飲食店のリピート分析とは?来店頻度の見方と3回来店を促すスタンプカード設計

飲食店のリピート分析

飲食店の売上を安定させるには、新規客を集めるだけでは足りません。一度来店して終わるお客様が多いと、広告やSNSで新規客を集め続ける必要があり、運営の負担が大きくなります。

そこで重要になるのがリピート分析です。お客様がどのくらいの間隔で再来店し、何回目で定着し、どこで離脱するのかを確認します。本記事では、リピーターの判定方法、見るべき数字、把握する方法、そして「3回来店」を促すスタンプカードの設計までを実務目線で解説します。

結論から示すと、飲食店のリピート施策で最初に目指すべきは「3回来店」です。10回ゴールのスタンプカードよりも、まず3回来店のリズムを作る設計のほうが、初期のリピート化には向いています。

目次

飲食店のリピート分析とは

リピート分析とは、お客様の再来店の状況を数字で確認する分析です。具体的には、来店回数、来店間隔、離脱タイミングの3つを見ます。

飲食店では、1回来店しただけのお客様をリピーターと呼びにくいです。再来店してはじめて「また来る理由があった」と判断できます。さらに3回来店したお客様は、料理・価格・立地・接客のいずれかに再来店する理由を感じている可能性があり、次回以降の来店につながりやすい状態です。

このとき参考になるのが「3回安定10回固定の法則」です。一定期間内に3回来店すれば安定客になりやすく、10回以上来店すれば固定客になりやすい、という考え方です。ダスキンのビジネスコラムでは、この法則について、3回来店で安定客となり4回目以降につながり、10回以上で継続的に来る固定客になりやすいマーケティング理論の一つとして紹介されています。

ウェブ解析士協会のコラムでも、3回購入で安定的に来る「なじみ客」になり、10回購入で他店に行かない「固定客」になりやすい考え方として説明されています。こちらはEコマースの文脈ですが、来店回数を重ねるほど定着しやすいという考え方は、飲食店にも応用しやすいです。

ここで注意したいのは、「3回来店すれば必ず常連化する」という意味ではないことです。あくまで、1回だけの来店客よりも、3回来店したお客様のほうが再来店の見込みが高まりやすい、という実務上の目安です。公的統計のような厳密な法則ではありませんが、リピート施策を設計するうえでは使いやすい考え方です。

この記事のポイント

  • リピーターは「一定期間内に2回以上来店したお客様」と判定できます
  • 売上の安定には「3回来店した安定客」を増やすことが重要です
  • 初期リピートを増やす段階では、10回より「まず3回来店」を目指す設計が実行しやすいです

リピーターはどう判定するか

飲食店でリピーターを判定する場合、「来たことがある人」とまとめるのではなく、来店回数と来店間隔で分類すると実務に使いやすくなります。

来店回数による分類

たとえば次のように分類します。状態の目安も合わせて整理します。

顧客区分判定基準の例状態
新規客初回来店のみまだ定着していない
2回目客初回来店後、一定期間内に再来店再来店のきっかけがある
安定客3回来店店を選ぶ理由ができ始めている
常連候補4〜9回来店利用リズムができている
固定客10回来店以上生活圏・行動習慣に入っている

来店間隔とセットで見る

ここで重要なのは、来店回数だけでなく期間もセットで見ることです。1年間で3回来店した人と、1か月で3回来店した人では意味が違います。

業態ごとに目安を決めると分析しやすくなります。たとえばランチ店なら30日以内に2回目、60日以内に3回目。居酒屋なら60日以内に2回目、90日以内に3回目。カフェなら30日以内に2〜3回来店、といった具合です。

つまりリピーターの判定は、次のように考えると整理しやすいです。

リピーター一定期間内に2回以上来店したお客様

安定客一定期間内に3回来店したお客様

固定客10回来店以上、または継続的に来店しているお客様

ただし業態によって自然な来店頻度は変わります。ラーメン店、定食店、カフェのように日常利用されやすい店舗では、短い期間での再来店を見ます。一方、焼肉、寿司、記念日利用のレストランなどは、来店間隔が長くてもリピーターと判断できる場合があります。

リピート分析で見るべき数字

リピート分析では、次の数字を見ると改善点が見えやすくなります。

2回目来店率

まず見るべきは2回目来店率です。初回来店したお客様のうち、何人が2回目の来店をしたかを見る指標です。たとえばある月に100人の新規客が来店し、そのうち25人が再来店した場合、2回目来店率は25%です。

2回目来店率 = 期間内に2回目来店した新規客数 ÷ 期間内の新規客数 × 100

3回目来店率

次に3回目来店率を見ます。2回目まで来店したお客様のうち、何人が3回目に進んだかを見る指標です。

ここが特に重要です。1回目から2回目はクーポンや偶然で来店することがありますが、3回目は「この店をまた使ってもよい」と思っている可能性が高まるからです。

3回目来店率 = 期間内に3回目来店した客数 ÷ 期間内に2回目来店した客数 × 100

正確に見る場合は、「1月に初回来店した新規客が、30日以内に何人再来店したか」のように、初回来店月と判定期間をそろえて集計します。「今月の新規客数」と「今月の2回目来店客数」を単純に比べると、来店月がずれて数字がぶれるためです。

来店間隔

さらに、初回来店から2回目までの日数、2回目から3回目までの日数も見ます。これを来店間隔といいます。

飲食店では、来店間隔が伸びすぎるとお店の印象が薄れます。初回来店後に何もしないまま1か月、2か月が過ぎると、次に外食するときに思い出してもらえない可能性があります。

リピート分析では、次のような項目を確認します。

分析項目見る理由
2回目来店率初回来店後に再来店されているかを見る
3回目来店率安定客化しているかを見る
初回から2回目までの日数再来店のタイミングを把握する
2回目から3回目までの日数習慣化できているかを見る
3回以上来店客の客単価安定客が売上に貢献しているかを見る
離脱タイミング何回目で来なくなるかを見る

獲得経路別にリピート率を見る

もう一段踏み込むなら、初回客を獲得経路ごとに分けて、それぞれのリピート率を見ます。Googleマップ経由、Instagram経由、紹介、通りがかり、チラシ、グルメサイトでは、再来店の質が違うことがあります。

たとえば「Instagram経由は初回来店は多いが2回目が弱い」「紹介客は3回目まで進みやすい」といった傾向が見えると、どの集客経路に力を入れるべきかが判断しやすくなります。リピート分析は、再来店施策だけでなく、新規集客の改善にもつながります。

飲食店でリピートを把握する方法

リピート分析をするには、お客様を識別できる仕組みが必要です。飲食店では、次のような方法があります。

スタンプカード

最も導入しやすいのはスタンプカードです。紙のカードでも、LINE公式アカウントのショップカードでも構いません。来店ごとにスタンプを付与すれば、何回来店しているかを確認できます。

LINE公式アカウントのショップカード

LINE公式アカウントを使う場合は、ショップカードで来店回数を可視化し、クーポンやメッセージ配信で再来店のタイミングを作れます。紙のカードよりも、配信や期限設定がしやすい点がメリットです。

予約台帳

予約制の店舗であれば、予約台帳でも分析できます。名前、電話番号、来店日、人数、利用シーンを記録しておくと、来店頻度や客単価を把握しやすくなります。

POSレジ・モバイルオーダー

POSレジやモバイルオーダーを使っている場合は、会員ID、電話番号、決済情報、注文履歴などと組み合わせて分析できます。ただし、個人情報を扱う場合は、取得時に利用目的を示すことや適切な管理に注意が必要です。

小規模な飲食店であれば、最初から高度なシステムを入れなくても構いません。まずは、スタンプカードやLINE公式アカウントで「初回、2回目、3回目」を追える状態を作るだけでも十分です。

スタンプカードは10回ゴールより3回ゴールにする

飲食店でよくあるのが、「10回来店したら1品無料」「10個たまったら500円引き」というスタンプカードです。

10回来店を目標にする設計が悪いわけではありません。固定客化を目指すうえでは、10回来店はわかりやすい目安です。実際に「3回安定10回固定の法則」でも、3回利用で安定客、10回利用で固定客という考え方が示されています。

ただし、新規客にとって10回は遠いゴールです。初回来店の時点では、そのお店に10回来るイメージがまだありません。だから、最初から10個ためるカードを渡しても、「いつか使うかもしれないカード」で終わってしまうことがあります。

そこでおすすめなのが、3回で一度ゴールするスタンプカード設計です。たとえば次のような形です。

来店回数目的特典例
1回目初回来店スタンプカード配布
2回目再来店のきっかけ作り小さな特典、ドリンク、トッピング
3回目安定客化次回使える特典、限定メニュー案内
4回目以降常連化ランクアップ、常連向け特典
10回目固定客化大きめの特典、VIPカード

このように、10回を最終ゴールにするのではなく、まず3回目までの来店リズムを作ります。

特に重要なのは、2回目と3回目の間です。2回来店したお客様は、すでにお店に対して一定の興味を持っています。このタイミングで3回目の来店理由を作れるかどうかが、リピーター化の分かれ目です。

この「ゴールを近くに設定する」考え方は、出典でも実務例として紹介されています。ダスキンのビジネスコラムでは、LINEショップカードを使う場合に、初回の1ポイント目でまずクーポンを付与してカードを認知・利用してもらい、必要に応じて中間の5ポイント目でも付与を検討し、最終的に10ポイントを目指す設計が推奨されています。最初から10ポイントを貯めさせるのではなく、達成しやすい段階を用意する発想です。

3回ゴール型スタンプカードの設計例

具体的には、次のような設計が使いやすいです。

初回来店時の設計

「次回使える特典」を渡します。たとえば、次回来店時に使えるドリンク無料、トッピング無料、デザート割引などです。重要なのは、初回から大幅値引きをしすぎないことです。値引き目的の再来店になってしまうと、通常価格でのリピートにつながりにくくなります。

2回目来店時の設計

「3回目の理由」を作ります。たとえば、3回目来店で限定メニュー、人気商品のサイズアップ、次回使える500円券などを用意します。ここでは、3回目までの期限を設定すると効果的です。

3回目来店時の設計

「常連候補」として扱います。ここで通常の10回カード、LINE会員特典、誕生日特典、常連向け情報配信などに移行します。

つまりスタンプカードは、最初から10マスを埋めさせるのではなく、3回来店を達成するための導線として設計します。

飲食店向け3回カードの例

回数スタンプ条件特典
1個目初回来店次回使える小特典
2個目2回目来店3回目限定特典を案内
3個目3回目来店常連カードへ移行、または次回特典付与

この形にすると、お客様にとってゴールが近くなります。10回ためるカードよりも、「あと2回来れば特典がある」と感じやすくなります。

飲食店のリピート施策では、お客様に「また行こう」と思い出してもらうことが大切です。ゴールが遠い特典よりも、短期間で達成できる小さな特典のほうが、初期リピートには向いています。

3回来店後の導線を用意する

本当に大事なのは、実は3回来店した後です。3回ゴール型スタンプカードは「最初の3回」を作るための仕組みですが、ここで終わると10回固定にはつながりません。

3回来店したお客様には、通常のスタンプカードへ移行するだけでなく、来店理由を継続的に作ります。たとえば、LINEで季節メニューを案内する、誕生日特典を送る、雨の日限定メニューを知らせる、常連向けの新メニュー先行案内をする、などです。

つまり「3回で安定客にする仕組み」と「3回以降に来店理由を作り続ける仕組み」を分けて設計します。この2段構えにすることで、3回で終わらず、10回固定客へと進めやすくなります。

3回目までの期限を決める

3回カードを作る場合は、期限設定も重要です。以下は、一般的な利用頻度をもとにした運用上の目安です。実際には、客単価、立地、利用シーン、営業時間、顧客層によって調整します。

業態3回来店の目安
ラーメン・定食30〜45日以内
カフェ30〜60日以内
居酒屋60〜90日以内
焼肉・寿司90〜120日以内
テイクアウト14〜30日以内

日常利用される業態ほど、短い期間で3回来店してもらう設計にします。逆に、客単価が高い業態や特別な利用シーンが多い業態では、期間を長めに設定します。

ここで大事なのは、すべての飲食店で同じ期限にしないことです。ランチ店と焼肉店では、自然な来店頻度が違います。業態に合わない短すぎる期限を設定すると、お客様に押し売り感が出てしまいます。

リピート分析を施策に落とし込む方法

リピート分析は、数字を見るだけでは意味がありません。分析した結果を施策に変える必要があります。離脱が起きている段階ごとに、見直す場所が変わります。

2回目への転換率が低いとき

初回来店から2回目への転換率が低い場合は、初回来店時の満足度、接客、料理提供、会計時の案内、次回特典の設計を見直します。初回の体験そのものに改善余地があるケースが多いです。

3回目に進まないとき

2回目までは来るのに3回目に進まない場合は、3回目の来店理由が弱い可能性があります。この場合は、3回目限定の特典、季節メニュー、LINE配信、スタンプカードの期限設定などを見直します。

3回以上来ているのに離脱するとき

3回以上来ているのに離脱する場合は、メニューの飽き、接客品質のばらつき、価格への不満、競合店への流出などを疑います。この場合は、常連向けメニュー、裏メニュー、限定情報、誕生日特典、定期的なイベントなどが有効です。

リピート分析で注意したいこと

リピーターを増やすときに注意したいのは、値引きだけに頼らないことです。割引クーポンは再来店のきっかけになりますが、毎回値引きしないと来ないお客様ばかりになると、利益が残りにくくなります。

飲食店のリピート施策では、値引きよりも「思い出してもらう理由」「もう一度食べたい理由」「知人を連れてきたい理由」を作ることが重要です。

特に3回目以降の特典は、値引き以外も組み合わせることをおすすめします。「500円引き」のような金額訴求も有効ですが、毎回続けると値引き目的の来店になりやすくなります。3回目以降は、「限定メニュー」「常連カードへの移行」「店主おすすめの一品」「裏メニューの案内」など、値引き以外の特典も組み合わせると、お店のブランドを守りやすくなります。施策の例を整理します。

目的施策例
思い出してもらうLINE配信、季節メニュー案内
もう一度食べたい人気メニューの訴求、限定メニュー
3回目に進める3回ゴール型スタンプカード
常連化する常連限定メニュー、誕生日特典
紹介を増やす友人同伴特典、口コミ投稿導線

特に3回目までは、特典を大きくしすぎるよりも、来店しやすい理由を小さく積み上げるほうがよいです。

また、スタンプカードやクーポンを使う場合は、来店回数だけでなく粗利も確認します。再来店が増えていても、特典や値引きによって利益が残っていなければ、施策としては見直しが必要です。特に原価率が高い業態では、値引き幅と原価の合計が売上を圧迫していないかを確認します。

リピート施策で失敗しやすいパターン

リピート施策に取り組むときに失敗しやすいパターンがあります。よく見かけるのは次の4つです。

まず、特典のゴールが遠すぎるケースです。10回来店しないと特典がもらえないカードは、新規客にとってハードルが高く、途中で関心を失いやすいです。

次に、値引きだけに頼りすぎるケースです。再来店のきっかけにはなりますが、「安いから来る」お客様ばかりになると、通常価格での来店が減ります。

3つ目は、初回来店後に何もしないケースです。会計が終わったら次の接点がないまま時間が経ち、お店の印象が薄れてしまいます。

4つ目は、常連向け施策だけ作って、新規客が2回目に進む導線がないケースです。常連を大事にすることは重要ですが、新規客が安定客に育つ仕組みがなければ、常連が離れたときに売上が落ちます。

小規模店はまず紙かLINEで十分

リピート分析と聞くと、POSレジや顧客管理システムが必要だと思う方もいます。しかし、個人店や小規模店では、最初からそこまで投資する必要はありません。

紙のスタンプカードでも、LINE公式アカウントのショップカードでも、「初回・2回目・3回目」が追える状態を作れれば十分です。大事なのは、お客様の来店回数を把握できること。仕組みの精度よりも、まず把握を始めることが出発点です。

まとめ

飲食店のリピート分析では、お客様が何回来店したか、どれくらいの間隔で再来店したか、何回目で離脱しているかを確認します。

リピーターは、一定期間内に2回以上来店したお客様として判定できます。ただし、売上を安定させるうえで特に重要なのは、3回来店した安定客を増やすことです。

「3回安定10回固定の法則」は厳密な統計法則ではありませんが、飲食店のリピート施策を設計するうえでは使いやすい考え方です。最初から10回ゴールのスタンプカードを作るよりも、まず3回目までの来店リズムを作るほうが、初期リピートには向いています。

スタンプカードやLINEショップカードは、10回来店を待つための道具ではありません。初回来店から2回目、2回目から3回目へ進んでもらうための導線です。

飲食店のリピート対策では、「また来てください」と伝えるだけでは弱いです。いつまでに、何回目の来店をしてもらうのか。そのために、どんな理由を用意するのか。ここまで設計することで、リピート分析は実際の売上改善につながります。

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集客のカチプロでは、飲食店のリピート分析やスタンプカード設計、LINE活用の支援を行っています。自店の業態に合った来店リズムの作り方を、ご一緒に設計します。

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小形 洸太

この記事を書いた人

小形 洸太

マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。

集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。

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