悪い口コミがついた時に削除はできるの?削除要件と開示請求の要件を解説

悪い口コミがついた時に削除はできるの?削除要件と開示請求の要件を解説
📋 この記事のポイント

事業を運営していれば、いつか必ず直面するのが「悪い口コミ」の問題です。対処を誤ると炎上につながることもあります。

  • 口コミは原則として削除できない。まず返信で誠実に対応するのが基本
  • Googleのガイドラインに明確に違反している場合のみ通報(削除申請)が可能
  • 悪意が強く名誉毀損の要件を満たすケースは発信者情報開示請求という法的手段がある
  • 開示後は損害賠償請求または刑事告訴へ進むことができる
  • いずれの段階でもログの保存期間に注意。気づいたら早めに動くことが重要

01口コミは削除できるのか?原則と例外

結論からいえば、Googleの口コミは原則として事業者側が削除することはできません。どれだけ不満があっても、「自分に不都合だから」「事実と違うと思う」だけでは削除の対象にはなりません。

Googleは公平性と透明性の観点から、口コミの削除基準を厳格に設けており、削除できるのは「Googleのガイドラインに明確に違反しているコンテンツ」に限られます。

○ 削除申請できる口コミ
  • スパム・なりすまし投稿
  • 競合他社による嫌がらせ投稿
  • 来店実績のない人物による虚偽の投稿
  • 差別的・ヘイト的な表現を含む投稿
  • 個人情報(住所・電話番号等)を含む投稿
  • 性的・暴力的など不適切なコンテンツ
  • ビジネスとまったく無関係な内容
✕ 削除されにくい口コミ
  • 「接客が悪かった」などの主観的な感想
  • 低評価・否定的な評価(それ自体は正当)
  • 事実に基づく批判的な意見
  • 「気に入らない」「不快だった」など感情的な表現
  • 証拠がなく事実確認が難しいもの
💡 POINT 削除申請をGoogleに対して複数回繰り返すと、スパム扱いされてアカウントが停止されるリスクがあります。通報は1回、証拠が揃った場合の1回の再審査請求までにとどめましょう。

02まず取るべき対応:返信による対処

削除できない口コミに対して最も有効な手段は、誠実な返信です。返信は投稿者本人だけでなく、その口コミを見た第三者(潜在顧客)にも届きます。丁寧な返信は「信頼できる事業者」という印象を与え、むしろ評価を高める効果もあります。

返信の基本姿勢

  • 感情的に反論しない——正論であっても、攻撃的な文体は炎上を招きます
  • 事実誤認は冷静に訂正する——「ご指摘の点については〜」と穏やかに事実を示す
  • 謝罪が必要な点は素直に謝る——言い訳が先に来ると読者の印象が悪くなります
  • 改善策・対応策を示す——「現在〜を改善中です」と前向きな姿勢を見せる
  • 詳細は直接連絡を促す——「ぜひ直接ご連絡いただけますか」と個別対応へ誘導する
💬 返信文例(事実誤認が含まれる低評価口コミへの対応)
このたびはご不満をお持ちになられたとのこと、誠に申し訳ございません。

ご指摘いただいた〇〇の点につきましては、当店では〜〜という対応をとっております。 行き届かなかった点がございましたとすれば、大変失礼いたしました。

いただいたご意見はスタッフ一同で共有し、サービス向上に努めてまいります。 もしよろしければ、詳細を直接お聞かせいただけますでしょうか。下記にてお待ちしております。

〇〇(店名) Tel:xxx-xxxx-xxxx
⚠️ 絶対にやってはいけないこと 「嘘をつくな」「いつ来たのか証明してみろ」など、投稿者を攻撃・挑発する返信は厳禁です。正当性があっても、第三者から見ると事業者側が「感情的で信用できない」と映り、逆効果になります。

03例外①:ガイドライン違反なら通報・削除申請

口コミの内容がGoogleのポリシーに明確に違反していると判断できる場合は、削除申請(違反報告)を行いましょう。

削除申請の手順(Googleビジネスプロフィールから)

1
Googleビジネスプロフィールにログイン
自分のビジネスアカウントでログインし、「口コミ」メニューを開きます。
2
対象の口コミの「3点リーダー」をクリック
報告したい口コミの右上にある縦の3点リーダー(⋮)から「口コミを報告」を選択します。
3
違反理由を選択して送信
表示される選択肢からガイドライン違反の理由を選び、「送信」します。どのポリシーにどう違反しているかを具体的に根拠立てて選ぶと、削除成功率が高まります。
4
Googleが審査(数日〜1ヶ月程度)
審査結果の通知は届きません。口コミが削除されていれば成功です。審査でポリシー違反なしと判断された場合は、1回だけ「再審査請求」を送ることができます。
⚠️ 削除申請の注意点 削除申請は1回の送信のみにとどめてください。複数回繰り返すとスパム判定を受け、アカウントが停止されるリスクがあります。再審査請求も1回限りです。また、Googleビジネスプロフィールを管理していないアカウントでも、Googleマップ上から報告は可能ですが、オーナーアカウントからの申請の方が審査が通りやすい傾向があります。

04例外②:悪質なケースは発信者情報開示請求

Googleへの削除申請を行っても削除されず、かつ口コミの内容が名誉毀損・信用毀損・業務妨害などの違法性を帯びていると判断できる場合、法的手段として「発信者情報開示請求」を検討できます。

これは「情報流通プラットフォーム対処法(旧:プロバイダ責任制限法)」に基づく制度で、匿名の投稿者を特定するために、GoogleやISP(インターネットサービスプロバイダ)に対して投稿者の情報開示を求めるものです。

開示請求が認められる主な要件

  • 権利侵害が明白であること——名誉毀損・信用毀損・業務妨害などに該当することが明らかである
  • 開示を受ける正当な理由があること——損害賠償請求や刑事告訴のために投稿者の特定が必要
  • プロバイダが情報を保有していること——ログが保存されている期間内に請求する必要がある
🚨 ログの保存期間に注意! アクセスログは一般的に3〜6ヶ月程度で削除されます。「あの口コミが気になっていたけど様子を見ていた」と時間をおいてしまうと、物理的に投稿者の特定が不可能になることがあります。法的手段を検討するなら、気づいた時点で早めに弁護士に相談することが非常に重要です。

開示請求の流れ

1
弁護士に相談
弁護士への相談・委任
発信者情報開示請求は法的な専門知識が必要な手続きです。自己判断で進めると要件を満たせず却下されることもあるため、まず弁護士に相談します。弁護士以外の業者が「口コミ削除」を営業してくることがありますが、弁護士法違反となる可能性があるため注意が必要です。
2
裁判所への申立て
発信者情報開示命令の申立て(非訟手続)
2022年10月施行の法改正により、以前は最大3回必要だった裁判手続きが、1回の非訟手続きで完結できるようになりました。裁判所がGoogleなどのコンテンツプロバイダとISPの双方に対して、同時に開示命令を出すことが可能になっています。
3
情報開示
IPアドレス・氏名・住所等の取得
裁判所の命令に基づき、GoogleなどのプラットフォームとISPから投稿者のIPアドレス・氏名・住所などの発信者情報が開示されます。これにより匿名の投稿者の特定が可能になります。

発信者情報開示によって投稿者が特定できたら、以下の法的手段を選択・組み合わせることができます。

① 損害賠償請求(民事)

不法行為(名誉毀損・信用毀損・業務妨害など)に基づく損害賠償を民事訴訟または示談交渉で請求します。認められる賠償額はケースにより幅がありますが、弁護士との交渉による示談で解決するケースも多くあります。

② 名誉毀損罪・業務妨害罪での刑事告訴

口コミの内容が刑事事件として成立する要件を満たす場合、警察への告訴状の提出により刑事手続きを進めることができます。名誉毀損罪(刑法230条)は3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金、業務妨害罪(刑法233条・234条)は3年以下の懲役または50万円以下の罰金が定められています。

💡 POINT 損害賠償請求と刑事告訴は排他的ではなく、同時並行または組み合わせて進めることも可能です。どちらを優先するかは、目的(金銭補償か、再発防止・制裁か)や証拠の状況によって変わります。弁護士と相談して方針を決めましょう。

06やってはいけないNG対応

悪い口コミを受けたときに、焦りや怒りから取りがちな行動の中には、状況を悪化させるものがあります。以下のNG行動は必ず避けてください。

感情的な返信・投稿者への反論・攻撃
正論であっても、感情的・攻撃的な返信は第三者に悪印象を与え、炎上を引き起こすリスクがあります。返信する前に一晩おいて冷静になることを推奨します。
口コミ削除業者(弁護士以外)への依頼
「口コミを削除します」と営業してくる業者の多くは弁護士資格を持っておらず、Googleへの交渉を代行することは弁護士法違反となる可能性があります。依頼した場合、アカウント停止などのペナルティを受けることもあります。
サクラ口コミ・自作自演での評価操作
業者に依頼したやらせレビューや、自社関係者による口コミはGoogleのガイドライン違反です。発覚した場合、すべての口コミが削除されるだけでなく、Googleビジネスプロフィールのアカウント自体が停止されることがあります。
削除申請を何度も繰り返す
同じ口コミへの削除申請を繰り返すと、Googleからスパムと判定されアカウントに制限がかかることがあります。申請は1回、再審査は1回までにとどめましょう。

📝 まとめ:悪い口コミへの対処フロー

  • 原則:削除できない——まず誠実な返信で対処する。第三者に「信頼できる事業者」と思わせることが最大の防御
  • 例外①:ガイドライン違反——スパム・虚偽・嫌がらせなど明確な違反があればGoogleに通報。審査は1回のみ
  • 例外②:悪質・名誉毀損レベル——弁護士に相談し、発信者情報開示請求(非訟手続)で投稿者を特定
  • 開示後:損害賠償または刑事告訴——目的に応じて民事・刑事の手段を選択・組み合わせ
  • ログの保存期間に注意——法的手段を検討するなら早めの行動が不可欠

どのフェーズにおいても、感情的にならず冷静に対処することが最も重要です。判断に迷う場合は早めに専門家(弁護士)に相談することをおすすめします。

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小形 洸太

この記事を書いた人

小形 洸太

マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。

集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。

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