、小売店が商品・価格・販促を考える際のヒントまで整理します。

本稿の対象は、神戸物産がFC本部として展開する「業務スーパー」です。業績・施策は2026年10月18日時点で確認した公開資料に基づきます。STP・3C・4Pと施策の役割は、公式情報に基づく本稿の分析です。中心顧客の説明には、公式のFC加盟案内も参照しています。

業務スーパーの直近3年間の業績|売上・営業利益・店舗数

直近3年間は、通期決算がそろう2023年・2024年・2025年10月期で比較します。神戸物産全体の成長と、主力の業務スーパー事業の伸びを並べると、成長の中心が見えてきます。

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神戸物産の連結業績と業務スーパー事業の推移
指標2023年10月期2024年10月期2025年10月期
連結売上高4,615.46億円5,078.83億円5,517.01億円
連結営業利益307.17億円343.50億円398.78億円
連結営業利益率6.7%6.8%7.2%
業務スーパー事業売上高4,469.08億円4,891.02億円5,305.09億円
業務スーパー事業営業利益341.39億円373.50億円435.06億円
業務スーパー店舗数(各期末)1,048店舗1,084店舗1,122店舗

金額は公表値の百万円を億円に換算。連結営業利益率は連結売上高と営業利益から算出し、小数第1位に丸めています。業務スーパー事業には、加盟店への卸売・ロイヤリティ、自社グループ工場などの損益が含まれます。全国店舗のレジ売上高は別の指標です。事業営業利益は全社費用などの調整前の数値です。

出典:神戸物産・財務情報、2025年10月期決算説明資料(5・7ページ)。

出店と既存店への出荷拡大が、売上成長を支える

2023年10月期から2025年10月期の2年間で、連結売上高は約19.5%、連結営業利益は約29.8%増加しました。店舗数は74店舗増え、商品を購入できる地域の接点も広がっています。

2025年10月期の会社説明では、高い節約志向が業務スーパー事業の売上増加に寄与しています。同年度の直轄エリア既存店への商品出荷実績は、通期で前年比105.1%でした。出店による店舗網の拡大と、既存店への商品出荷の伸びが重なっている点が、成長を見るうえで重要です。

出荷実績は、神戸物産から加盟店へ供給した商品の金額を示します。消費者の購買行動を詳しく読む際には、店頭の客数・客単価や販売数量もあわせて確認すると、成長の中身を捉えやすくなります。

出典:2025年10月期決算説明資料(5・8ページ)。増加率は上表の数値から算出。

最新動向|2026年10月期第3四半期も増収・営業増益

2026年10月期第3四半期累計(2025年11月〜2026年7月)は、連結売上高4,329.33億円で前年同期比5.2%増、営業利益313.16億円で同3.2%増となりました。2026年7月末の業務スーパーは1,144店舗です。

会社は、新規出店と既存店への商品出荷が増収につながったと説明しています。利益面では、調達先の最適化や価格転嫁を進めるとともに、物量増に伴う物流費などへの対応が続いています。今後の成長を評価する際は、店舗数、既存店への出荷、物流・調達コストの3点が注目点になります。

出典:2026年10月期第3四半期決算説明資料(2・5ページ)。この段落は9カ月累計の実績です。

約10年間のマーケティング施策|低価格を支える仕組みと来店接点の拡大

業務スーパーの約10年間は、低価格を継続できる商品供給と店舗運営を土台に、出店、販促、決済サービスを積み重ねてきた過程として整理できます。マーケティング施策を広く捉え、売り場で選ばれる理由と、それを届ける仕組みの両方を見ていきます。

年表の継続的な取り組みは、公開資料で実施を確認できた時点を示しています。

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2016〜2026年の主な取り組みとマーケティング上の役割
時期公開資料で確認できる取り組みマーケティング上の役割〈分析〉
2016年10月末に747店舗を展開。決算説明資料で、低コストの店舗運営と製販一体の事業モデルを説明しています。[1]日常価格の安さを継続して提供できる、商品供給と運営の基盤を広げます。
2017年公表資料段ボールでの陳列、大きな冷凍ケース・陳列棚、発注などのシステム化を紹介しています。[2]品出しや事務の作業を減らし、価格の魅力と店舗の採算を支えます。
2018年9〜10月に「業務スーパー×神戸物産 総力祭」を実施。公式サイトでもセールを案内しています。[3]日々の買い物に加えて、期間中に来店するきっかけをつくります。
2019年秋の総力祭で、ホットクやスイートポテトなどのPB商品が好評となり、会社は売上拡大への貢献を説明しています。[4]独自商品を試す機会をつくり、価格と食の楽しさを伝えます。
2020年3〜4月の「業務スーパー20周年記念セール」を告知しています。[5]ブランドの節目を、来店と商品体験を促す機会にします。
2021年47都道府県への出店を達成。5月にGyomucaをリリースし、直営店で導入を始めています。[6][7]買える地域を広げるとともに、日常の決済を通じた顧客接点を整えます。
2022年10月に業務スーパー1,000店舗の出店を達成しています。[8]多くの生活圏で利用できるブランドへと、店舗網を広げます。
2023年2月、直営3店舗での検証を踏まえ、GyomucaをFC加盟店にも積極的に導入する方針を発表しています。[7]決済の利便性とチャージ時のポイントを、継続利用の動機につなげます。
2024〜2025年期末店舗数が1,084店舗、1,122店舗へ拡大。2025年4月には上原食品工業を子会社化しています。[9][8]販売する場所と製造の基盤をともに整え、独自商品の展開を支えます。
2026年確認時点公式サイトでレシピや特集を公開し、公式Instagram・Xにも案内。Gyomucaは一部店舗で利用できます。[10][11]商品の使い方を知る接点と、店頭で繰り返し利用する接点を組み合わせます。

なぜ安い?製造・直輸入・店舗運営でコストを抑える

安さの理由は、製造・仕入れ・物流・売り場で費用を抑える仕組みにあります。国内グループ工場での生産、メーカーとの直接取引、海外商品のまとめての直輸入によって調達を効率化し、全国店舗への配送にも規模を活かしています。

売り場では、段ボール陳列や専用の冷凍什器で品出しの手間を減らし、広告はウェブチラシを中心に効率化しています。安く調達し、少ない作業で販売する仕組みが、日常の低価格を支えています。販促で伝える価格の魅力と、店舗の採算をつなぐ取り組みです。

出典:神戸物産・業務スーパー事業、業務スーパー・安さの秘密、年表の[2]。

総力祭で試してもらい、商品を知るきっかけをつくる

日常的な低価格を軸に、総力祭などの期間販促も組み合わせています。普段から買う商品に加え、気になっていた冷凍食品やスイーツを手に取る機会が生まれます。

2019年の会社資料は、ホットクやスイートポテトなどのPB商品の好評を伝えています。こうした商品の体験は、次の買い物で思い出してもらう材料になります。セールの役割は、当日の販売と、新しい定番を見つけてもらう機会の両面から考えられます。

レシピとGyomucaで、購入前から再来店までの接点を持つ

公式サイトのレシピや特集では、商品を使った料理や食事の場面を紹介しています。「この食材で何がつくれるか」がわかると、購入後の使い方を想像しやすくなります。大容量の商品でも、複数の料理に使うイメージが持てれば、買う理由が明確になります。

Gyomucaは、電子マネーとポイントカードが一体になったサービスです。買い物時の支払いに加え、広告情報の確認などにも接点が生まれます。商品を知り、使い、再び買うという流れの中で、公式の情報発信と店頭サービスをつなぐ取り組みとして整理できます。利用可能な店舗は、公式の取り扱い店舗一覧で確認できます。

出典:業務スーパー・ミラクルレシピ、Gyomuca公式案内。

業務スーパーのSTP分析|節約・時短・食の楽しさを求める顧客

業務スーパーのターゲットを考える出発点は、公式のFC加盟案内が中心顧客として挙げる調理のプロとファミリー層です。両者に共通する「食材費と調理の手間を管理したい」という需要を、STP分析の市場の分け方(S)、狙う顧客(T)、選ばれる位置づけ(P)で整理します。

中心顧客の出典:業務スーパー・FC加盟案内「業務スーパーの特徴」。以下の区分と位置づけは本稿の分析です。

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業務スーパーのSTP分析〈本稿の分析〉
項目整理顧客にとっての価値
Segmentation
市場の分け方
家庭の普段の買い物/まとめ買い・ストック/調理時間の短縮/海外食品やスイーツの探索/飲食店などの仕入れ。所得や年代に加え、買う目的、食べる人数、保存環境、調理頻度で需要を捉えられます。
Targeting
中心となる顧客
中心はファミリー層と調理のプロ。利用目的からは、食費を管理しながら家庭の食事を用意する人、原価と仕込みの負担を抑えたい飲食事業者と捉えられます。日々の食事や営業で使う商品を、継続して調達しやすくなります。
Positioning
顧客の中での位置づけ
業務用食材の実用性を家庭でも活用でき、日常価格の安さとPB・直輸入商品の発見を楽しめる食品スーパー。家計の節約、料理の準備、新しい味の発見を、一つの買い物で満たせます。

ターゲットは誰?家族の食事とプロの仕入れを支える

ファミリー層は、家族の人数や自炊の頻度に応じて、食材の量と価格を判断します。週末のまとめ買い、平日の夕食、弁当の準備など、繰り返し発生する需要に合う商品をそろえることが、継続利用につながると考えられます。

たとえば冷凍野菜は、食費の管理、下処理の省力化、必要な分だけ使うストックという複数の価値を持ちます。輸入調味料やスイーツは、自宅で新しい味を楽しむ目的にも合います。同じ人でも買い物の日によって目的が変わるため、用途ごとに魅力を伝えることが有効と考えられます。

事業者向けの実用性を、家庭での使いやすさにつなぐ

飲食店にとって重要なのは、食材費、仕込みの時間、保存のしやすさです。これらは、家庭の食事づくりでも価値になります。調理済み・半調理済みの食品や冷凍食材を、家庭の量と使い方に合わせて活用するイメージです。

ここから業務スーパーは、毎日の食事を準備する負担を軽くしながら、食費を管理できる店として位置づけられます。商品が持つ実用性と、一般の生活者に向けた利用提案が重なるところに、ブランドの広がりを読み取れます。

業務スーパーの3C分析|顧客・競合・自社の強み

3C分析では、顧客(Customer)の買い物目的、競合(Competitor)が提供する価値、自社(Company)の仕組みを照らし合わせます。価格に加え、何を買い、どう使うために選ばれるのかを考えると、競争の軸がはっきりします。

Customer(顧客)|食費と調理時間を管理したい

神戸物産は2025年10月期の説明で、消費者の高い節約志向が売上増加に寄与したとしています。食材の価格を意識して買い物をする人にとって、日常価格への期待は来店理由になります。

そこに、食事づくりの手間や、食べる楽しみへの需要が重なります。冷凍食品をストックして平日の準備を楽にする、輸入食品でいつもと違う料理をつくる、といった使い方です。顧客の価値を捉える際は、1回の会計金額、1食あたりの費用、調理の手間、使い切りやすさまで見ると、商品提案につながります。

Competitor(競合)|利用場面ごとに比較先が変わる

低価格を重視する買い物ではオーケーなど、大容量商品のまとめ買いではコストコなどが比較先になります。業務スーパーの差別化は、自社グループ工場のPBと直輸入商品を、普段の食事や仕入れに使える形で提供する組み合わせにあると考えられます。比較する際は、価格、商品容量、買う頻度、店舗への行きやすさをそろえると、選ばれる場面が見えてきます。

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利用場面から見た競合関係〈本稿の分析〉
買い物の目的比較先の例業務スーパーが訴求しやすい価値
普段の食費を抑えるオーケーなどのディスカウントスーパー、地域の食品スーパー日常価格と、PB・直輸入商品を組み合わせた買い物。
まとめ買いをするコストコなどの大容量商品を扱う店舗生活圏の店舗で、冷凍食材や加工食品を補充する使い方。
新しい味を楽しむ輸入食品店、特色のある食品売り場直輸入の食品や調味料を、普段の食事に取り入れる楽しさ。
食事の準備を楽にする食品スーパーの冷凍・惣菜売り場、宅配食品冷凍・加工食品をストックし、必要なときに調理へ使う便利さ。
飲食店の仕入れをする業務用食品卸、業務用食材店店舗で商品を確認し、必要な食材を買い足す機会。

競合の事業特性の確認:オーケー・会社情報と取り組み、コストコ・倉庫店各種サービスと商品。比較は買い物目的から整理した分析で、個別商品の価格順位や商圏別の競争力は店舗ごとに変わります。

Company(自社)|低価格で利益を生むビジネスモデル

神戸物産は、商品の開発・製造・調達とFC本部の機能を持ち、加盟店への商品販売やロイヤリティなどから収益を得ています。加盟店は店頭で商品を販売し、売上から仕入れと店舗運営の費用を差し引いて利益を確保します。本部の商品供給と、加盟店の販売を組み合わせたビジネスモデルです。

加盟企業による青果や精肉などの取り扱いも、地域での使いやすさに関わります。たとえばG-7スーパーマートは、業務スーパーとともに野菜や果物、酒類、日用雑貨などを取り扱う事業を紹介しています。共通の商品供給と、地域に合う売り場づくりが重なる構造です。

このモデルの課題は、輸入に伴う為替・調達価格の変動、店舗拡大に伴う物流負担、加盟店ごとの運営品質です。顧客側では、大容量や冷凍食品を使い切れる量、家庭の保存スペースとの相性も購入判断に関わります。調達先の最適化、供給能力の整備、使い方の提案が、強みを維持するための焦点になります。

出典:神戸物産・業務スーパー事業、G-7スーパーマート・事業概要、業務スーパー5つの強み。収益区分は上記決算説明資料を参照。課題と顧客側の購入条件は本稿の分析です。

業務スーパーの4P分析|商品・価格・流通・販促

4P分析では、商品(Product)、価格(Price)、流通・販売接点(Place)、販促(Promotion)を整理します。業務スーパーでは、「普段の食事に役立つ独自商品を、継続して買いやすい価格で届ける」という価値に、4つの要素が結びついています。

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業務スーパーの4P分析
4P主な取り組み戦略上の意味〈分析〉
Product
商品
国内グループ工場の商品、直輸入商品、冷凍・加工食品、調味料、スイーツなど。節約、調理の省力化、新しい味の発見という複数の利用目的に応えます。
Price
価格
エブリデイロープライスを軸に、製販一体、大量調達、店舗作業の効率化を組み合わせています。普段から買いやすいという期待をつくり、日常の買い物先に入りやすくします。
Place
流通・販売接点
FCを中心に全国へ出店。本部の商品供給と、加盟企業の店舗運営を組み合わせています。共通する商品の魅力を、多くの地域の店頭へ届けます。
Promotion
販促
総力祭などの期間販促、公式サイトのレシピ・特集、公式SNS、Gyomucaを展開しています。来店のきっかけ、商品の使い方、継続利用の動機をつなぎます。

取り組みの出典:業務スーパー事業、業務スーパー公式サイト、Gyomuca公式案内、年表の公式資料。

Product|食材と使い方を一緒に提案できる品ぞろえ

冷凍野菜、調理済み食品、調味料、スイーツなどは、それぞれ異なる役割を持ちます。毎日の料理に使う定番食材は来店の習慣に、特色のある輸入食品は売り場を見て回る楽しさにつながります。

たとえば、公式に紹介されている牛乳パック入りのスイーツは、容量やパッケージも含めて印象に残る商品です。冷凍野菜は日々の調理を支え、輸入調味料は自宅で新しい味を試すきっかけになります。実用性のある定番と、試したくなる商品を組み合わせることが、品ぞろえの魅力になると考えられます。

Price|毎日の価格への期待を積み重ねる

エブリデイロープライスは、日々の価格に対する信頼を育てる考え方です。買い物に行くたびに納得できる商品を見つけられれば、日常の購入先として思い出しやすくなります。

総力祭などの期間販促は、日常価格の魅力に「今、試す理由」を加えます。普段の買い物を支える価格と、新しい商品を体験してもらう販促を組み合わせた価格戦略として整理できます。

Place|全国の商品供給と地域の売り場を組み合わせる

FCの店舗網は、商品の販売機会を増やす仕組みです。地域に店舗が増えれば、冷凍食材を補充する日や、週末にまとめ買いする日など、生活の中で利用しやすくなります。

本部から供給する商品に、加盟企業が扱う生鮮食品などが重なることで、店舗ごとの買い物体験が生まれます。マーケティング上は、共通するブランド価値と、その商圏で必要とされる品ぞろえをどう組み合わせるかがポイントです。

Promotion|商品の発見から再購入へつなぐ

総力祭は来店と商品体験の機会に、レシピやSNSは使い方を知る接点になります。Gyomucaの決済とポイントは、日常の買い物を便利に、お得に続ける接点です。

これらを一連の流れとして見ると、「知る→試す→使う→買い足す」という購買の過程を支えていると整理できます。商品を使って満足した体験が、その後の情報発信や店頭での再会によって思い出されることが、再購入につながると考えられます。

業務スーパーの成長を支える3つのつながり

ここまでの分析をまとめると、業務スーパーの強みは、仕組み・商品・顧客接点の組み合わせにあります。

1.製造・調達と価格自社製造や直輸入を通じて、独自商品と買いやすい価格をつくります。
2.商品と利用場面冷凍・加工食品や輸入食品に、節約・時短・食の楽しさという用途が重なります。
3.店舗と継続接点FCの店舗網に、レシピ・SNS・Gyomucaを組み合わせ、買い物の接点を広げます。

店舗網が広がると商品を届けられる量が増え、商品供給の規模は調達や製造の効率化に結びつく余地を生みます。魅力的な商品が店舗へ来る理由となり、その利用体験が次の買い物へつながる。この循環を強めることが、戦略の中心と考えられます。

この循環を育てるには、店舗の増加に合わせた物流・製造能力と、店頭の品質が重要です。供給する量と、顧客が感じる買いやすさをそろえることが、成長を続ける条件になります。

業務スーパーのマーケティングで参考になる点

看板商品に、継続して選べる仕組みを持たせる

小売店が参考にできるのは、集客商品と、それを安定して提供する運営を一緒に考えることです。仕入れ先、発注単位、陳列方法、補充の回数まで見直すと、顧客に喜ばれる価格や売り場を続けやすくなります。

まず、再購入されている商品を一つ選び、仕入れ額、粗利益、補充にかかる時間を確認します。発注単位や陳列方法を調整し、買いやすい価格と利益が両立する条件を探します。業務スーパーの事例を自店に活かす際の、具体的な着手点です。

顧客が使う場面まで伝える

食材の説明には、調理例や保存方法、使うタイミングを添えます。「平日の夕食を準備する」「弁当のおかずを補充する」など、生活の場面が浮かぶ情報は、購入の判断を助けます。

たとえば「冷凍野菜でつくる平日3日分の副菜」を、POPとSNSで紹介します。これは自店向けの施策例です。商品単体の紹介に、使う量と料理の例を添え、購入率や再購入の変化を確認します。

集客・利益・再購入を一緒に評価する

施策の成果は、売上とともに、粗利益、客数、客単価、商品の再購入、品出しやレジの負担を見て判断します。期間販促で試してもらった商品が、通常の販売へどれだけつながったかも確認すると、続けるべき施策が見えてきます。

業務スーパーから学べるのは、選ばれる商品と価格を、製造・調達・店舗運営で支え、顧客の使い方に沿って伝えるマーケティングです。日々の買い物に役立つ価値を積み重ねることが、来店と再購入を育てます。

出典・参考資料を確認する

業績・施策の確認に用いた主な公式資料です。年表の番号は以下に対応します。

小形 洸太

この記事を書いた人

小形 洸太

マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。

集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。

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