居抜き物件とは?飲食店はデメリットを理解して選択するべき
飲食店を経営する上で、居抜き物件は魅力的です。それは、居抜き物件を使うことで、初期費用を抑えることができる上、開業までの期間を短縮することができるからです。
ただし、居抜き物件は、以前も飲食店であったため、閉業に至った経緯が、その地域性に影響するものであれば、以前の飲食店と同じ失敗をしてしまう可能性があります。
居抜き物件とは?
居抜き物件とは、以前に入っていたテナントの設備がそのまま残っている物件のことです。
通常の賃貸借契約では、契約解除時に、元の状態に戻す原状回復工事をする必要があります。しかし、この契約を第三者が引き継いだり、店舗を使用する権利を第三者に貸し出す形で、設備を残すことができます。
飲食店が居抜き物件を使うメリット
通常飲食店を開業する際には、物件を確保したのちに、営業ができるように改装をしなければなりません。また、改装も自由にできるわけではなく、営業許可が降りるような作りにしなければならず、実際開業できるまでに費用や時間もかかります。
居抜き物件は、過去に営業許可が過去に降りている物件です。そのため、工事を最小限に抑えることができ、開業までにかかる費用を抑え、時間も短縮することができます。
飲食店が居抜き物件を使うデメリット
居抜き物件を使う際は、デメリットを考慮する必要性があります。それは、以前の店舗が撤退を選択していることです。状態が良い店舗ほど、解決しがたい問題を理由に撤退していると考えられます。
特に以下の点は考慮する必要があるでしょう。
①地域性の問題
飲食店の主な顧客は、その店舗の近隣を行動圏にしている人たちです。その人たちの習慣や外食にかけることができる予算次第で、来店頻度や顧客単価の設定が決まります。
実際にあった例では、安い単価の飲食店が並ぶビジネス街に、ふぐを出すお店がありました。その地域の会社の平均給与は、他の地域よりも低いとされており、安い居酒屋を梯子するようなサラリーマンが多かったそうです。当然、想定していた顧客単価では勝負ができないため、客質を上げる施策をさまざま考えましたが、移転以外の選択肢はありませんでした。
②広告規制の問題
次に考えられるのは、広告規制です。テナントの中には、条例をはじめ、看板規制が厳しい地域もあります。
例えば、立地の良いテナントでも、空中店舗なのに看板を出せないテナントもあります。そのため、路面には人通りが多くても、階段を上がってくるまでには至らず、集客が困難である結果、退店をしてしまったというケースもあります。
この場合は、グルメサイトやSNS、MEOなどに力を入れる必要があります。階段を登らせるためのコストもかかります。集客にかかる費用と比較する必要はあります。
③スタッフ採用の問題
繁華街ほど、慢性的に人手不足になっている飲食店は多いです。そのため、アルバイト募集の相場が他よりも高騰していることは珍しいことではありません。すぐに人を増やすためには、相場よりも明白に高い時給を出す必要があり、FLコストが高くなり、経営がうまく行かなくなります。
対策としては、モバイルオーダーを導入したり、カウンターの割合を高めた店舗にします。
④賃貸条件の変化による退店
家賃が高くなったり、権利の条件が変化することで、その店舗では経営が成り立たない条件が増えたことで撤退、もしくは、条件の良い近隣の店舗に移転を決めることもよくある話です。
まとめ
居抜き物件は、出店までにかかる費用を抑えることができ、時間を短縮することができます。ただし、魅力的なことだけではなく、以前の店舗が退店した理由を知らずにいると、立地に重大な問題を抱えていた時は、その問題に自店舗も直面することになります。
居抜き物件を探す時は、その商圏性や賃貸契約の詳細な部分まで確認をし、客観的に判断して自然に集客ができそうかで判断します。理想の居抜き物件に出会えることは、ほぼないと思われますが、感覚で決めず、基準を設けて選ぶようにしましょう。
最終更新日 2024年12月3日