深夜酒類提供飲食店の届出とは?対象業態・手続きの流れ・風俗営業との違いを解説

📋 この記事でわかること

  • 深夜酒類提供飲食店営業とは何か・根拠となる法律
  • 届出が必要な業態・不要な業態の判断基準
  • 風俗営業(1号許可)との決定的な違い
  • 届出の流れと必要書類
  • 営業所の設備要件
  • 出店できない用途地域
  • 無届営業・違反行為の罰則

居酒屋やバーを深夜0時以降も営業したい——そう考えたとき、多くのオーナーが「何か手続きが必要なんだろうけど、よくわからない」と感じます。中には「飲食店の営業許可があれば大丈夫だろう」と思い込んで、無届のまま深夜営業を続けてしまうケースも実際にあります。

この記事では、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要かどうかの判断基準から、手続きの流れ・必要書類・設備要件・罰則まで、開業前に知っておくべきことをすべて解説します。

目次

深夜酒類提供飲食店営業とは

深夜酒類提供飲食店営業とは、深夜0時〜午前6時の時間帯に、主としてお酒を提供する飲食店の営業のことです。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)によって規定されており、この営業を行うには事前に公安委員会(警察署経由)に届出が必要です。

なお「深夜酒類提供飲食店営業開始届」は、業界では略して「深酒(ふかざけ・しんさけ)」と呼ばれることもあります。

💡 「許可」ではなく「届出」

風俗営業は都道府県公安委員会の許可が必要ですが、深夜酒類提供飲食店営業は届出です。許可は審査があり不許可になることもありますが、届出は要件を満たした書類を提出することで営業を開始できます。ハードルは許可より低いですが、要件を守らなければ違反となります。

自分の店は届出が必要?判断の3つのポイント

深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要かどうかは、以下の3点で判断します。すべてに該当する場合に届出が必要です。

届出が必要な3つの条件

深夜0時〜午前6時に営業する 0時までに閉店するなら届出は不要
主としてお酒を提供する 米飯・パン・麺類などの主食を「常時」提供する店は対象外
接待を行わない 接待を行う場合は風俗営業許可が必要(後述)

届出が必要な業態・不要な業態

🔴 届出が必要な業態(例)

  • バー
  • 居酒屋(深夜0時以降も営業)
  • スナック(接待なし)
  • ダイニングバー
  • 焼き鳥・おでん屋(酒メイン)

🟢 届出が不要な業態(例)

  • ラーメン屋(主食がメイン)
  • 牛丼屋・ファミレス
  • そば・うどん屋
  • 深夜0時前に閉店する居酒屋
  • お酒を提供しない飲食店

「主食を常時提供する店」の判断が難しいケース

警察庁の通達では「主食を常時提供する」について、以下のように定義されています。

  • 営業時間中、客に常に主食を提供している店であること(平日のみ・昼間のみはNG)
  • 客が飲食している時間の大部分の時間は主食を提供していること(最後に茶漬を出すだけはNG)
  • 主食とは米飯類・パン類(菓子パン除く)・麺類・ピザパイ・お好み焼き等が該当

⚠ 判断に迷ったら警察署に事前相談を

「うちは食事もお酒も出しているから大丈夫」という自己判断は危険です。小料理屋・焼き鳥屋・おでん屋など、お酒を伴う営業形態は判断が難しいケースがあります。必ず所轄の警察署(生活安全課)に事前相談して確認しましょう。

風俗営業(1号許可)との決定的な違い

「深夜酒類提供飲食店」と「風俗営業」は、よく混同されますがまったく別の制度です。この違いを理解していないと、知らないうちに無許可営業になってしまいます。

比較項目 深夜酒類提供飲食店 風俗営業1号(スナック・キャバクラ等)
手続きの種類 届出(公安委員会) 許可申請(公安委員会)
接待行為 禁止 可(許可の目的)
深夜0時以降の営業 可(届出があれば) 原則禁止
営業できる時間 制限なし(届出があれば深夜可) 原則0時まで(地域により1時まで)
主な対象業態 バー・居酒屋・ダイニングバーなど キャバクラ・ホストクラブ・スナック(接待あり)など
兼業 風俗営業と同一店舗での兼業は不可 深夜酒類提供との兼業は不可

🚨 「接待」をやってしまうと無許可の風俗営業になる

深夜酒類提供飲食店として届出をしていても、接待行為を行った瞬間に風俗営業の無許可営業になります。接待とは客を楽しませ・もてなすための行為のことで、「客の隣に座って談笑する」「お酒を一緒に飲む」「カラオケをデュエットする」「客の手を握る」なども該当します。違反した場合は2年以下の懲役または200万円以下の罰金という重い罰則が科されます。

スナックの場合は特に注意

スナックは業態的にグレーゾーンになりやすい業種です。「接待なし・深夜0時以降に酒類を主に提供する」スナックは深夜酒類提供飲食店の届出で営業できます。しかし、ママやスタッフが客席に付いて談笑・お酌をする場合は接待行為に該当し、風俗営業の許可が必要です。深夜0時以降に接待ありの営業をすることはできない点を必ず理解しておきましょう。

届出の流れ

1

飲食店営業許可の取得(保健所)

深夜酒類提供飲食店の届出は、飲食店営業許可を取得した後でないとできません。まず保健所で飲食店営業許可を取得することが前提です。

2

用途地域・設備要件の確認

営業予定の物件が深夜酒類提供飲食店を出せる用途地域かどうかを確認します(後述)。あわせて、営業所の設備が要件を満たしているかを確認しましょう。

3

所轄警察署への事前確認

書類作成前に、所轄の警察署(生活安全課)に事前相談することを強くおすすめします。警察署によって予約が必要な場合もあるため、まず電話で確認しましょう。

4

必要書類の作成・準備

届出書・図面・住民票などの必要書類を準備します。図面(平面図・照明音響図など)の作成が最も手間がかかる部分です。

5

警察署窓口へ提出(営業開始10日前まで)

書類を営業開始予定日の10日前までに所轄の警察署窓口へ提出します。提出分と控え用の計2部を持参しましょう。受理番号を記入してもらった控えは店舗で保管します。

6

受理から10日後に営業開始可能

書類が受理されてから10日後より深夜営業を開始できます。許可証の交付はなく、届出が受理された時点で要件となります。

必要書類一覧

届出に必要な書類は以下の通りです。警察署によって追加書類が求められる場合があるため、必ず事前に所轄警察署で確認してください。

  • 深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書 店舗所在地・床面積・客席数・申請者氏名住所などを記載(警視庁等のHPからダウンロード可)
  • 営業の方法を記載した書類 営業時間・提供する酒類の種類・提供方法などを記載
  • 営業所の平面図 客室・トイレ・出入口の位置、面積求積図、照明・音響設備配置図など
  • 住民票(本籍記載のもの) 個人:営業者の住民票 法人:役員全員の住民票
  • 定款の写し・登記全部事項証明書(法人のみ)
  • 飲食店営業許可証の写し(警察署により必須)
  • 物件の賃貸契約書または使用承諾書(警察署により必須)
  • 用途地域が確認できる書類(警察署により必須)
  • メニュー表の写し(警察署により必須)

⚠ 図面の作成が最大のハードル

平面図・求積図・照明音響図など、複数の図面を正確に作成する必要があります。不備があると受理されないため、作成に自信がない場合は行政書士への依頼も選択肢のひとつです。

営業所の設備要件

深夜酒類提供飲食店として営業するには、店舗の設備が以下の基準を満たしている必要があります。設備が要件を満たさない状態で営業すると風営法違反となります。

設備要件 基準の概要
客室の床面積 客室が2室以上ある場合、1室あたり9.5㎡以上。客室が1室のみの場合は制限なし
見通しを妨げる設備 客室内に高さおおむね1mを超える衝立・間仕切りを設けないこと
照度 営業所内の照度が20ルクス以下にならないよう維持できる構造・設備であること
施錠設備 客室の出入口に施錠設備を設けないこと(店外への出入口は除く)
風俗環境を害する設備 善良な風俗または清浄な風俗環境を害するおそれのある写真・広告物・装飾を設けないこと
騒音・振動 各都道府県の条例で定める数値以下に維持できる構造・設備であること

営業開始後の義務:従業者名簿の備え付け

営業を開始した後も、従業者名簿を店舗に備え付ける義務があります。記載事項は氏名・住所・性別・生年月日・本籍・採用年月日・退職年月日・業務内容などです。退職後も3年間は保管が必要です。警察の立入検査があった際に提示を求められます。

出店できない用途地域

深夜酒類提供飲食店は、住居系の用途地域では原則として営業できません。物件を決める前に必ず確認しましょう。

区分 用途地域
営業できる 近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・用途地域の指定のない区域
※住居地域・準住居地域でも商業地域の周囲30m以内なら可の場合あり(自治体により異なる)
営業できない 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、工業専用地域

🚨 居酒屋・バーを開業する前に必ず確認

「駅近で雰囲気もいい物件が見つかった」と飛びつく前に、その物件が深夜酒類提供飲食店を出せる用途地域かどうかを確認しましょう。住宅街の物件では深夜0時以降の酒類提供ができず、開業後に業態変更を迫られるケースがあります。

違反した場合の罰則

違反行為 罰則
届出をせずに深夜営業(無届営業) 50万円以下の罰金
接待行為を行う(無許可の風俗営業) 2年以下の懲役または200万円以下の罰金
設備要件を満たさない状態での営業 行政指導・営業停止処分等
20歳未満への酒類・たばこの提供 風営法・未成年者飲酒禁止法等による罰則
従業者名簿の未備え付け 行政指導の対象

🚨 「知らなかった」は通用しない

無届営業は「飲食店の営業許可があるから大丈夫」という思い込みで起きるケースが最も多いです。飲食店営業許可と深夜酒類提供飲食店の届出は別の手続きです。深夜0時以降に酒類をメインで提供するなら、必ず届出を済ませてから営業を開始してください。

まとめ:届出が必要かどうかの確認フロー

  • 深夜0時以降に営業する予定がある → 次のチェックへ
  • 主としてお酒を提供する(主食を常時提供しない)→ 届出が必要
  • 接待行為を行う予定がある → 風俗営業許可が必要(深夜営業は不可)
  • 飲食店営業許可を先に取得する(保健所)
  • 物件の用途地域を確認する(住居系は原則NG)
  • 所轄警察署(生活安全課)に事前相談する
  • 必要書類を作成し、営業開始10日前までに警察署へ提出する
  • 従業者名簿を店舗に備え付ける

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小形 洸太

この記事を書いた人

小形 洸太

マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。

集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。

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