飲食店の営業許可の取り方とは?申請の流れ・必要書類・費用を徹底解説

📋 この記事でわかること

  • 飲食店営業許可とは何か・なぜ必要なのか
  • 申請から許可証交付までの5ステップ
  • 保健所検査で見られる施設基準のポイント
  • 必要書類・費用・期間の目安
  • よくある不合格パターンと対策
  • 居抜き物件・テイクアウト等の業態別注意点

飲食店を開業するためには、保健所から「飲食店営業許可」を取得することが法律で義務付けられています。無許可で営業した場合は食品衛生法違反となり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科される可能性があります。

しかし「どこに申請するの?」「いつから動けばいい?」「検査で何を見られるの?」と、初めての方には疑問だらけです。この記事では、飲食店営業許可の申請から取得までを、開業準備の実務に沿って詳しく解説します。

目次

飲食店営業許可とは?根拠となる法律

飲食店営業許可は、食品衛生法に基づいて都道府県知事(実務上は保健所)が交付する許可です。食堂・レストラン・カフェ・居酒屋・ラーメン店・焼肉店など、食品を調理してお客様に提供するほぼすべての業態で必要になります。

2021年(令和3年)6月の食品衛生法改正により、それまで別に存在していた「喫茶店営業許可」は「飲食店営業許可」に統合されました。現在はカフェや喫茶店も、飲食店営業許可1本で対応できます。

⚠ 注意:無許可営業のリスク

許可証を取得せずに営業した場合、食品衛生法違反として2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科される可能性があります。また、営業停止処分を受けるリスクもあるため、オープン日までに必ず取得してください。

「飲食店営業」と「喫茶店営業」の違い(2021年法改正後)

2021年の法改正以降、カフェ・喫茶店は「飲食店営業許可」を取得するのが基本です。かつて存在した喫茶店営業許可では、アルコールの提供や本格的な調理が行えないという制約がありました。現在は「飲食店営業許可」1種類で、アルコール提供・調理を含む幅広いメニューに対応できます。

申請から許可証交付までの5ステップ

飲食店営業許可の取得は、大きく5つのステップで進みます。物件契約から換算すると、余裕を持って2〜3ヶ月前から動き始めるのが理想です。

1

管轄保健所の確認・事前相談

保健所はエリアごとに管轄が決まっています。まず開業予定地を管轄する保健所を調べ、内装工事の着工前に図面を持参して事前相談を行いましょう。施設基準に合っているか、どのような設備が必要かを担当者に確認できます。工事後に不適合が判明すると追加工事が必要になるため、この事前相談が最も重要なステップです。

2

食品衛生責任者の資格取得

営業許可の取得には、店舗に食品衛生責任者を1名以上置くことが必要です。食品衛生責任者になるには、保健所や食品衛生協会が実施する1日の講習会を受講します。調理師免許・栄養士・製菓衛生師などの資格保有者は講習が免除されます。東京・大阪などの都市部では講習の予約が混みやすいため、オープンの2ヶ月前には受講申し込みを済ませておくのが安心です。

3

必要書類の準備・申請書の提出

内装工事が完了したら、必要書類を揃えて保健所の窓口に申請書を提出します。申請書類の様式は保健所の窓口またはホームページで入手できます。申請と同時に申請手数料(約16,000〜19,000円)を納付します。厚生労働省が運営する食品衛生申請等システムを利用した電子申請も可能です。

4

保健所による施設検査(立入検査)

申請後、保健所の担当者が店舗に来て施設検査を行います。申請時に検査日を予約するので、経営者本人(または代理人)が必ず立ち会ってください。図面通りに工事されているか、衛生設備が正常に稼働するかを実地で確認されます。

5

営業許可証の交付・店内掲示

施設検査に合格すると、数日〜1週間程度で営業許可証が交付されます。許可証を受け取ったら、店舗内の見やすい場所に掲示することが義務付けられています。許可証を受け取って初めて、正式に営業を開始できます。

💡 タイムライン目安

申請から許可証交付まで一般的に10日〜3週間程度かかります。書類不備や施設の不適合があるとさらに時間が延びます。オープン予定日から逆算して、余裕あるスケジュールで動きましょう。

申請に必要な書類一覧

申請に必要な書類は自治体によって異なる場合があります。事前相談の際に管轄保健所で確認するのが確実ですが、一般的に必要な書類は以下の通りです。

  • 飲食店営業許可申請書(保健所窓口またはホームページで入手)
  • 施設の構造・設備を示す図面(調理場は詳細に記載、縮尺1/100以上)
  • 店舗付近の案内図(最寄駅から店舗までわかるもの)
  • 食品衛生責任者の資格証明書(修了証・免許証など)
  • 水質検査成績書(井戸水など上水道以外を使用する場合)
  • 登記事項証明書(法人の場合)

⚠ 自治体によって様式・追加書類が異なります

申請書の様式や必要書類は都道府県・保健所ごとに違います。必ず管轄保健所のホームページまたは窓口で最新情報を確認してください。

保健所検査で見られる施設基準のポイント

施設検査では、店舗の設備が都道府県の定める基準を満たしているかがチェックされます。主な確認ポイントを押さえておきましょう。

✅ 主な施設基準チェックポイント

チェック項目 基準の概要
洗浄設備(シンク) 2槽以上が必要。自動洗浄設備がある場合は1槽でも可な場合あり。1槽あたりの内径は幅45cm×奥行36cm×深さ18cm以上が目安(自治体により異なる)
手洗い設備 調理場に専用の手洗い器が必要。シンクと兼用は不可。消毒液・給湯設備も必須
厨房とホールの区画 調理場とホールの区画が明確であること。扉やパーテーションで区切るのが一般的
床・壁の材質 清掃しやすい材質(タイル・コンクリートなど)で、耐水性があること
換気設備 調理場に十分な換気設備(換気扇・フードなど)があること
冷蔵・冷凍設備 食材保存に適した冷蔵・冷凍設備が整っていること
トイレ 客用・従業員用のトイレが設置されていること(規模により要確認)
防虫・防鼠設備 窓や換気口に防虫網が設置されていること

💡 居抜き物件でも要注意

居抜き物件を取得した場合でも、新たに営業許可を取り直す必要があります。前テナントが許可を受けていても、その後の工事や設備の変化で基準を満たさなくなっている場合があります。必ず事前相談で確認しましょう。

よくある不合格・指摘パターンと対策

施設検査で不適合となると、改善後に再検査が必要になりオープンが遅れます。よくある指摘事例を事前に把握しておきましょう。

❌ よくある不合格パターン

よくある指摘 対策
手洗い器がシンクと兼用になっている 調理場専用の手洗い器を別途設置する
シンクが1槽しかない 2槽シンクを設置する(設計段階で確認必須)
厨房とホールの区画が不明確 扉・カーテン・パーテーションで明確に区切る
換気設備が不十分 調理規模に見合った換気扇・フードを設置する
図面と実際の施設が一致しない 工事中に変更があれば保健所に事前に確認する
食品衛生責任者の資格未取得 申請前に必ず受講・取得を完了させておく

⚠ 「工事が終わってから考える」は最悪のパターン

内装工事の完了後に不適合が判明すると、追加工事が必要になり費用と時間のロスが発生します。必ず工事着工前に図面を持って保健所に事前相談することを強くおすすめします。

費用・有効期限・更新

申請手数料の目安

16,000〜19,000円

自治体によって異なる(東京都:18,300円)

申請〜交付期間

10日〜3週間

書類不備・設備不適合があると延長

許可証の有効期限

5〜8年

施設のレベルにより保健所が設定

許可証には有効期限が設定されており、期限が来る前に更新手続きが必要です。有効期限は施設の設備水準によって5〜8年の範囲で保健所が定めます。満了日の1ヶ月前には更新申請の準備を始めましょう。更新を忘れると無許可営業となりますので、カレンダーに必ず記入しておいてください。

業態別の追加届出・許可

飲食店営業許可に加えて、業態によっては追加の届出や許可が必要です。

深夜酒類提供飲食店営業開始届(警察署)

午前0時〜6時の深夜帯に、お酒をメインに提供する場合(居酒屋・バーなど)は、管轄の警察署に「深夜酒類提供飲食店営業開始届」の提出が必要です。営業開始の10日以上前に届出を行う必要があります。手数料は不要ですが、住居専用地域(第1種・第2種低層住居専用地域など)では深夜酒類提供飲食店の営業ができないため、物件選びの段階で用途地域を確認しましょう。

💡 「主食を常時提供する店」は対象外

レストランやカフェのように、営業時間を通じて米飯・パン・麺類などの主食を常時提供している店は、メニューにアルコールがあっても深夜酒類提供飲食店には該当しないとされています。自店舗が該当するか判断が難しい場合は、管轄の警察署に事前相談しましょう。

テイクアウト・物販を行う場合

飲食店で製造した食品をテイクアウト販売する場合、取り扱う食品の種類によっては飲食店営業許可とは別の許可が必要になることがあります。

販売品目の例 必要になる可能性がある許可
クッキー・ケーキなどの菓子類 菓子製造業許可
ハム・ソーセージなどの食肉加工品 食肉製品製造業許可
惣菜の販売 惣菜製造業許可(規模・形態による)

どの許可が必要かは事業内容によって異なります。事業計画書を持って管轄保健所に相談するのが確実です。

HACCP(ハサップ)に基づく衛生管理

2021年の食品衛生法改正により、すべての飲食店でHACCPの考え方を取り入れた衛生管理が義務化されました。小規模な飲食店の場合は「HACCPに基づく衛生管理」ではなく「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が求められます。

具体的には、食品衛生協会などが提供する業種別の手引書をもとに衛生管理計画を作成し、温度管理の記録・清掃記録などを継続的につけることが求められます。難しく感じるかもしれませんが、保健所が手引き資料を提供していることが多いため、事前相談の際に資料をもらっておきましょう。

まとめ:営業許可取得の最重要ポイント

飲食店営業許可の取得で最も大切なのは、「工事着工前に保健所へ事前相談すること」です。設計段階で基準を確認しておけば、余計な追加工事も費用も発生しません。

  • 物件契約前・工事着工前に管轄保健所を確認し、事前相談に行く
  • 食品衛生責任者の講習はオープン2ヶ月前には受講する(都市部は予約が混む)
  • シンクは2槽・手洗い器は専用のものを設置する
  • 申請書類に不備がないか事前に保健所で確認する
  • 施設検査には必ず立ち会う
  • 居酒屋・バーで深夜営業する場合は警察署への届出も忘れずに
  • 許可証の有効期限をカレンダーに登録し更新を忘れない

営業許可の取得はあくまでスタートラインです。許可を取ったあとは、開業後の集客をどう設計するかが経営の明暗を分けます。開業前の集客準備については、以下の記事も合わせてご覧ください。

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小形 洸太

この記事を書いた人

小形 洸太

マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。

集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。

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