立地が悪い飲食店が行うべき対策と集客方法を解説

実は、ほとんどの飲食店は立地が完璧なテナントで出店できません。メイン通りの1階路面店という理想の立地が確保できるケースは少なく、多くの店舗は何らかの立地的なハンデを抱えたままスタートします。だからこそ、「立地が悪い=集客できない」ではなく、自店の立地の特性を把握したうえで戦略を立てることが重要です。

この記事では、立地が悪い飲食店の定義・集客の考え方・具体的な施策・立地を超えて集客できる店舗の特徴を解説します。

飲食店における「立地が悪い」とは

飲食店において「立地が悪い」とは、対策をしないと自然な来店が期待できない立地を指します。繁盛店のすぐ隣でも、条件によっては集客が難しくなるケースがあります。極端な場合、来客がゼロになる日(ノーゲスト)が続く状況になることもあります。以下のいずれかに当てはまる立地は、集客に不利とされています。

  • 人通りが少ない立地メイン通りから外れるだけで集客難易度が急上昇します。視認性が低く、存在自体に気づかれないのが最大のリスクです。
  • 交通の便が悪い立地人通りが少なくても交通の便が良ければ来店は可能ですが、両方が重なると集客難易度が一気に跳ね上がります。
  • 都市部近隣の住宅街(ベッドタウン)平日は閑散とし、週末に需要が集中しやすい立地です。小規模経営には向いていますが、雇用が必要な客席数では収益化が難しくなります。
  • 平均給与が低い立地顧客単価を上げるにくいため、FLコスト上昇への対応が難しくなります。値上げが集客に直撃しやすい環境です。
  • 空中店舗・地下店舗人通りが近くにあっても、外から存在がわからない構造のため、気づかれずに集客を逃すリスクがあります。商業ビルでは広告規制もあり、看板設置が制限されるケースも珍しくありません。
💡 立地が悪くても最重要ではない
立地の悪さは集客施策の選び方に影響しますが、それ自体が致命的とは限りません。「そのお店に行きたい」という強い来店動機を作れれば、立地のハンデは十分に克服できます。なお、来店動機の核になる看板メニューの作り方については別の記事で詳しく解説しています。

出店前に確認したい:立地タイプ別の曜日需要

出店を検討する際に見落とされがちなのが、立地によって得意な時間帯・曜日と苦手な時間帯・曜日がはっきり異なるという点です。週の半分以上が集客の難しい時間帯になる立地では、特別な戦略がなければ安定した売上を作ることができません。出店前に自分の立地がどのパターンに当てはまるかを確認しましょう。

立地タイプ 平日・昼 平日・夜 週末(土日祝)
住宅街
ビジネス街 ×
繁華街
観光地
郊外・ロードサイド

◎ 需要が高い ○ 標準的な需要 △ 需要が低め × ほぼ需要なし

住宅街で開業した場合は特別な戦略が必要

住宅街は週末に需要が集中するため、平日の売上をいかに確保するかが経営の安定性を左右します。平日昼は在宅ワーカーや主婦層、平日夜は近隣の帰宅者にターゲットを絞り込み、それぞれに刺さるメニューと情報発信を組み合わせることが求められます。

具体的には、平日限定のランチセット・テイクアウト対応・デリバリーサービスの導入などが有効です。また、LINE公式アカウントで平日の来店を促すクーポンを配信するなど、既存顧客に直接アプローチする施策が特に効果を発揮します。週末の集客で得た常連客を、平日の来店にも誘導できる仕組みをつくることが、住宅街での安定経営のカギです。

📌 ビジネス街の週末対策:ビジネス街は週末の人通りが激減します。土日も営業する場合は、観光・近隣住民・イベント集客など、平日とは異なるターゲット設定が必要です。週末を休業日にして平日に集中する選択肢も検討に値します。

立地タイプ別の集客戦略

立地が悪い飲食店の集客は、立地のタイプに合わせた戦略が必要です。一律の対策ではなく、自店の状況に即したアプローチを選びましょう。

立地タイプ 基本戦略
人通りが少ない 近隣メイン通りからの看板誘導・SNS広告・グルメサイトで継続的にリーチ
観光地・景観良好 その強みを全面に出し、バスツアーへの組み込み・口コミ拡散を狙う
商圏内の人通りが極端に少ない 顧客に近づく。ケータリング・催事出店・宅配で商圏を広げる
都市部近隣の住宅街 小規模経営で地域密着。デリバリーサービスの活用でカバー範囲を拡大
平均給与が低い おひとり様前提のレイアウト・名物メニュー中心・ランチタイム型の集客に特化
空中店舗・地下店舗 近隣の視認性確保(駅看板・野外広告)・SNS拡散・来店時の目印づくり

住宅街でのデリバリー活用

都市部近隣の住宅街では、UberEatsや出前館などのフードデリバリーを活用することで、立地の不利を補いながら商圏を広げることができます。また、独自の出前サービスを展開することで顧客との直接的な関係を構築し、リピーターを増やすことにもつながります。近隣にメニュー表をポスティングとホームページへの掲載を組み合わせると、認知から注文までの動線が整います。

ただし、デリバリーを活かすには商圏の特性に合った業態選びが前提になります。住宅街にカフェを出店してもデリバリー需要はほぼ見込めません。一方、町中華・ラーメン・丼もの・弁当といった「日常的に注文されやすい業態」はデリバリーとの相性が良く、住宅街でも安定した需要を確保しやすくなります。出店前の段階から、立地の特性とメニュー・業態をセットで考えることが重要です。

空中・地下店舗の視認性確保

空中店舗・地下店舗の課題は「人通りはあるのに気づかれない」点です。看板設置が制限される場合でも、SNSでの話題化・メディア露出・来店時の目印になる画像の共有など、オンラインで視認性を補う方法があります。「〇〇ビル3階、エレベーターを降りて右」のような具体的な案内をSNSや予約ページに掲載するだけでも、来店のハードルが下がります。

実際にあった怖い話
看板規制で集客が激減した空中店舗の対応

利用者数の多い駅に近接する商店街を管理する市の条例で、通行から自然に目につく高さへの看板設置が禁止となりました。その結果、空中店舗の視認性が悪化し、「閉店した」と誤認する通行人が増え、集客が極端に落ち込みました。

この事例では、別の場所への看板設置とSNSでの積極的な発信によって視認性を補完し、来店導線を再構築することで集客の回復を図りました。規制の有無にかかわらず、外からの視認性が確保できない店舗は、オンラインでの露出が不可欠です。

居抜き物件を選ぶ際の注意点

立地が悪い飲食店の多くは、コスト削減のために居抜き物件を選びます。初期投資を抑えられるメリットがある一方で、注意すべき点もあります。

居抜き物件には、前の店舗が閉店した原因を引き継ぐリスクがあります。立地の悪さが原因で閉店した物件であれば、同じ課題に直面する可能性が高くなります。また、内装・設備が固定されているため、自店のコンセプトを十分に表現できない場合もあります。立地の悪さを克服するには店舗の独自性が重要であるため、居抜きを選ぶ際はコストだけでなく自店の戦略に合致するかを慎重に判断することが必要です。

📌 確認しておきたいこと:前テナントがなぜ閉店したのかを物件オーナーや地域の情報から可能な限り把握しましょう。立地起因の閉店なのか、運営上の問題なのかによって、自店への影響を事前に見極めることができます。

立地が悪くても集客できる店舗の特徴

立地の悪さを補えるのは、口コミが直接の来店動機になる店舗です。料理・ロケーション・コンセプトのいずれかで「わざわざ行く理由」を作れる店は、立地のハンデを逆手に取ることができます。

🍽️
田舎の観光地にあるA級料理店

その土地でしか味わえない食材・料理を提供する店舗は、遠方からも来店動機を生み出します。島根県邑南町のイタリア料理店や山形県のアルケッチャーノのように、地産地消×メディアブランディングで観光バスが訪れるほどの人気店になった事例もあります。

🏡
古民家・雰囲気で勝負する店舗

蕎麦・うどんなど「こだわりの強い業態」では、古民家の雰囲気そのものが目的になります。広い客席・駐車場の確保がしやすく、ドライブコースに組み込まれやすいのも強みです。

🍜
名物料理に特化した店舗

食べログ百名店に入るような店舗は、立地が良くないケースも多いです。「元和食料理人が作る日替わりラーメン」「ホッキ貝を使ったカレー」など、わかりやすく独自性のあるコンセプトがSNSや口コミの起点になります。

立地が悪い飲食店におすすめの集客方法

① SNS広告

SNS広告は、特定の都道府県・市区町村・指定住所からの半径○km圏内にのみ広告を表示できます。立地が悪い場合は、自店舗周辺ではなく来店可能性が高く人口の多いエリアを指定して出稿するのが有効です。SNS運用と組み合わせることで、興味を持ったユーザーのフォロー獲得にもつながります。飲食店のSNS活用については、Instagramの活用方法も参考にしてください。

② 看板

人通りからの視認性の低さを補うために、近隣のメイン通りへの看板設置が基本です。規制で設置できない場合はオンラインでの視認性確保に切り替えましょう。看板が出せない=存在が消えると考え、代替の露出手段を必ず用意することが重要です。

③ ローカル検索広告(Googleマップ広告)

Googleマップで地域検索をしたときに、上位にビジネスプロフィールを表示できる広告です。住所と合わせて視認してもらえるため、立地が悪くても検索経由での来店導線を作れます。なお、通常のMEO(Googleビジネスプロフィールの最適化)は検索者の現在地からの距離で順位が変動するため、立地が悪い店舗は広告との併用が効果的です。

④ ポスティング広告

来店可能性の高いエリアを絞り込んでチラシを配布する手法です。SNS広告と同様、エリアを自由に設定できます。ただし地方の戸建て密集度が低い地域ではコストが上がりやすいため、コミュニティペーパーへの掲載など代替手段も検討しましょう。

⑤ LINE公式アカウント

一度来店した顧客に対して、リアルタイムで来店動機になる情報を届けられるのがLINE公式アカウントの強みです。日本国内のLINEユーザーは9,000万人を超えており、メールマガジンより情報が届きやすい環境です。来店時にお友だち登録を促す仕組みを整えることで、広告に頼らない集客の土台ができます。

💡 まずリピーター基盤をつくる
広告費で悩む飲食店ほど、既存顧客へのリアルタイム情報発信ツール(LINEなど)の整備を後回しにしがちです。新規集客と並行して、一度来てくれた方を逃さない仕組みを早めに整えることで、集客コストが徐々に下がっていきます。

まとめ

立地が悪い飲食店は、ほとんどの店舗が共通して直面する現実です。大切なのは「悪い立地」を嘆くのではなく、その立地の特性を把握して戦略を立てることです。

  • 立地が悪い状態とは自然な来店が期待できない立地を指し、タイプによって対策が異なる
  • 人通りが少ない立地は看板誘導・SNS広告・グルメサイトで継続的なリーチが基本
  • 商圏内の人口が少ない場合はケータリング・宅配で顧客に近づく発想が有効
  • 居抜き物件は前テナントの閉店理由を把握してから判断する
  • 立地を超えて集客できる店は「わざわざ行く理由」を提供している
  • LINE公式アカウントで既存顧客への情報発信基盤をつくることが長期的な集客コスト削減につながる

立地の悪さを「独自の魅力を生み出すきっかけ」として捉え直すことが、繁盛店への第一歩です。まずは自店の立地タイプを確認し、できる施策から一つずつ取り組んでみてください。

小形 洸太

この記事を書いた人

小形 洸太

マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。

集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。

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集客のカチプロ 代表

ここまで読んでくださりありがとうございます。集客代行は業者によって得意領域が大きく異なるため、まずは現状をお聞かせいただくのが最善の一歩です。「何から始めればいいか分からない」という方こそ、お気軽にご相談ください。

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