飲食店で売上アップをするためには、客数を増やす以外にも重要な要素がいくつもあります。ここでは、飲食店の売上を伸ばすために必要な考え方について紹介したいと思います。
飲食店の月商の目安とは?

売上アップの対策といっても無尽蔵に行うものではありません。そのため、まずは目標になる売上を設定します。
一番活用されているのは、坪あたりの売上を目安にする方法です。特に客席数の少ない飲食店では活用されています。いわゆる採算のとれる店舗は、坪月商が15万円〜20万円であり、繁盛店では30万円を超えるとされています。
飲食店の適切な経費の割合では、家賃は月商の10%程度に押さえると良いとされています。つまり、家賃が60万円の店舗であれば、目標月商は600万円となります。都心部ほど家賃は高くなり、目標売上もそれに伴って大きくなります。
飲食店の売上を伸ばす考え方とは?
どうすれば売上を伸ばすことができるでしょうか?その方法を具体化するためには、売上を伸ばすための要素に分解して考えます。
年商 = 客数×年間LTV
年間LTVとは、1人あたりの売上のことで、顧客単価と1年間の来店頻度を掛けた指標です。年間LTVが高いと、顧客を集客すればするほど売上の上げ幅が大きいです。月商で考えると見えない指標ですが、年間LTVを可能な限り最大化しないと新規の集客にいくら広告費をかけても売上が上がりません。
年間LTVは、顧客単価を上げるか1年以内の平均来店頻度を上げるかのどちらかになります。顧客単価が安いランチが主体の飲食店では顧客単価を上げる方が簡単です。顧客単価が高めのレストランでは、極端な話年間の来店回数を1回ずつ増やせば良いでしょう。
年間LTVは、月商で考えると見えなかったリピーター対策の重要性を示したものです。新規の集客と同時に行うことで、収益力が高い状態で客数を増やし、売上アップをします。
月商=(月曜日の売上+火曜日の売上+….. +日曜日の売上)×4週間
店舗ビジネスの宿命として、客数が多い曜日と少ない曜日があります。例えば、ビジネス街では、平日はサラリーマンで賑わいますが、休日は閑散とします。住宅街では、平日は閑散としますが、休日は賑わいます。
つまり、営業日とひとまとめにされがちですが、人流により曜日ごとに売上には差があります。
月商を上げるためには、曜日ごとの人流に合わせたサービスを提供するのが良いでしょう。例えば、平日はサラリーマン向け、休日は個人の記念日向けにサービスを提供することを考えます。
月商=(ランチの売上+19時からの売上+21時からの売上)×営業日数
例えば、ビジネス街では、終業後の7時〜、9時〜で客入りに差が出ることがあります。特に客入りが少ない曜日・時間・顧客単価を把握することで、特に成績の悪い時間帯は限定的な割引を実行するなどの対応を実施することができます。
都心部での時短が特に居酒屋に打撃的な影響を与えた原因でもあります。リモートワークによる人流が減ったこともありますが、18時半などに就業する企業も多いですので、酒類の提供が19時までではそもそも予約が入りません。
月商=坪月商×坪面積
坪月商を15万円以上になるように調整することが重要です。これには、坪あたりの客席数を増やすこと、回転数を上げること、顧客単価を上げることで実現します。
しかし、新型コロナ禍では、感染症対策を店側に求める顧客も多く、飲食店に独自の感染症対策のガイドラインの遵守を求められている状況です。この場合は、坪あたりの客席数を増やすことはできませんので、必然的に回転数と顧客単価の対策を実施することになります。
月商=営業日数×(0.7×天候の良い日の売上+0.3×天候の悪い日の売上)
日本では1年の30%が天候不良です。予約制を持たない飲食店では、天候が良い日と天候不良の日では売上に差があります。この差が大きければ、天候不良の日の売上を捨てていることになります。
天候不良の日は、人流自体には変化がありません。そのため、売上が悪い曜日と同じ対策ではなく、同じ対象に喜ばれる付加価値を用意し、LINEやメールで即座に連絡がつけられる状態を作っておきましょう。
また、予約制およびキャンセル料の取り決めを行っておくと、天候不良の日でも安定した売上を作ることができます。
売上高=組×組単価=取引回数×平均組人数×組単価
お客様は一人で来店するわけではなく、複数人数の組で来店します。集客コストは何人の組であっても大差がありませんので、人数が多いほど利益率も高くなるため、できる限り大人数の宴会の予約を獲得し、売上を伸ばすのが良いです。
FAXDMや企業への挨拶回りを行いB2B営業によって、組人数の多い予約を獲得していきます。
売上の要素を紹介してきましたが、まとめると以下のようになります。
- 客数を増やす。(坪あたりの客席数を増やす)
- 年間LTVを向上させる。
- 曜日ごとの売上対策をする。
- 時間ごとの売上対策を行う。
- 天候不良の日の対策を行う。
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新規の集客は、「飲食店を探す」という行動に対応した広告戦略が必要です。飲食店予約システムのテーブルチェックの調査では、飲食店を探す時に、グルメサイトやGoogle検索が活用される割合が高いとされており、検索されることが新規の集客に重要であることを物語っています。

年間LTVの向上には、平均顧客単価を上げること、来店頻度を高めるのどちらかが選択されるわけですが、一番簡単なのは、平均して年間の来店回数を1回増やすことです。
これには来店動機になる情報を定期的に配信すればよく、いわゆるプッシュ型の広告と呼ばれるメール、LINE、アプリのメッセージ配信可能件数がかなり影響してきます。
そして、何より大事にしたいことは、入店時と退店時の気持ちの変化です。この時に来てよかったと思っていれば、次回の来店につながる可能性がありますので、人当たりの良い配慮のある接客が年間LTVの向上に直接影響します。

人流の違いで、平日と休日とでは街並みが異なります。そのため、いつも同じターゲティングを行うのは無理があり、その曜日の人並に合わせたサービスの提供を実施します。
例えば、平日ではサラリーマンが多いビジネス街では、休日は閑散としています。近くに繁華街があれば、家族連れやカップルなどが多くなる傾向があります。
そのため、平日は飲み放題などのコスパの良い宴会コースを主軸にし、休日は家族のお祝いやお食事でも利用しやすいようなメニューを豊富に用意するといったやり方があります。
夜も浅い時間であれば、お食事と酒類の提供がバランスよくできるのですが、深くなるに連れ2軒目、3軒目となっていきます。
1軒目の感覚で夜の時間帯の予約をすることは考えづらく、立地によっては全くディナーが回転しません。そのため、2軒目用のプランを用意したり、軽い感覚で注文できる単品メニューを増やすのが効果的です。
天候が悪く客入りが悪くなる予測をした段階での対策になるため、重要なのはお客様への連絡の早さになります。そのため、こちらでもプッシュ型の広告の発信力が重要視されます。
また、雨の日でも来店してもらえるようなオファーを用意するのはかなり難易度が高いです。そのため、雨の日にもかかわらず来店してくれたお客様に次回使えるクーポンを配布するなどの対策は考えられます。
まとめ
飲食店の売上アップの要素を紹介していきました。
売上アップは集客のみ、客席×客席稼働率×顧客単価×回転率×営業日数だけで把握していると、それ以外の要素が見えづらくなり、的確な対応ができなくなります。また、チラシのクオリティーなど小さな部分が気になってしまい、
要素分解を行い、大局で指標管理をしていきます。また、飲食店の機動力は、プッシュ型の広告の配信可能件数でもあります。そのため、メルマガ、LINE、アプリの合計登録件数を増やす対策は外せません。