飲食店の物件選びと用途地域の注意点|商圏分析・売上シミュレーションの考え方も解説

📋 この記事でわかること

  • 物件選びで失敗する人の共通パターン
  • 用途地域とは何か・飲食店が出せない場所の一覧
  • 深夜酒類・風俗営業は出せる用途地域がさらに限られる
  • 用途地域の確認方法(契約前に必ずやること)
  • 商圏とは何か・業態別の商圏距離の目安
  • 売上シミュレーションの考え方と専門家活用のすすめ
  • 物件契約前のチェックリスト

「駅前だから集客できる」「前のテナントが飲食店だったから大丈夫」——物件選びで失敗するオーナーの多くが、このような思い込みで契約を進めてしまっています。

飲食店の物件選びには、法律的なクリア条件(用途地域)と、商売として成立するかどうかの判断(商圏分析)という、まったく性格の異なる2つの視点が必要です。この記事では、その両方をわかりやすく解説します。

目次

物件選びで失敗する人の共通パターン

飲食店の開業後に「立地で失敗した」と後悔するオーナーには、物件選びの段階で共通したミスがあります。

  • 「前のテナントが飲食店だったから大丈夫」と思い込む 前テナントが無許可営業だった可能性もある。用途地域は必ず自分で確認する
  • 「人通りが多い=売れる」と勘違いする 自店のターゲット客が通る導線かどうかが重要。人通りの多い商店街でも業態次第では苦戦する
  • 家賃の安さだけで決める 家賃が安い=何らかの理由がある場合も。日当たり・視認性・搬入経路なども必ず確認する
  • 商圏内の競合調査をせずに出店する 似た業態の競合が密集している中に飛び込むと、価格競争に巻き込まれやすい
  • 売上シミュレーションをしないまま家賃を決める 「売上の10%以内」が家賃の目安。先に家賃ありきで物件を決めると収支が合わなくなる

用途地域とは?飲食店が出せない場所がある

日本では都市計画法に基づき、全国の市街地が13種類の用途地域に分類されています。地域ごとに「どんな建物・施設を建てられるか」が定められており、飲食店の開業が禁止または制限される場所が存在します。

「以前に飲食店が入っていた建物だから開業できる」と断定することはできません。前テナントが無許可で営業していた可能性もゼロではないからです。物件契約の前に、必ず自分で用途地域を確認することが鉄則です。

飲食店と用途地域の可否一覧

用途地域 系統 飲食店 補足
第一種低層住居専用地域 住居系 条件付き 兼用住宅で店舗部分50㎡以下かつ延べ面積の1/2未満のみ可
第二種低層住居専用地域 住居系 条件付き 床面積150㎡以下の店舗まで可
第一種中高層住居専用地域 住居系 条件付き 床面積500㎡以下まで可
第二種中高層住居専用地域 住居系 条件付き 2階以下・床面積1,500㎡以下まで可
第一種住居地域 住居系 ほぼ制限なし 大規模店舗は制限あり
第二種住居地域 住居系 ほぼ制限なし
準住居地域 住居系 制限なし 幹線道路沿いに多い
田園住居地域 住居系 条件付き 農産物直売所・農家レストランなどが中心
近隣商業地域 商業系 制限なし
商業地域 商業系 制限なし 繁華街・駅周辺に多い
準工業地域 工業系 制限なし
工業地域 工業系 制限なし 周辺環境(騒音・排気)に注意
工業専用地域 工業系 出店不可 飲食店の開業は認められない

深夜酒類提供飲食店・風俗営業は出せる場所がさらに限られる

居酒屋・バーなど、深夜0時〜午前6時にお酒をメインで提供する店(深夜酒類提供飲食店)は、出店できる用途地域がさらに絞られます。

業態 出店できる用途地域
深夜酒類提供飲食店
(居酒屋・バーなど)
近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・用途地域の指定のない区域
※住居地域・準住居地域でも商業地域の周囲30m以内なら可の場合あり(自治体により異なる)
風俗営業1号許可が必要な店
(スナック・キャバクラなど)
近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域
※加えて学校・病院などの保全対象施設から一定距離の制限あり

⚠ 居酒屋・バーで開業するなら物件契約前に必ず確認

深夜営業ができない用途地域で居酒屋を開業してしまうと、深夜0時以降の営業ができません。「深夜営業できない物件と知らずに契約した」という失敗は実際によくあります。物件契約の前に用途地域を確認し、警察署にも事前相談しておきましょう。

用途地域の確認方法

  • 自治体のホームページで確認する ほとんどの市区町村が用途地域マップをホームページで公開している。「○○市 用途地域」で検索するのが最も手軽
  • 市区町村の都市計画課の窓口で確認する 判断に迷う場合は直接窓口へ。建物が用途地域の境界をまたぐケースは特に要注意
  • 不動産会社・仲介業者に確認する 物件情報に記載されている場合も多い。ただし必ず自分でも確認する習慣をつける

💡 用途地域はおおむね5年ごとに見直される

「以前は出店できなかったエリアでも、現在は可能になっている」というケースもあります。過去の情報に頼らず、最新の情報を必ず確認しましょう。

商圏分析の基本|「人が多い」だけでは売れない

用途地域の確認は「出店できるかどうか」の最低条件です。次に「そこで商売が成立するかどうか」を判断するのが商圏分析です。

商圏とは、店舗にお客様が来てくれると期待できるエリアのことです。「駅前で人通りが多い」「有名ショッピングモールの近く」だから売れる、とは必ずしも言えません。自店のターゲット客が、どこから来て、どの経路を通り、どんなニーズで来店するかを考えることが商圏分析の本質です。

商圏の3つの圏域

1次商圏

最重要エリア

来客の約60〜70%を占める中心エリア。徒歩5〜10分圏内が目安

2次商圏

主要エリア

来客の20〜30%を占めるエリア。自転車・車で来店する層

3次商圏

広域エリア

評判や目的来店の層。遠方からわざわざ来るファン客など

業態別の商圏距離の目安

業態 1次商圏の目安 主な来店動機
ランチ専門・定食屋 徒歩3〜5分(約300〜500m) 近隣オフィス・住民の日常利用
カフェ 徒歩5〜10分(約500m〜1km) 作業・休憩・打ち合わせ
居酒屋・バー 駅から徒歩5分以内 仕事帰り・週末の外食
ラーメン・うどん 徒歩〜車で10〜15分 食べたいものを目指して来店
高級レストラン・特化型 車・電車で30分以上も可 記念日・特別な目的・評判

💡 「人通りが多い=自店のターゲットが通る」ではない

ファミリー層が多い住宅街の幹線道路沿いに、深夜営業の立ち飲み店を出しても集客は難しいです。逆に、一見地味なエリアでも「近くにオフィスが集中している」「特定の目的で人が集まる施設がある」なら、業態次第でチャンスになります。

商圏調査で確認すべきポイント

  • 人口・世帯構成 1次商圏内の人口・年齢層・世帯数(単身か家族か)をGoogleマップや国勢調査データで把握する
  • 昼間人口と夜間人口の差 オフィス街はランチに強く夜は弱い。住宅街は逆のパターンが多い
  • 競合店の状況 同業態の競合が何店舗あるか・価格帯・客層を調査する。適度な競合は「需要の証明」にもなる
  • ターゲット客の動線 ターゲット客が実際に通る道を歩いて確認する。朝・昼・夜・平日・休日で人の流れは大きく違う
  • 周辺施設との相性 駅・学校・病院・オフィスビル・商業施設など、集客の助けになる施設があるか

売上シミュレーションの考え方

商圏分析の次のステップが売上シミュレーションです。「この物件で月いくら売れるか」を事前に試算することで、家賃・人件費・仕入費が払えるかどうかを判断できます。

売上シミュレーションは物件選びだけでなく、日本政策金融公庫への融資申請の事業計画書にも必須の内容です。根拠のある数字を出せるかどうかが、融資の可否にも影響します。

基本的なシミュレーションの考え方

月商の簡易シミュレーション(例:30席のランチ専門カフェ)

客席数 30席
回転数(ランチ) 2.5回転 1組あたり40〜50分の利用を想定
1日の来客数(満席率70%) 約52人 30席 × 2.5回転 × 70%
客単価 1,200円
1日売上 約62,000円
月商(25営業日) 約155万円

このシミュレーションで重要なのは「回転数」と「満席率」の根拠です。「2.5回転できるはずだ」という希望的観測ではなく、競合店の混雑状況を実地で観察した上で設定することが求められます。

⚠ 売上シミュレーションは「専門家と一緒に」が安心

商圏分析や売上シミュレーションは、やり方を知っているだけでは精度が出ません。人口データの読み方・競合分析の手法・エリアの特性など、経験値が大きく影響します。カチプロでは集客支援が専門のためM&A・立地診断・売上シミュレーションは対応範囲外ですが、商工会議所の経営指導員やよろず支援拠点、中小企業診断士などの専門家への相談をおすすめします。

家賃の適正水準は売上規模によって変わる

「家賃は売上の10%以内」という数字がよく語られますが、これは月商500万円以上の規模を前提にした話です。小規模店舗にそのまま当てはめると現実から乖離してしまいます。

実態に即した考え方として、売上規模ごとの目安を以下に示します。

シミュレーション月商 家賃の現実的な上限目安 補足
〜150万円 15〜20万円程度 比率より「残せる利益」で判断する。固定費全体を抑える工夫が必須
150〜300万円 20〜35万円程度 FL比率(食材費+人件費)を60%以内に抑えることで家賃を吸収できる
300〜500万円 30〜50万円程度 この規模から「月商の10%前後」という目安が現実に近くなる
500万円〜 月商の10%以内 FLR比率(食材費+人件費+家賃)70%以内を目標にする

💡 FLR比率とは?

食材費(Food)・人件費(Labor)・家賃(Rent)の3つを合計した比率です。一般的にFLR比率が70%以内であれば収益を確保しやすいとされています。たとえば月商300万円の店舗なら、食材費・人件費・家賃の合計を210万円以内に収めることが目安です。

どのケースでも共通して言えるのは、「払える家賃の上限を先に決めてから物件を探す」という順番を守ることです。「この物件が気に入ったから、売上で頑張って家賃を回収しよう」という発想は、開業後の資金繰りを直撃します。

居抜き物件の注意点

コスト削減の観点から居抜き物件は魅力的ですが、用途地域の観点でも注意が必要です。

  • 居抜きでも新たに営業許可を取得する必要がある 前テナントの許可は引き継げない。新オーナーとして保健所に申請し直す
  • 前テナントが用途地域の制限を無視していた可能性がある 「前が飲食店だったから大丈夫」は根拠にならない
  • 設備の老朽化リスクを確認する 冷蔵庫・ガス機器・換気設備などは必ず動作確認。修理費が高額になりやすい
  • 前テナントがなぜ撤退したかを調べる 立地・物件・周辺環境に根本的な問題があった可能性がある

物件契約前のチェックリスト

  • 用途地域を自治体のホームページまたは窓口で確認した
  • 深夜営業・風俗営業をする場合は、その用途地域での可否を確認した
  • 1次商圏内の人口・昼夜人口・競合店を調査した
  • 平日・休日・昼・夜の人通りを実地で観察した
  • 売上シミュレーションを行い、家賃が月商の10%以内に収まることを確認した
  • 居抜き物件の場合、設備の動作確認と前テナントの撤退理由を調べた
  • 保健所に施設基準の事前相談を行った(または予約した)
  • 契約書の内容(解約条件・原状回復費用など)を確認した

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小形 洸太

この記事を書いた人

小形 洸太

マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。

集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。

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集客のカチプロ 代表

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