--- title: "焼肉きんぐのマーケティング戦略|食べ放題・焼肉ポリス・ファミリー集客の仕組みを解説" url: "https://pro-marketing.jp/restaurant/yakiniku-king-marketing/" date: 2026-06-04 lastmod: 2026-06-04 description: "焼肉きんぐのマーケティング戦略を、業績、食べ放題モデル、焼肉ポリス、特急レーン、公式アプリ、4P分析から解説。飲食店が集客やリピート施策に応用できるポイントも紹介します。" categories: ["飲食店向け"] thumbnail: "https://pro-marketing.jp/wp-content/uploads/2026/06/Image_1-1.jpg" author: name: "小形 洸太" url: "https://pro-marketing.jp/author/kotaogata/" avatar: "https://secure.gravatar.com/avatar/4c1891a664616467decc338949f418e099bfa950a6ed9c7260e4a546f08274a1?s=96&d=mm&r=g" bio: "マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。 集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。" --- # 焼肉きんぐのマーケティング戦略|食べ放題・焼肉ポリス・ファミリー集客の仕組みを解説 焼肉きんぐは、テーブルオーダーバイキング形式の焼肉食べ放題専門店です。運営会社は株式会社物語コーポレーションです。本記事では、その業績やコンセプト、顧客体験、コース設計、出店戦略をまとめます。 さらに4P分析の視点から、商品、価格、流通、プロモーションを整理します。特急レーンや焼肉ポリスといった店舗運営の工夫、公式アプリの焼肉ポリス手帳、テレビCMやSNSを組み合わせた集客の仕組みまで解説します。 飲食店の集客やリピート促進を考える方に応用できる視点が多い内容です。物語コーポレーションは2025年6月期に過去最高業績を更新しました。2026年6月期第3四半期累計でも増収増益が続いています。焼肉きんぐは、伸びている外食チェーンの事例として、商品設計や店舗体験、リピート施策を分析しやすいブランドです。まずは戦略の土台となる業績から見ていきます。 ## 焼肉きんぐを運営する物語コーポレーションの業績 焼肉きんぐを運営する株式会社物語コーポレーションは、愛知県豊橋市に本社を置く外食企業です。焼肉きんぐを主力に、丸源ラーメンや寿司・しゃぶしゃぶゆず庵など複数の業態を展開しています。焼肉食べ放題チェーンとして高い認知度を持っています。 2025年6月期の連結売上高は1,239億円でした。前期比16%増です。営業利益は92億円で前期比13%増でした。親会社株主に帰属する当期純利益は61億円で、前期比9%増でした。売上高と各利益が過去最高を更新しました。 ※本セクションの業績は、焼肉きんぐ単体ではなく、運営会社である物語コーポレーション全体の連結業績です。 項目2025年6月期(通期)前期比 連結売上高1,239億円16%増 営業利益92億円13%増 親会社株主に帰属する当期純利益61億円9%増 ※数値は株式会社物語コーポレーションの決算発表に基づきます。一部は概数です。 好調の要因は複数あります。国内直営店の既存店売上高が前期を上回りました。客数も前年を上回っています。2025年6月期は焼肉きんぐで27店舗を出店しました。海外でも店舗数を伸ばしています。 直近でも成長は続いています。2026年6月期第3四半期累計で、売上高は1,121億300万円でした。前年同期比21.0%増です。営業利益は91億2,500万円で前年同期比31.4%増でした。親会社株主に帰属する四半期純利益は59億9,300万円で、前年同期比30.5%増でした。同四半期累計では焼肉きんぐで15店舗を出店しています。 会社は積極的な成長計画も掲げています。2030年6月期に連結売上高で2025年6月期比の約1.8倍となる2,200億円を目指すと発表しました。成長投資に約850億円を充てる方針です。国内外での事業拡大をはかります。 原材料価格の上昇という逆風もあります。これに対し、看板商品の磨き込みや期間限定フェアで価値を高めています。都市型価格の導入など価格改定も進めました。この収益基盤の上に、後述する各施策が積み上がっています。 ## 焼肉きんぐのコンセプト 焼肉きんぐのコンセプトは明快です。家族みんなで楽しめる焼肉食べ放題の提供です。広い駐車場を備えたロードサイド店、食べ放題、席での注文という構造から、ファミリー層を主な対象としていると読み取れます。気兼ねなく満腹になれる体験を重視しています。 運営の根底にはスローガンがあります。「とびっきりの笑顔と心からの元気」です。店舗運営の指針として掲げられています。商品力とサービス力の両輪で他社との差別化を図っています。 ### テーブルオーダーバイキングという形式 焼肉きんぐの中核はテーブルオーダーバイキングです。タッチパネルで注文する仕組みです。注文した料理はスタッフが席まで運びます。お客様は食事中に席を立つ必要がありません。 この形式は通常のビュッフェと異なります。料理を取りに行く手間がないからです。ゆっくり過ごせる体験につながります。食べ放題でありながら落ち着いた時間を提供できます。 ## 焼肉きんぐの顧客体験 焼肉きんぐの強さは体験設計にあります。注文のしやすさ、選ぶ楽しさ、再来店したくなる仕掛けです。ここでは顧客体験の要素を整理します。 ### コースを選び、好きなだけ注文する自由 食べ放題は複数のコースから選べます。手軽なコース、一番人気のコース、上位部位まで楽しめるコースなどです。予算や好みに応じて選択できます。価格は店舗により異なります。 注文はタッチパネルで完結します。食べたいものを食べたい分だけ頼めます。ドリンクもテーブルから注文できます。この自由度の高さが満足感の核です。お客様は能動的に食事を組み立てます。 ### SNSのUGCを生みやすい構造 豊富なメニューは情報拡散と相性が良いと考えられます。看板商品や期間限定フェアは写真映えします。自分の頼んだ皿を投稿したくなります。SNS上の投稿、つまりUGCが生まれやすいと考えられます。UGCはユーザー自身が作る投稿のことです。 #### UGCが集客につながる流れ お客様が料理やフェアの様子を投稿します。その投稿を見た人が興味を持ちます。「次の休みに行きたい」と感じます。来店の動機が自然に生まれます。広告費だけに頼らず口コミが広がる構造です。 期間限定フェアは投稿の鮮度を保ちます。新しい話題が定期的に生まれるからです。ファンが繰り返し発信するきっかけにもなると考えられます。こうした仕組みがブランドの熱量を支えていると読み取れます。 ## 焼肉きんぐのコース設計と看板商品 焼肉きんぐはコース設計に特徴があります。価格帯の異なる食べ放題コースを用意しています。入りやすい価格から上位コースまで段階があります。幅広い客層を取り込む設計です。 看板商品の打ち出しも明確です。五大名物と呼ばれる名物メニューがあります。きんぐカルビなどが代表例です。コースの満足度を象徴する存在です。 要素役割 複数の食べ放題コース予算や好みに応じた選択肢を提供 五大名物などの看板商品ブランドの象徴をつくり満足度を高める 期間限定フェア来店のたびに新しい話題を提供する 期間限定フェアも継続的に展開しています。韓国グルメとのコラボなどが実施されてきました。来店のたびに新しい発見があります。再来店の理由づくりになっています。 商品の品質維持にも力を入れています。肉の加工は専用の体制で行われています。厚みや切り方を細かく研究しています。原材料の調達環境が変わっても、品質を保つ工夫を重ねています。 ## 焼肉きんぐの店舗運営の工夫 焼肉きんぐは店舗運営にも独自性があります。食べ放題の体験価値を高める仕組みです。代表例が特急レーンと焼肉ポリスです。飲食店全体の考え方は[飲食店のマーケティング戦略](https://pro-marketing.jp/restaurant/marketing-strategy/)の記事も参考になります。 ### 特急レーンによる提供のスピード化 特急レーンは、一部店舗で導入されている配膳効率化の仕組みです。キッチンと客席をレーンでつなぎます。料理をよりスピーディーに席まで届けます。提供までの時間を短縮できます。 この仕組みには接客面の狙いもあります。配膳にかかっていた時間を接客に回せます。スタッフがお客様と向き合う余裕が生まれます。効率化と接客強化を両立する発想です。 ### 焼肉ポリスによる接客の付加価値 焼肉ポリスは焼き方や食べ方を案内する役割です。専用の腕章を着けたスタッフが対応します。席を見回り、おいしい焼き加減を提案します。公式では「おせっかいすぎるおもてなし」と表現される接客です。 #### なぜ接客に投資するのか 食べ放題は価格で比較されやすい業態です。しかし接客を体験価値に変えれば、価格競争から抜け出せます。焼肉ポリスはその象徴です。記憶に残る体験が再来店につながります。 ## 焼肉きんぐのアイドルタイムと回転の考え方 飲食店にはアイドルタイムがあります。来店客が少ない時間帯のことです。多くの店ではランチとディナーの間にあたります。この時間の使い方が収益を左右します。アイドルタイム対策の考え方は[飲食店のアイドルタイム対策](https://pro-marketing.jp/restaurant/idle-time/)の記事もあわせてご覧ください。 焼肉きんぐはランチ営業にも対応しています。ランチ食べ放題コースを用意しています。一部店舗では平日もランチ営業を行っています。昼の時間帯にも来店動機をつくる工夫です。 食べ放題は滞在時間が比較的長い業態です。そのため回転よりも体験価値で勝負します。落ち着いて過ごせる時間が満足度を生みます。結果として再来店につながりやすくなります。これは滞在型の飲食店に共通する示唆です。 ## 焼肉きんぐが伸びている理由 ここまでの要素を、成長の理由として整理します。焼肉きんぐの強さは一つの施策ではありません。複数の要素がかみ合っています。五つの観点で見ていきます。 ### ファミリー層に向いたロードサイド型の出店 焼肉きんぐは郊外のロードサイドを中心に広げてきました。広い駐車場を備えた店舗が多いです。家族が車で来店しやすい立地です。ファミリー層という大きな市場をつかみました。 ### 食べ放題なのに席を立たなくてよい快適さ テーブルオーダーバイキングが快適さを生みます。料理を取りに行く必要がありません。タッチパネルで注文し、席で受け取れます。食べ放題の慌ただしさを抑えた体験です。 ### 焼肉ポリスによる体験価値の差別化 焼肉ポリスは接客を体験価値に変えました。焼き方の案内が満足度を高めます。価格だけで比較されにくくなります。記憶に残る体験が再来店を生みます。 ### コース設計で客単価と満足度を両立 複数のコースが客層の幅を広げます。入りやすい価格から上位コースまであります。看板商品や期間限定フェアが満足度を高めます。客単価と満足度を同時に追求しています。 ### アプリで再来店の動機をつくる 焼肉ポリス手帳が再来店を後押しします。来店が積み上がる楽しさがあります。誕生月クーポンも来店のきっかけになります。一度きりで終わらせない仕組みです。 ## 焼肉きんぐの4P分析 ここからは4Pの視点で整理します。4Pとは製品、価格、流通、プロモーションのことです。マーケティングの基本フレームです。各要素がどう連動しているかを見ていきます。 ### Product 製品 製品の核は焼肉食べ放題の体験です。複数のコースと豊富なメニューを用意しています。五大名物などの看板商品があります。期間限定フェアで変化を持たせています。 テーブルオーダーバイキングという形式も製品の一部です。席で注文し、席で受け取れます。特急レーンや焼肉ポリスが体験を補強します。商品と体験が一体になっています。 ### Price 価格 価格戦略には明確な特徴があります。複数のコース価格を設定しています。入りやすい価格帯から上位価格帯まで段階があります。客層の幅を広げる設計です。 価格は立地によっても異なります。都市型店舗は郊外店より高めに設定される傾向があります。商圏ごとの条件に合わせた調整です。原材料費の上昇には、調達やメニューの見直しで対応しています。 食べ放題には心理的な価値もあります。総額が読みやすく、満腹まで楽しめます。価格に対する納得感を生みます。家族での利用がしやすい価格設計です。 ### Place 流通 流通の中心は店舗網です。焼肉きんぐは郊外のロードサイドを中心に成長してきました。広い駐車場を備えた店舗が多いです。ファミリー層が車で来店しやすい立地です。 #### ロードサイドから都市型への展開 近年は都市型店舗にも力を入れています。2022年に東京の浅草へ出店しました。その後も都心部への出店を進めています。都心部の生活者や観光客との接点拡大が狙いと読み取れます。 都市型店舗は経営の難易度が高いです。賃料が高く、採用も激戦だからです。それでも出店するのは認知拡大の意味が大きいからです。郊外で築いたブランドを都市部にも広げています。 - 郊外ロードサイドでファミリー層を取り込む - 都市型店舗で都心部の生活者や観光客との接点を広げる - 直営とフランチャイズの両輪で店舗網を拡大する 店舗以外の接点も整えています。公式アプリから席の予約ができます。来店前の利便性を高めています。待ち時間を減らす工夫です。 ### Promotion プロモーション プロモーションは複数の手段を組み合わせています。テレビCMで幅広い層に認知を広げます。SNSで新メニューやキャンペーンを発信します。公式アプリで個別の来店を促します。 公式アプリの中心が焼肉ポリス手帳です。来店回数に応じて階級が上がる仕組みです。階級は巡査から警視総監まで10階級あります。特定の階級に到達すると、オリジナルアイテムや階級別クーポンがもらえます。ゲーム感覚で再来店を促すゲーミフィケーションです。 誕生月のクーポンなども配信しています。来店のきっかけを継続的につくります。アプリが顧客との接点を維持します。お客様との関係を長く保つ役割です。 施策役割 テレビCMファミリー層を中心に幅広く認知を獲得 SNS発信新メニューやフェアの即時告知とUGC誘発 焼肉ポリス手帳来店回数に応じた特典で再来店を促進 誕生月クーポン来店のきっかけづくりと関係維持 これらの施策はばらばらではありません。CMが認知をつくります。SNSが話題を広げます。アプリが再来店を後押しします。店舗体験が満足度を高めます。要素が連動しています。 ## 焼肉きんぐの戦略から学べるモデルケース ここまでの内容を、自店に置き換えて考えます。規模が違っても応用できる視点があります。三つの観点で整理します。 ### 体験の付加価値で価格競争を避ける 焼肉きんぐは接客と仕組みで体験を高めました。焼肉ポリスや特急レーンが好例です。自店でも価格以外の価値を設計できます。記憶に残る体験が再来店を生みます。 ### リピートを促す仕掛けをつくる 焼肉ポリス手帳は再来店の動機になりました。来店が積み上がる楽しさがあるからです。自店でもアプリやスタンプを活用できます。ゲーム感覚の仕掛けが有効です。 ### 客層に応じて立地を使い分ける 焼肉きんぐは郊外と都市型を使い分けました。客層と目的が異なるからです。自店でも立地ごとに戦略を変えられます。狙う客層を明確にすることが要点です。 ### 大手の施策を自店サイズに翻訳する 焼肉きんぐの施策は大規模に見えます。しかし本質は小さな店でも応用できます。高額な設備がなくても考え方は使えます。次の表に置き換えの例を整理します。 焼肉きんぐの施策中小飲食店への応用 焼肉ポリス名物スタッフや焼き方・食べ方の案内で、初回客への体験価値をつくる 食べ放題コース松竹梅のコース設計で客単価を引き上げる 期間限定フェア季節メニューで再来店の理由をつくる 焼肉ポリス手帳LINEのショップカードやスタンプ、来店回数特典に置き換える 特急レーン高額設備でなくても、配膳導線や注文導線の改善に応用する 都市型店舗の展開立地ごとにメニューや客席、価格を変える 大手だからできる施策と片づけないことが大切です。重要なのは、大手の設備をそのまま真似ることではありません。自店の客層に合わせて、初回来店客が迷わない案内、再来店したくなる特典、スタッフが接客に集中できる導線を設計することです。小さな工夫の積み重ねが集客につながります。 ## まとめ 焼肉きんぐのマーケティングは多層的です。テーブルオーダーバイキングが体験の土台です。特急レーンや焼肉ポリスが価値を高めます。コース設計と期間限定フェアが満足度を支えます。 4Pの視点では各要素が連動しています。コース価格と立地で客層を広げます。ロードサイドと都市型を使い分けます。CMとSNSとアプリが認知から再来店までを後押しします。 これらは規模を問わず応用できます。体験の付加価値、リピートの仕掛け、立地の使い分けが要点です。自店の集客を見直すヒントとしてご活用ください。 本記事の業績数値や施策内容は、公表時点の情報に基づいています。価格やメニュー、コース、クーポンの内容は変更される場合があります。最新情報は公式サイトおよび公式アプリをご確認ください。