OODAループ(ウーダ)とは?PDCAサイクルとの違いを解説
事業において、実行・改善のプロセスとして、一般的なのがPDCAサイクルです。PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の過程の頭文字をとったものです。PDCAを繰り返すことで、施策や事業を成果を最適化する時に用いられます。
しかし、PDCAにはいくつかの問題点があるとされています。1回のサイクルを回すのに時間がかかることや急激な物価高や想定されていない問題には弱いことです。時間がかかることから、計画から実行、実行から評価、評価から改善が特にきれやすく継続できずに改善に至らないことも多いことが特徴です。
どうしても大回りになってしまいがちなPDCAに対して、小回りが効く実行・改善のプロセスとして注目されているのが、OODA(ウーダ)です。この記事では、OODAの特徴と、PDCAとの明らかな違い、実際どのように使い分ければ良いのかについても示したいと思います。
1. OODAとは?
OODAは、迅速的な意思決定を重視したモデルです。
Observe(観察)、Orient(方向づけ)、Decide(決定)、Action(行動)がプロセスであり、これを繰り返すことをOODAループと呼びます。
OODAループは、冷戦時代の戦闘機パイロットの戦闘経験に基づいてジョン・ボイドによって考案されました。ボイドは、韓国戦争中にF-86戦闘機のパイロットとしての経験から、迅速な意思決定が成功の鍵であると確信し、このモデルを開発しました。
1-1. OODAの特徴
OODAの特徴は以下のように挙げられます。
- OODAループは連続的な意思決定プロセス。観察により小さな問題点を見つけて改善するのに適している。
- 変化する状況に応じて戦略を柔軟に調整することが可能。
- 迅速な行動が競争上の優位をもたらすことができる。
- 観察段階で収集されたデータに基づいて意思決定が行われるデータ駆動型のプロセス。
OODAループの「観察」段階では、日常的に更新される最新のデータを収集して迅速な意思決定を行うことが重要です。市場や顧客行動の変化を素早く捉え、それに基づいて戦略を調整することで競争優位を確保します。
また、データ分析から得られる洞察を活用して、組織全体の意思決定を支援するデータ駆動の文化を促進します。適切なツールと専門知識を持つチームが、このプロセスの成功には不可欠です。
1-2. PDCAとOODAの違い
PDCAは、日本国内では全ての事業で重要視されている改善プロセスです。データ収集や分析によって立てられた仮説や計画を明確に作り込むことから開始します。その後、評価するに十分なデータが蓄積される分だけ施策を実行し、評価し、改善を行います。環境の変化などは加味されていないため、長期的で変化が緩やかな事業に適していると言えます。例えば、製造業や品質管理は、PDCAが採用されます。
一方、OODAは、迅速な意思決定と適応が求められる複雑で流動的な状況向けに設計されています。このサイクルは、外部環境からの即時のフィードバックを絶えず取り入れながら、素早く状況に適応することを目指しています。環境の変化が早い施策や事業では、OODAループが採用されます。金融や広告代理店が該当します。
2.OODAループのケーススタディ
OODAは、前述の通り、環境の変化が激しい業界に向いています。そこで以下の例を挙げました。
2-1. 競合他店の参入が激しい商圏での新規参入店への対策
観察(Observe): 市場内で新規参入してきた競合店の動向を注意深く監視します。どのような商品やサービスを提供しているか、どのようなマーケティング戦略を採用しているかを把握します。また、顧客の反応や市場の変動にも注目します。
方向付け(Orient): 収集した情報を分析し、自店の現在のポジションと新規参入店との比較を行います。市場ニーズがどのように変化しているかを理解し、自店の強みを活かすまたは改善が必要な領域を特定します。また、新規参入店が提供しているもので顧客の関心を引いている点に着目し、それに対する自店の対策を考えます。
決定(Decide): 新規参入店に対抗するための具体的な戦略を決定します。これには、価格競争、プロモーションの強化、顧客サービスの向上、新しい商品やサービスの導入などが含まれるかもしれません。さらに、顧客ロイヤルティプログラムの強化や地域社会への積極的な参加を通じて、ブランドの差別化を図る戦略を検討します。
行動(Act): 決定した対策を実行に移します。新しいマーケティングキャンペーンを開始し、店舗のレイアウトを変更するかもしれません。また、顧客体験を向上させるためのトレーニングを従業員に提供します。行動の効果を監視し、市場の反応に応じて迅速に調整します。
2-2. 相場の変動が激しい金融売買の施策
観察(Observe): 金融市場のデータとニュースをリアルタイムで監視し、経済指標の発表や政策変更などの重要な情報を収集します。
方向付け(Orient): 収集した情報を基に、市場のトレンドや予測を分析し、どの金融商品が影響を受けるかを特定します。また、過去の類似事例と比較して現状を理解します。
決定(Decide): 分析結果に基づき、売買するタイミングや対象商品を決定します。リスク管理を考慮して、投資のポジションやヘッジ戦略を策定します。
行動(Act): 決定した戦略に従って取引を実行します。市場の反応を観察しながら、必要に応じて迅速に戦略を調整します。
3. OODAを学べる書籍
OODAはフレームワークであるため、複雑な本を読むよりは、簡単な本でケーススタディや概要を掴むことがおすすめです。OODAがよくわかる本は、図解がメインですので、さらにOODAについて理解したい方は読んでみるのが良いと思います。
最終更新日 2024年4月19日