AIインフルエンサーとは?企業の活用方法・費用・始め方

最初に結論

AIインフルエンサーは、AIで制作・運用する架空の人物やキャラクターです。

画像・動画・音声をAIで制作し、企業の商品紹介や多言語での発信に活用できます。企画や投稿は、人が運用する場合もあります。

  • 導入前は、デザインと音声の権利を確認します。
    性格やストーリーを決め、確認と投稿の担当者も整理します。
  • 継続的な商品紹介や、多言語での発信に活用できます。
    予算はツール代に加え、企画・修正・確認の人件費まで見積もります。
  • まずは一体のキャラクターと一つのSNSで始めます。
    反応を見ながら企画を改善し、無理なく継続します。

導入は、発信するテーマと担当者を確保できるかで判断します。投稿から商品ページや予約先への導線も用意しましょう。

AIインフルエンサーとは?

AIインフルエンサーとは、AIを使って画像や動画、音声を制作し、SNSなどで情報を発信する架空の人物やキャラクターのことです。

外見は、実在の人に近い人物やアニメ調のキャラクターなどです。企業のマスコットを、発信役として活用する方法もあります。

バーチャルインフルエンサーやVTuberとの違い

バーチャルインフルエンサーは、CGなどで表現する架空の発信者を含む広い呼び方です。AIインフルエンサーとは重なる部分があります。

VTuberは、アバターを使って動画や配信で活動する存在です。人が声や動きを担当する場合もあり、AIの利用有無だけでは分類できません。

この記事では、生成AIを使って制作する企業の発信役を中心に解説します。完全な自動運用を前提にはしていません。

キャラクター画像を作った段階で、影響力が生まれるわけではありません。役立つ投稿と交流を重ね、見てもらえる理由を育てる必要があります。

企業であれば、自社公認のキャラクターを設定できます。商品紹介やサービスの解説、ブランドの世界観を伝える動画に活用します。

商品紹介・解説

キャラクターが商品の魅力を伝える

使い方や特徴を説明し、企業の発信役として活動します。

物語・音楽・海外発信

ブランドに合う表現を広げる

架空の舞台でのPRや、歌う動画、多言語の発信に展開できます。

ElevenLabsの「Eleven v4」などは、多言語の音声生成に対応しています。動画生成AIと組み合わせると、表現の幅が広がります。[1]

制作した動画は、自社ホームページにも展開できます。Googleビジネスプロフィールへの動画追加も可能です。ただし、長さや容量、掲載内容の条件を確認します。音声単体の投稿とは区別して考えましょう。[2]

企画や投稿、コメント対応まで自動化されるとは限りません。企業の担当者が、制作と運用を進めるケースも含まれます。

企業に向いている?導入を判断するポイント

企業での活用には、自社で育てる方法と、既存の発信者を起用する方法があります。目的と運用できる期間で選びます。

自社で育てるか、既存の発信者を起用するか
方法向く目的導入前の確認
自社キャラクターを育てる長期の商品紹介、ブランドの認知、継続的な交流企画担当者、制作時間、投稿テーマを確保できるか
既存のAI・バーチャルインフルエンサーを起用するキャンペーンや特定の層への接点づくりフォロワーの属性、投稿実績、広告利用の範囲と期間

向いているのは、継続して伝える内容がある企業

商品数が多い、説明する機会が多い、複数の言語で発信したい企業は、活用場面を作りやすくなります。

一方、職人の技術や店舗の雰囲気など、実物の説得力が重要な場面もあります。その場合は、実写を見せながらキャラクターが説明する構成が候補です。

発信のテーマや確認担当者が決まっていない場合は、既存SNSの運用を整理してから導入します。キャラクターの制作だけを先行させると、更新が止まりやすくなります。

企業での活用例と投稿から集客へのつなげ方

以下は、企業での活用を考えるための企画例です。実際の導入実績や成果を示すものではありません。

業種別の企画と行動導線の例
業種投稿の内容投稿後の案内先
飲食店新メニューや注文方法を紹介。料理は実物の映像を使うメニュー・店舗情報・予約ページ
小売・EC商品の選び方や使用手順を短い動画で説明する該当商品の詳細ページ
宿泊・観光施設の利用方法やアクセスを多言語で案内する言語別の施設情報・予約ページ
法人向けサービスよくある質問や導入手順をシリーズで解説する詳しい解説・資料請求・相談ページ

参考事例:BMWとLil Miquela

BMWは、電気自動車iX2の広告に、バーチャルインフルエンサーのLil Miquelaを起用しています。実在の商品と架空の人物を組み合わせた表現の参考になります。[3]

この事例は、バーチャルインフルエンサーの起用例です。生成AIだけで制作した事例や、完全自動運用の実績としては扱いません。

企画への示唆は、キャラクターの存在と商品の世界観を結び付けることです。起用の事実だけから、売上への効果や自社での再現性は判断できません。

AIインフルエンサーを活用するメリット

担当者が変わっても継続しやすい

社員本人が出演するSNSでは、異動や退職で発信が続けにくくなることがあります。AIキャラクターなら、企業の発信役を維持できます。

設定や制作素材、運用手順を共有することが、引き継ぎの土台になります。

聞き取りやすい音声に整えやすい

音声生成AIでは、話す速度や間、声の雰囲気を調整できます。録り直しの負担を減らし、内容に合うナレーションを制作しやすくなります。

商品名や専門用語の読み間違いは起こりうるため、試聴と修正は必要です。

出演者個人の私生活に起因するリスクを抑えられる

架空のキャラクターには、実在する出演者の私生活に起因するスキャンダルはありません。

一方で、不適切な発言や誤情報、権利侵害への批判は起こりえます。人による確認と、責任ある運用が必要です。

海外向けの情報発信に展開しやすい

多言語の音声生成を使えば、英語や中国語などへ展開しやすくなります。[1]

自然な発音と、正確な翻訳は別の確認事項です。翻訳内容や商品名の読み方、現地の文化に合う表現かを確認しましょう。

実写撮影が難しい表現に挑戦できる

架空の舞台や大胆な場面転換など、実写では準備や費用がかかる演出に取り組みやすくなります。

商品の性能や効果を伝える際は、実際にはできないことができるように見える表現を避けましょう。

AIインフルエンサーを活用する前に準備したいこと

キャラクターのデザインと権利を確認する

外見や衣装、名前、ロゴを決める際は、既存の作品やブランドとの類似を確認します。

AIで生成した画像でも、著作権侵害が問題になる場合があります。既存の著作物との類似性や依拠性などが判断に関わります。[4]

音声は、サービスの商用利用条件を確認します。実在する人の声を複製する場合は、本人との合意を事前に整えます。

利用目的、媒体、期間、海外向け配信、利用終了時の扱いなどを整理します。デザイナーへ依頼する際も、広告への利用を含めて確認しましょう。

性格とストーリーを設定する

愛着を持ってもらうには、性格や背景の設定が重要です。長所に加え、弱点や目標があると、会話や物語を作りやすくなります。

例えば「新しいものが好きだけれど、少し慌て者」といった設定です。企業のブランドに合う範囲で、個性に幅を持たせます。

キャラクターシートにまとめたい項目
項目設定する内容
基本情報名前、外見、活動の舞台
性格長所、弱点、好きなこと、苦手なこと
話し方一人称、口調、よく使う言葉
ストーリー活動する理由、目標、過去の出来事
他のキャラクターとの関係友人、先輩、ライバルなど
ブランドとの関係企業での役割、商品との接点
表現の方針発言しない内容、避ける演出

設定を共有すると、担当者が変わっても言動をそろえやすくなります。

運用方針と役割を決める

企画、制作、投稿前の確認、公開の担当者を決めます。コメントへの返信や、問題が起きた際の責任者も整理します。

商品紹介などの定番テーマを用意しつつ、流行や視聴者の反応に合わせて企画を調整します。

プロフィールなどで、架空のAIキャラクターであることを伝えます。各SNSのAI生成コンテンツに関する表示ルールも確認しましょう。

YouTubeでは、現実と誤認されうる一定の改変・合成コンテンツについて、開示が求められます。[5]

AIインフルエンサーの運用に必要なもの

メインキャラクターと登場キャラクター

まずは、発信の中心となるキャラクターを一体設定します。必要に応じて質問役や友人を加えると、会話形式の動画も作れます。

登場人物が増えると、設定や素材の管理も増えます。最初は少人数で始めるとよいでしょう。

SNSアカウント

発信先には、X、Instagram、TikTok、YouTubeなどがあります。まずは、届けたい相手に合うSNSを一つ選びます。

コメントへの返信や分析にも時間が必要です。運用を安定させてから、他の媒体へ広げる方法もあります。

アカウントは企業側で管理し、担当者が変わっても引き継げる状態にします。

企画やプロンプトの作成・管理に使うAI

ClaudeやChatGPTなどは、ストーリーの原案や台本、シーン構成の補助に使えます。画像・動画生成用の指示文も整理できます。

キャラクターシートや過去の投稿を参照すると、世界観をそろえやすくなります。採用した台本、プロンプト、参照画像は保存しましょう。

画像・動画生成AIと音声生成AI

キャラクターの基準画像、動画、話し声を作るツールが必要です。動画にはSeedance系やKling系などが選択肢になります。[6]

Higgsfieldでは、複数の動画モデルや音声生成機能を利用できます。音声モデルには、ElevenLabs(イレブンラボ)などがあります。[7]

ツールは、外見を保ちやすいか、日本語の発音が自然か、修正しやすいかで選びます。予算内で継続できるかも確認します。

歌う動画に使う音楽生成AI

キャラクターに歌わせる場合は、Sunoなどで楽曲を用意します。曲の雰囲気や歌詞を指定して、制作を進められます。

Sunoを有料で利用する場合は、Higgsfieldとは別途契約します。企業のPRに使う際は、プランや生成物ごとの商用利用条件を確認しましょう。[8]

話す動画

画像+セリフの音声+動画

キャラクターが商品やサービスを説明します。Higgsfieldなどで素材を制作できます。

歌う動画

楽曲+キャラクター+動画

Sunoなどで楽曲を作り、対応機能で歌声と口の動きを合わせます。

キャラクターの外見と声をそろえる

正面・斜め・全身の基準画像と、採用する声を保存します。衣装や配色、話す速度もキャラクターシートに記録します。

毎回ゼロから生成すると、顔や声が変わることがあります。同じ参照素材を使い、別人のように見えるカットは修正します。

音声と口の動きを合わせる

話す動画は、台本から音声を作り、キャラクター画像と組み合わせます。対応機能で音声と口の動きを合わせる処理が、リップシンクです。

歌う動画は、楽曲の使用区間を決めてから動画を作ります。最初は短いカットで試し、口の動きや表情を確認して編集します。

編集と公開前の確認環境

字幕や音声、映像を調整する編集環境も必要です。商品名、価格、性能の説明が正しいかを確認します。

商品の形やロゴの崩れ、読み間違い、字幕と音声の不一致を確認してから公開しましょう。

デメリットと運用時に注意したいこと

再生成や確認に時間がかかる

顔、手、商品ロゴ、音声の発音などを修正する場合があります。費用は完成動画の本数に加え、再生成と編集にかかる時間で見積もります。

実体験を伝える場面には限界がある

架空の人物は、実際の購入者や来店客の体験を持ちません。「実際に使って効果を感じた」といった体験談を捏造せず、確認できる商品情報を伝えます。

AIの表示と広告の表示をそれぞれ確認する

AIで作ったことの開示と、企業の広告であることの表示は別の事項です。企業による広告だと分かりにくい場合は、PRなどを分かりやすく示します。[9]

企業公式の発信であることが明らかな場合もあります。一律にタグを付けるだけで判断せず、投稿全体から広告主との関係が伝わるかを確認します。

担当者と素材の引き継ぎを整える

アカウントの管理者、素材の保存先、使用したモデルや声を記録します。利用サービスの変更に備え、完成素材と編集データも保存します。

AIインフルエンサーの費用と内製・外注の選び方

費用は、キャラクターの作り込み、動画の本数、修正回数で変わります。見積もりは、初期費用と毎月の運用費に分けて考えます。

見積もりに含める費用
区分主な項目金額を左右する条件
初期費用キャラクター設計、基準画像、音声の準備、権利確認デザイン案の数、独自性、契約の範囲
月額のツール費画像・動画・音声・音楽生成、編集、保存プラン、生成量、再生成の回数
制作・運用費企画、台本、編集、確認、投稿、返信、分析本数、動画の長さ、言語数、社内工数
追加費用外注、翻訳確認、広告配信など委託範囲、配信量、修正条件

試算例:月4本の短い動画を内製する場合

仮にツール代を月1万円、作業を月20時間とします。社内の時間単価を3,000円とすると、月額は7万円です。

計算:1万円+20時間×3,000円=7万円。1本あたりは1万7,500円です。

これは予算の考え方を示す仮定です。市場相場や制作時間の目安ではありません。初期制作費と広告費は別に見積もります。

内製と外注は、社内で持てる役割で選ぶ

内製は、担当者が制作方法を学び、改善を続けられる場合に向きます。外注は、デザインや制作の専門性を補いたい場合に候補になります。

外注しても、商品情報の提供や内容の承認は社内で必要です。納品本数、修正回数、素材の引き渡し、広告への再利用条件を比較しましょう。

導入から運用までの流れ

設計する目的・キャラクター・権利
制作する台本・画像・音声・動画
確認して公開内容・表現・表示ルール
反応を見て改善視聴・反応・問い合わせ
  1. 届けたい相手と、発信の目的を決めます。
  2. キャラクターシートを作り、権利を確認します。
  3. SNSを選び、制作と確認の役割を決めます。
  4. 短い動画を試作し、音声や外見を調整します。
  5. 内容を確認して公開し、視聴者の反応を見ます。
  6. 企画を改善し、続けられる投稿ペースを整えます。

再生数に加え、プロフィールへの訪問や問い合わせなども確認します。目的に合う指標を選ぶと、企画を改善しやすくなります。

成果の測り方と改善の進め方

初回は、検証期間と投稿本数を決めて試します。例えば「4週間で4本」は、運用を確認するための計画例です。効果が出る期間を保証するものではありません。

目的別に見る成果指標
目的確認する指標次に見直すこと
認知を広げる届いた人数、視聴の継続、プロフィール訪問冒頭の内容、キャラクターと商品の結び付き
商品への理解を深める保存、質問、解説ページへの移動説明の順番、専門用語、実物の見せ方
予約・購入につなげるリンクのクリック、予約・購入、問い合わせ案内先の一致、申込方法、訴求内容
継続できるか確かめる1本あたりの費用、作業時間、修正回数動画の長さ、制作方法、担当範囲

投稿と商品ページの内容をそろえる

投稿ごとに、次に取ってほしい行動を一つ決めます。新商品を紹介したら、その商品の詳細へ案内します。

SNSごとに利用できるリンクの場所を確認します。計測用のリンクや予約時の流入元確認を使い、どの投稿が行動につながったかを記録します。

過去の投稿と比べ、改善点を決める

同じテーマの実写投稿や従来の投稿と比較します。広告費や配信条件が違う場合は、数字だけで優劣を決めないようにします。

再生されても商品ページに進まない場合は、紹介内容と案内先を見直します。成果が出ても工数が大きい場合は、制作方法を簡略化します。

投稿数が少ない段階では、結果が大きくぶれることもあります。継続・改善・休止の判断は、成果と作業負担を合わせて行います。

AIインフルエンサーについてよくある質問

AIインフルエンサーは無料で作れますか?

無料枠で試作できるサービスもあります。企業が公開する際は、商用利用、透かし、生成量の条件を確認します。企画や編集の人件費も必要です。

AIだけで自動運用できますか?

制作や投稿の一部を自動化する方法はあります。商品情報の正確さ、権利、コメントへの対応は、人が責任を持って確認する体制を整えましょう。

収益化や売上につながりますか?

商品販売や企業案件などにつながる可能性はあります。キャラクターを作るだけで収益は生まれません。見てもらう理由と、購入・問い合わせへの導線が必要です。

最初から複数のSNSを運用すべきですか?

まずは顧客との接点があるSNSを一つ選びます。制作、返信、分析を続けられる状態にしてから展開すると、負担を管理しやすくなります。

まとめ

AIインフルエンサーは、企業独自のキャラクターで、商品やサービスを継続的に紹介する方法です。多言語への展開や、実写では難しい演出にも活用できます。

導入時は、デザインと音声の利用条件を確認します。性格やストーリー、担当者の役割も整えておきましょう。

目的・担当者・予算・評価指標を決め、一体のキャラクターで試しましょう。視聴者の反応を見ながら、企画と制作方法を改善します。

誰に、何を、どのように伝えるかを明確にすることが、継続的な運用の土台になります。

出典・参考資料

  1. ElevenLabs公式モデル一覧
  2. Googleビジネスプロフィールの写真・動画ガイドライン
  3. BMW公式:The first-ever BMW iX2 × lil Miquela(2023年)
  4. 文化庁「自身の作品に類似したAI生成物への対応」
  5. YouTubeの改変・合成コンテンツの開示ルール
  6. Higgsfieldの動画モデル一覧
  7. Higgsfieldの音声生成機能
  8. Suno利用規約
  9. 消費者庁:ステルスマーケティングに関するQ&A
小形 洸太

この記事を書いた人

小形 洸太

マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。

集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。

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