--- title: "大阪王将のマーケティング戦略|冷凍餃子で市場首位を獲得した物販戦略と4P分析" url: "https://pro-marketing.jp/restaurant/osaka-ohsho-marketing/" date: 2026-05-30 lastmod: 2026-05-30 description: "大阪王将のマーケティング戦略を、冷凍餃子の物販、STP分析、4P分析から解説。食品事業の成長要因と、中小企業が応用できる商品化・販路拡大の視点を整理します。" categories: ["飲食店向け"] thumbnail: "https://pro-marketing.jp/wp-content/uploads/2026/05/Image-1-62.jpg" author: name: "小形 洸太" url: "https://pro-marketing.jp/author/kotaogata/" avatar: "https://secure.gravatar.com/avatar/4c1891a664616467decc338949f418e099bfa950a6ed9c7260e4a546f08274a1?s=96&d=mm&r=g" bio: "マーケティングプロデューサー、集客コンサルタント。大学卒業後、店舗マーケティングツールのASPにて、500店の顧客フォロー及び導入支援業務に従事。その後、2009年からコンサルティングを提供開始。助言だけではなく、対策もできるコンサルタントとして活動。主に、マーケティング関連のディレクション業務を行い、オウンドメディア運用、SNSキャンペーン、実店舗の集客支援を実施。 集客の専門家として、ミラサポや信用保証協会専門家、商工会専門家などの立場で事業主向けに助言業務を実施。また、リクルートや第一興行のメディアでSNSを使った集客の記事の監修。" --- # 大阪王将のマーケティング戦略|冷凍餃子で市場首位を獲得した物販戦略と4P分析 大阪王将は、外食チェーンとして知られる一方で、冷凍餃子を中心とした食品事業でも大きな存在感を持つブランドです。スーパーの冷凍食品売り場という巨大なチャネルで毎日ブランドに触れてもらい、店舗の味を家庭に届ける。この物販戦略が、ブランドを生活に定着させる原動力になっています。本記事では、運営会社イートアンドホールディングスの食品事業を主役に据え、STP分析・物販戦略・4P分析の3つの視点から大阪王将のマーケティングを読み解きます。中小企業が自社の商品設計や販路拡大に応用できる視点を、実務目線で整理しました。 ## 大阪王将とはどんなブランドか 大阪王将は、株式会社イートアンドホールディングスが運営する中華ブランドです。1969年に大阪市京橋で餃子専門店として創業し、外食チェーンとして全国に広がりました。しかし近年、同社の成長を牽引しているのは外食ではなく、冷凍餃子を中心とした食品事業です。 同社は1993年に生協向けの冷凍食品販売を開始し、食品事業に踏み出しました。外食事業と食品事業の「両輪」を掲げ、現在は食品事業が大きな柱に育っています。イートアンドホールディングスは、外食事業に加えて、冷凍食品の製造・販売を大きな柱とする上場企業です。店舗で培った味づくりのノウハウを、そのまま家庭用の冷凍食品に活かす点が、物販の強さを支えています。 製造の仕組みにも特徴があります。同社は食品事業の製造基盤を強化し、冷凍餃子を中心とした生産能力の拡大を進めています。外食ブランドで培った味づくりの知見を食品事業に活かし、家庭用の冷凍食品として展開している点が強みです。販売量が増えるほど生産効率を高めやすく、規模の経済を働かせやすい点が、後述する物販戦略の土台になっています。 大阪王将の事業構造のポイント - 1969年に外食で創業、1993年に生協向け冷凍食品販売を開始 - 冷凍食品の製造・販売を大きな柱とする上場企業 - 店舗の味づくりのノウハウを家庭用冷凍食品に転用 なお、よく混同されますが「大阪王将」と「餃子の王将」は別会社です。餃子の王将は王将フードサービスが運営しており、こちらは店舗での飲食を主力とするビジネスモデルです。本記事で扱う冷凍餃子の物販戦略やLINEレシピなどは、すべて大阪王将(イートアンドホールディングス)の取り組みです。同じ「王将」でも、店舗中心の餃子の王将と、物販で市場を切り開いた大阪王将とでは、戦略の軸が大きく異なります。本記事では、大阪王将の物販戦略に焦点を当てて読み解いていきます。 ## STP分析で見る大阪王将のポジショニング STP分析とは、市場を細分化し、狙う顧客を定め、自社の立ち位置を明確にするフレームワークです。セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの頭文字を取っています。大阪王将のマーケティングは、このSTPの視点で見ると非常に整理されています。 ### セグメンテーション|市場の細分化 餃子を食べる場面は、大きく3つに分けられます。外食、中食、内食です。外食は店舗で食べる場面、中食は惣菜やテイクアウトを家で食べる場面、内食は自分で調理して家で食べる場面を指します。 多くの外食企業は、店舗での外食だけを対象にします。しかし大阪王将は、家庭での内食という巨大な市場に踏み込みました。冷凍餃子という商品で、スーパーの冷凍食品売り場を主戦場に選んだのです。外食市場よりもはるかに来店頻度が高く、日常的に消費される内食市場を捉えた点が、物販戦略の出発点になっています。 ### ターゲティング|狙う顧客の決定 物販における大阪王将のターゲットは、家庭で手軽に本格的な餃子を食べたい層です。共働きや単身世帯など、調理に時間をかけられないものの、味には妥協したくない人たちです。外食に出かけなくても、店の味を家庭で楽しみたいという需要を捉えています。 この層は、店舗だけでは接点を持てなかった顧客でもあります。近くに店舗がない地域の人や、外食の習慣が少ない家庭にも、スーパーの冷凍食品売り場という入口で届けられます。物販は、店舗の商圏を越えて全国の家庭にリーチする手段になっているのです。 ### ポジショニング|立ち位置の明確化 大阪王将の冷凍餃子のポジショニングは、「お店の味を家庭で再現する冷凍餃子」です。同社は冷凍食品づくりの出発点を、店の味の再現に置いています。外食で培った味づくりのノウハウを活かせる点が、他の食品メーカーにはない独自の強みです。 差別化を象徴するのが「油いらず・水いらず・フタいらず」という調理の手軽さです。凍ったまま焼くだけで羽根つき餃子が完成する仕様で、同社はこの羽根つき餃子に関する特許も取得しています。味の本格さと調理の手軽さを両立させたことが、後発ながら市場首位に立つ決め手になりました。 STP要素大阪王将の戦略 セグメンテーション家庭での内食市場を主戦場に選択 ターゲティング手軽に本格餃子を食べたい家庭層 ポジショニングお店の味を家庭で再現する冷凍餃子 ## 大阪王将の物販戦略を読み解く 大阪王将のマーケティングで最も注目すべきは、外食をルーツに持ちながら、冷凍餃子の物販で市場首位を勝ち取った戦略です。ここでは、その物販戦略を分解して見ていきます。 ### なぜ物販に力を入れたのか 外食企業が物販に踏み込むのには、明確な理由があります。外食事業は、店舗の立地や席数によって売上の上限が決まります。商圏も店舗の周辺に限られます。一方、物販は店舗の物理的な制約を受けません。全国のスーパーに商品を並べれば、店舗のない地域の顧客にも届けられます。 さらに、物販には来店頻度の壁がありません。外食では顧客が店に足を運ぶ必要がありますが、冷凍餃子は家庭の冷凍庫に常備され、日常的に消費されます。同じ顧客が繰り返し購入する構造を作れるのです。大阪王将が物販に力を入れたのは、外食の制約を越えて事業を広げる手段として、物販が大きな可能性を持っていたからです。 ### 冷凍食品市場の拡大も追い風になった 大阪王将の物販戦略は、冷凍食品市場そのものの拡大とも合致しています。共働き世帯の増加、時短ニーズ、冷凍技術の向上により、冷凍食品は妥協して選ぶものから、便利でおいしい日常食へと位置づけが変わりました。市場全体が伸びる局面では、後発でもシェアを取りやすくなります。 特に冷凍餃子は、主菜にも副菜にもなり、冷凍庫に常備しやすい商品です。大阪王将は、この生活者の変化に合わせて、店舗の味を家庭で手軽に食べられる商品として冷凍餃子を伸ばしてきたと考えられます。企業努力だけでなく、市場環境を読んだ戦略が、物販の成長を後押ししました。 ### 市場首位を獲得した冷凍餃子 大阪王将の冷凍餃子は、市場で確かな成果を上げています。主力商品である「大阪王将 羽根つき餃子」シリーズの売上は、2015年の約27億円から約183億円へと成長しました。10年で678%という伸びです。今期はさらに約197億円の売上を見込んでいます。冷凍餃子市場では2年連続で首位となり、市場購買金額シェアは36.2%に達しています(インテージSCI、15〜79歳、2024年3月〜2025年2月、焼き餃子・水餃子市場)。 後発ながらトップシェアに立てた要因は、明確な差別化にあります。「油いらず・水いらず・フタいらず」という調理の手軽さで、家庭での失敗を減らしました。同時に、外食ブランドとして蓄積してきた味づくりの知見を活かし、家庭用冷凍食品としての満足度を高めています。手軽さと美味しさの両立が、繰り返し選ばれる理由になっています。 冷凍餃子市場には、もともと大手食品メーカーが存在していました。後から参入する企業にとっては、簡単に割り込める市場ではありません。それでも大阪王将が首位に立てたのは、複数の商品ラインに広げず、冷凍餃子という一点に集中して勝負したからです。経営資源を分散させず、看板である餃子で明確な強みを作る戦略が、後発でのシェア獲得を可能にしました。 市場での評価は、商品の改良を続ける姿勢にも支えられています。主力の羽根つき餃子は、たれのリニューアルなど継続的に手を加えられています。一度ヒットした商品に安住せず、味を磨き続けることが、首位を維持する力になっています。 ### 製造力が支える供給と品質 物販戦略の土台にあるのが、製造の内製化です。同社は外食ブランドで培った味づくりの知見を、食品事業の冷凍餃子づくりに活かしています。店で評価された味を、家庭用商品として展開できる点が強みです。 生産量が増えれば、製造の効率は高めやすくなります。規模の経済が働き、コスト面で優位に立てるのです。さらに同社は新工場の建設や生産能力の増強にも投資しており、需要の拡大に生産で応える体制を整えています。 製造機能を持つことは、物販の強さにつながります。自社で品質管理や生産体制を整えやすくなるため、味の再現性、供給力、コスト管理の面で優位性を作りやすくなります。 内製化には、品質管理の面でも大きな利点があります。製造を外部に委託すると、味や品質のばらつきが生まれやすくなります。自社で一貫して作ることで、店の味を家庭で再現するという出発点を、確実に守れます。取引先からも、味の良さで安心して仕入れられると評価されており、品質への信頼が販路の拡大を後押ししています。 生産能力への投資も続いています。需要の拡大に対応するため、新たな工場の建設や既存工場の能力増強を進めています。物販で勝つには、売れる商品を作るだけでなく、増える需要に供給で応え続ける力が欠かせません。製造への継続的な投資が、物販事業の成長を下支えしています。 ### 店舗がブランドの信頼を支える 物販を主役に据える戦略でも、店舗の存在は重要です。店舗は、ブランドの味と信頼を保証する役割を果たしています。スーパーで冷凍餃子を手に取る人にとって、全国にある店舗の存在は安心材料になります。聞いたことのない無名ブランドではなく、店で食べたことのある、あるいは看板を見たことのあるブランドだからこそ、家庭でも選ばれやすくなります。 店舗で味を知った人がスーパーで商品を手に取り、家庭で親しんだ人が店舗を認知する。この循環は、物販を中心に据えたときには、店舗が物販の信頼を支える構造として働きます。店舗は単独の収益源であると同時に、巨大な物販事業のブランド基盤にもなっているのです。 店舗がブランドの味を保証 ↓ スーパーで冷凍餃子を購入 ↓ 家庭で繰り返し食べる ↓ 物販がブランドを生活に定着 ### 棚を取る力が物販ブランドを成長させる 冷凍食品の物販では、消費者に選ばれる前に、まず小売店や卸に選ばれる必要があります。スーパーの冷凍食品売り場には限られた棚しかなく、売れ筋商品でなければ継続的に置いてもらえません。物販は消費者向けのブランドであると同時に、棚を確保するための取引先向けの勝負でもあるのです。 大阪王将の羽根つき餃子が強いのは、ブランド認知、調理の簡便性、販売実績、供給体制がそろっているためです。小売店にとって、売れる見込みが立ち、安定して供給される商品は扱いやすいものです。取引先からも味の良さで安心して仕入れられると評価されており、この信頼が棚の確保につながっています。消費者向けのブランド力だけでなく、小売店側が売れる商品と判断しやすい条件を満たしている点が、物販戦略の重要なポイントです。 ### 家庭内ストック商品としての強さ 冷凍餃子の強さは、家庭内にストックされる点にもあります。外食は来店した瞬間に消費されますが、冷凍食品は冷凍庫の中に残り、忙しい日や献立に迷った日に思い出されます。これは、ブランドが家庭内の意思決定に入り込むということです。 大阪王将の物販戦略は、店舗での一回の食事ではなく、家庭の食卓に繰り返し登場する接点を作った点に価値があります。冷凍庫に常備されることで、今日はこれでいいかと選ばれる機会が日常的に生まれます。買った瞬間だけでなく、その後の家庭内での出番までを見据えることが、リピートを生む物販ブランドの考え方です。 ### 販路と商品の広がり 大阪王将の物販は、スーパーや生協への卸売りにとどまりません。コンビニ向けの監修商品や、業務用、常温の調味料商品など、複数の販路へ広がっています。大手コンビニに監修メニューを供給するなど、自社ブランドの枠を越えた展開も進めています。 商品の幅も広げています。主力の羽根つき餃子や水餃子に加え、ひと口サイズの餃子や中華のワンプレート商品など、用途に応じた新商品を投入しています。同社は長期目標として、餃子だけでなく中華カテゴリー全体での市場首位を掲げており、物販を軸にした事業拡大を進めています。 コンビニ向けの監修商品は、ブランドの認知を広げる役割も果たします。コンビニは多くの人が日常的に立ち寄る場所です。そこに大阪王将の名前を冠したメニューが並ぶことで、冷凍餃子を買ったことがない層にもブランドが伝わります。販路を広げることが、そのまま新たな顧客との出会いを生む仕組みになっています。物販は単なる売り先の拡大ではなく、ブランドを社会に浸透させる手段にもなっているのです。 ## 4P分析で読み解くマーケティングミックス 4P分析とは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)の4つの視点でマーケティング施策を整理するフレームワークです。大阪王将の施策を、この4つに当てはめて見ていきます。 ### Product 製品 大阪王将の物販における製品の核は、家庭用の冷凍餃子です。主力の羽根つき餃子や水餃子を軸に、商品群を展開しています。製品設計の出発点は、店の味を家庭で再現することです。外食で培った味づくりのノウハウを活かし、本格的な味を家庭で楽しめるようにしています。 「油いらず・水いらず・フタいらず」という仕様は、製品の大きな価値です。家庭での調理の失敗を減らし、誰でも本格的な仕上がりを得られます。さらに、主力商品も改良を続けており、たれのリニューアルなど継続的に品質を高めています。ひと口サイズの餃子や中華ワンプレートなど、用途を広げる新商品も投入しています。 ### Price 価格 冷凍餃子は、日常的に手が出せる価格帯で提供されています。スーパーの冷凍食品売り場で繰り返し購入される商品だからこそ、手頃さが重要です。 ここで効いてくるのが、製造の内製化です。生産を自社で担い、生産量の増加で規模の経済を働かせることで、コスト面の優位を保ちやすくなります。これにより、手頃な価格を維持しながら品質を保つことが可能になります。また同社は適切なタイミングで価格改定も実施し、収益の改善にもつなげています。価格戦略と製造戦略が密接につながっている点が特徴です。 ### Place 流通 物販の流通チャネルの広さは、大阪王将の大きな強みです。スーパーや生協などの量販店を主力としつつ、コンビニ向けの監修商品や業務用、常温商品など、複数の販路に広げています。 チャネルを広げることで、顧客が餃子や中華を食べたいと思うあらゆる場面に、大阪王将の商品が入り込む状態を作っています。スーパーで冷凍餃子を、コンビニで監修メニューをと、生活の中の複数の接点で商品に出会える設計です。販路の多さが、物販事業の成長を支えています。 販路主な商品 スーパー・生協家庭用の冷凍餃子 コンビニ監修メニュー・コラボ商品 業務用・常温業務用商品・調味料 ### Promotion 販促 販促面では、デジタルを活用した顧客との接点づくりが進んでいます。代表例が、LINEを通じた簡単レシピの配信です。冷凍餃子を使ったアレンジや、家庭で作れる中華メニューのレシピを届けることで、商品の使い方を広げています。 レシピの配信には、いくつかのねらいがあります。まず、冷凍餃子の利用頻度を高める効果です。使い方の提案があれば、餃子をそのまま焼く以外の楽しみ方が増え、購入回数につながります。次に、ブランドとの継続的な接点です。LINEでつながることで、日常的にブランドを思い出してもらえます。商品を売って終わりではなく、買った後の体験まで設計している点が、物販ブランドとしての強さを生んでいます。 物販には、外食にはない難しさがあります。スーパーで商品を買った顧客が、その後どう使っているかは見えにくいからです。店舗であれば、来店した顧客の反応を直接知ることができます。物販ではその接点が途切れがちです。LINEのレシピ配信は、この見えない購入後の体験に踏み込む手段です。家庭での消費を後押しすることで、リピート購入を促し、棚から選ばれ続けるブランドを育てています。 大阪王将のLINEレシピ配信はこちらから確認できます:[大阪王将 公式レシピページ](https://www.eat-and.jp/foods/recipe/?utm_source=sns&utm_medium=line&utm_campaign=line_profile) ## モデルケースから学ぶ応用の視点 大阪王将の物販戦略は、規模の大きな企業の話に見えるかもしれません。しかし、その考え方は中小企業にも応用できます。ここでは、どんな事業者に活かせるかを整理します。 ### 看板メニューを物販化する飲食店 店舗を持つ飲食店が、看板メニューを商品化して物販に広げる発想です。人気のソースやタレ、冷凍商品を作り、店頭やオンライン、地域のスーパーで販売します。店舗の商圏には限りがありますが、物販なら商圏を越えて全国の家庭に届けられます。店舗で得た味の評価を、そのまま物販の信頼につなげられるのが強みです。 ポイントは、店の味を再現することです。家庭用が店舗の味とかけ離れていると、かえってブランドを損ないます。大阪王将が「店の味の再現」を出発点にしたように、味の一貫性を保つことが、物販で選ばれ続ける条件になります。 ### 製造や仕入れを強みに変える事業者 大阪王将の物販の強さは、内製化による品質管理と供給力にあります。製造や仕入れの基盤を持つ事業者なら、この発想を応用できます。生産量を増やして規模の経済を働かせ、品質を保ちながら供給力を高める考え方です。 一度に複数の販路へ供給できれば、生産効率はさらに上がります。自社の店舗用と物販用をまとめて作る、あるいは複数の取引先へ供給するなど、製造や仕入れの規模を活かす設計が、安定した供給と品質につながります。 ### 中小企業が物販化で失敗しないための注意点 中小企業が看板メニューを物販化する場合、最初から全国流通を狙う必要はありません。まずは店頭販売、地域イベント、EC、近隣スーパーへの小ロット展開など、管理しやすい販路から始める方が現実的です。販路を広げるのは、商品が売れる手応えをつかんでからでも遅くありません。 特に食品では、味の再現性だけでなく、賞味期限、保存方法、原材料表示、アレルゲン表示、製造許可、物流コストまで設計する必要があります。これらを後回しにすると、販売の段階でつまずきます。大阪王将のような大規模な製造体制を持たない事業者ほど、商品化の前に、どこで作るか、どこで売るか、何日持つかを決めることが重要です。物販化はメニューを商品に変える作業であり、店舗運営とは別の知識が求められる点を押さえておく必要があります。 中小企業が応用できる3つの視点 - 看板商品を物販化し、店舗の商圏を越えて届ける - 店の味を再現し、物販でも味の一貫性を保つ - 賞味期限や表示義務など、商品化の実務を先に設計する ## まとめ 大阪王将のマーケティングは、外食をルーツに持ちながら冷凍餃子の物販で市場首位を勝ち取った点に本質があります。STP分析で見ると、家庭での内食市場を主戦場に選び、お店の味を家庭で再現する冷凍餃子という独自のポジションを確立しています。 物販戦略では、「油いらず・水いらず・フタいらず」の手軽さと本格的な味で差別化し、冷凍餃子市場で2年連続首位を獲得しました。製造の内製化と供給力がそれを支え、店舗がブランドの信頼を保証する基盤として機能しています。 4P分析で見ても、店の味を再現する製品、製造力に支えられた手頃な価格、スーパーからコンビニまで広がる販路、LINEレシピなどの販促が、物販を軸にかみ合っています。これらは規模の大小を問わず、中小企業の商品設計や販路拡大に応用できる視点です。看板商品を店舗の外へ届ける発想が、事業を広げる第一歩になります。自社の強みがどこにあるかを見極め、それを店舗以外の形でどう届けられるかを考えることが、物販を成功させる出発点になります。