消費者行動モデルとは?ビジネスで使えるマーケティング用語

消費者行動モデルとは、消費者が商品やサービスを知り、興味を持ち、欲求を感じ、購入に至るまでの一連の心理や行動を、段階的にモデル化したものです。主に「認知→興味→欲求→記憶→行動」など、消費者の購買プロセスをパターン化し、マーケティング戦略の基礎として活用されます。時代や社会環境の変化に応じて、AIDMAやAISAS、SIPSなどのモデルが生まれ、それぞれ特徴的なステップを持ちます。

目次

消費者行動モデルはどのように活用されるのか?

マーケティングの戦略を策定する時に、カスタマージャーニーを作成します。カスタマージャーニーとは、消費者行動に対して、インサイトやマーケティングの施策を当てはめるものです。例えば、AISASモデルでは「認知→関心→検索→行動→共有」の流れに応じて、広告やランディングページ、比較サイト、SNSでの拡散など多様な施策を展開します。

消費者行動モデルは、購買までの流れをイメージするカスタマージャーニーの核であり、商品やサービスに対して、適切なモデルのものが選択されていなければ、マーケティングの戦略がズレることもあります。

消費者行動モデルの具体例

消費者行動モデルは、商品・サービスや時代背景、ライフスタイルの変化で派生することが多いです。代表的な消費者行動モデルは以下のようになっています。観察をすることで、微調整をすることもあります。

AIDA

AIDAモデルは「Attention(注意)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Action(行動)」の4段階で構成され、消費者が広告や販促を通じて商品を認知し、興味を抱き、欲求を高めた上で購買に至る心理プロセスを示します。1920年代に新聞・雑誌・ラジオ広告向けに提唱された古典モデルで、日用品や食品などマスメディア広告で短期間に購買喚起を図りたい商品に適しています。

AIDMA

AIDMAモデルはAIDAに「Memory(記憶)」を加えた5段階型です。情報接触後に一度記憶に残すことで、消費者が購入を検討するタイミングで思い出し、行動に移す仕組みを強調します。家電や自動車、化粧品など複数回の広告接触で購買意欲を高めたい耐久消費財に適用されます。

AISAS

AISASモデルは「Attention(認知)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)」の5段階で、インターネット時代の能動的な検索とSNSでの情報拡散行動を組み込んでいます。消費者がWeb検索で商品情報を調べ、購入後にはSNSで口コミを発信する流れを捉えており、ECサイトやオンラインサービス、旅行予約サイトなどデジタルチャネルを軸とする販促に向いています。

AISCEAS

AISCEASモデルはAISASに「Comparison(比較)」と「Examination(検討)」を加えた7段階型で、消費者が複数の商品を比較し、じっくり検討した上で購入・共有に至るプロセスを詳細化します。2005年に提唱され、自動車や高級家電、BtoB商材など高価格・高関与商品で、Web上の詳細情報比較を前提としたマーケティング設計に適しています。

SIPS

SIPSモデルは「Sympathize(共感)→Identify(確認)→Participate(参加)→Share & Spread(共有・拡散)」の4段階で、SNS上での共感形成を起点に購買や拡散を促すプロセスを示します。2011年電通提唱。ファッション、化粧品、飲食店、イベントなど、ユーザー同士の共感が購買行動につながる領域で有効です。

VISAS

VISASモデルは「Viral(口コミ)→Influence(影響)→Sympathy(共感)→Action(行動)→Share(共有)」の5段階を示し、口コミの拡散性やインフルエンサーの影響力、消費者の共感を重視します。2010年頃に大元隆志氏らが提唱。コスメやファッション、ガジェットなど、インフルエンサーマーケティングを活用する商品・サービスに適しています。

ULSSAS

ULSSASモデルは「UGC(ユーザー投稿)→Like(いいね)→Search1(SNS検索)→Search2(検索エンジン検索)→Action(購入)→Spread(拡散)」の6段階で、ユーザー生成コンテンツを起点にSNSでのいいねや検索、購入、さらに拡散までを循環的に表現します。SNSマーケティング支援企業ホットリンク提唱。口コミ主体のエンタメやインディーズ作品などで効果的です。

SEAMS

SEAMSモデルは「Surf(回遊)→Encounter(遭遇)→Accept(受容)→Motivation(動機)→Share(共有)」の5段階を示し、情報過多の中でスマホ回遊から偶発的な出会い、購買動機の喚起、共有までを捉えます。2023年電通提唱。アプリやストリーミング、ニュースメディア、広告やコンテンツの偶発的接点を重視する領域で有効です。

AMTUL

AMTULモデルは、消費者が商品やサービスを認知してから愛用者となるまでの長期的な心理・行動の変化を5段階で表現した購買行動モデルです。具体的には、Awareness(認知)、Memory(記憶)、Trial(試用)、Usage(本格使用)、Loyalty(愛用)で構成されます。

AIDMAが1回限りの購買行動を想定しているのに対し、AMTULは継続購入や顧客ロイヤリティの向上を重視し、顧客育成やLTV(ライフタイムバリュー)最大化を目指す商品・サービス、特に化粧品やサブスクリプション型サービス、医薬品などに適しています。

AIDEES

AIDEESモデルは、「Attention(注目)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Experience(体験)→Enthusiasm(熱意・心酔)→Share(推奨・共有)」の6段階で、購入後の体験や顧客の熱中、そして口コミ・SNSによる情報拡散までを重視したモデルです。従来のAIDMAに比べ、消費者の感情や体験、共感が次の消費者の認知へと循環する仕組みを特徴とし、ブログやSNS、コミュニティを活用したマーケティング、ブランドへの熱狂的ファンを育てたい商品・サービスに適しています。

まとめ

消費者行動モデルは、消費者が商品やサービスを知り、興味を持ち、欲求を感じ、購入に至るまでの一連の心理や行動を、段階的にモデル化したものです。マーケティングでは、戦略立案時に、カスタマージャーニーマップを作る時に使われます。

消費者行動モデルは、典型的なものに調整されたもので、現実で運用するとズレが発生している場合もあります。この場合は、結果や実際に起こっていることを観察し、修正を加えることで戦略の精度を上げることができます。

最終更新日 2025年6月30日

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この記事を書いた人

マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。

集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。

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