グルメサイト・グルメアプリは、飲食店で予約を獲得する上では欠かせない集客の場となっております。特に、ディナータイムの予約では、グルメアプリを使って検索されるケースが多くなります。
ただし、グルメサイト・グルメアプリは他の店舗型の業態に比較してもサービス数が多いことが特徴的です。そこでグルメサイト・グルメアプリの違いについて紹介したいと思います。
グルメサイトの現状は?
テーブルチェックの調査では、飲食店を検索するために頻繁に利用する手段として、7割程度がグルメサイトを活用すると答えています。これは、1回目の調査の78.9%から減少傾向にありますが、それでも飲食店を検索する方法としては手堅い検索方法となっています。
グルメサイトは他の業種に比べると、参入事業者が多い予約サイトでもあります。しかし、よくWEB予約に活用されるのは、食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメといったいわゆる三大大手に集中しています。
グルメサイト・グルメアプリの特徴とは?
グルメサイト・グルメアプリは、それぞれのサービスが獲得したユーザーに対して予約や来店に誘導するサービスです。
ほとんどのサービスでは、モバイルが主体になっています。それもよく分かる話で、ふと飲みたくなった時に、周囲の店舗を探すことが多くなるため、必然的にスマホアプリかモバイルでウェブを開く頻度が高くなります。
飲食店がグルメサイトを活用する理由は、ほぼ新規顧客の獲得だと思います。グルメサイト・グルメアプリでお店を探すのは、様々な条件での検索です。
例えば、スマホで食べログを開くと、現在地の情報や空席ありの情報から近隣の店舗を探す検索のほかに、エリア・駅と店名・ジャンルの掛け合わせ検索をするように促されます。
ホットペッパーグルメでは、エリアを指定した上で、都道府県を指定した上で、日付、エリア、現在地、クーポンなどの情報で検索を行うことができます。
それぞれのグルメサイト・グルメアプリの集客力では、アプリのダウンロード数、Googleなどの検索エンジンからの流入数の他に、有料会員制度があることがあります。
ぐるなびでは、プレミアム会員サービスが月額330円で提供されています。このサービスに登録すると、ぐるなびポイントや楽天ポイントが通常時の2倍になるため、宴会の幹事を常時行っている人にとっては、お得なサービスになります。さらには、ネット予約の代金の10%が還元されるプレミアムプラン、人気店の空席情報をお知らせしてくれるウエイティングサービス、要望にあったお店の提案を受けることができるコンシェルジュサービスがあります。
食べログでも月額330円で割引率の高いプレミアムクーポンやランキング検索を有効にすることができます。
グルメサイトの特徴はWeb予約されやすいことにあります。Web予約のメリットは、電話を受けることなく予約が入るので、スタッフの負担を軽減できることにあります。
グルメサイトではWeb予約されやすい理由としては、送客手数料があります。つまり、Web予約が成立した方が収益が上がるため、各種グルメサイト・グルメアプリ事業者は、Web予約が入る効率を最適化することに躍起になっていることになります。
従量課金制であるため、月額固定費+送客手数料もしくは、Web予約されたコース料金の合計の8%が月々かかります。
オーガニックトラフィックとは、検索エンジン経由のアクセス数の指標です。各媒体のGoogle検索からのオーガニックトラフィックをSERankingで計測しました。これは、Google検索も飲食店を探すための手段として確立しているため、各社のWeb媒体の集客力に影響するからです。
ドメイン | https://tabelog.com/ |
オーガニックトラフィック | 3,500万 |
ポイント | Tポイント |
国内最大のグルメサイト・グルメアプリであり、口コミサイトとしても代表格です。
2020年12月の月間利用者数は1億1113万人であり、月間PV数は15億5626万PVです。ユーザー層は、PCでは、40代〜50代の男性が多く、スマホでは全年齢の男女が満遍なく利用しています。(媒体資料より)
これは、食べログはGoogle検索で常に上位表示している影響があります。
ポイントはTポイントであり、比較的食にこだわる人が多いことも特徴の一つとして挙げられます。
プランは、ライトプランS、ベーシックプランS、プレミアム5プランS、プレミアム10プランSがあります。
仕組みとして重要なのは、アクセスアップ機能です。この機能がなければ、競争が発生している飲み屋街では検索で上位表示されることがないため、新規顧客の集客は不可能です。この機能は、ベーシックプランSからのサービスになります。
また、いわゆる今すぐ客の多いディナータイムの営業時間での表示は、ゴールデンタイム強化機能にあります。すぐに予約対応ができる店舗ではこのサービスが対応しているプレミアムプランを活用する選択肢もあります。
送客手数料は、ディナータイムで220円、ランチタイムは110円であり、それぞれ食事をする人数にかかってきます。(赤ちゃんなど食事を伴わない席予約は除外になりました。)
ドメイン | https://gnvi.co.jp/ |
オーガニックトラフィック | 890万 |
ポイント | ぐるなびポイント、楽天ポイント |
ぐるなびは楽天と提携しており、GoogleマイビジネスやInstagramの予約システムとしても活用することができるサービスです。
2021年3月の段階では、楽天ID連携会員数は294万人であり右肩上がりであることから、楽天関連サービスとの連携がぐるなびの集客力を下支えしていることがわかります。月間ユニークユーザー数は、5,600万人です。
主なユーザーとしては、30代〜40代が全体の54.6%を占めており、性別も若干ですが、男性が多いです。これも、業態別の加盟店割合で、26%が和食、36%が居酒屋であることが影響していると考えられます。この関係で、Google検索をすると、特に東日本の地域では居酒屋関連のキーワードではぐるなびが上位に表示されています。
ぐるなびは、無料掲載の他に、ベーシックプラン(33,000円)とライトプラン(11,000円)があります。Web予約の送客手数料はランチ10円〜40円、ディナーは50円〜200円と選択することができます。ベーシックプランの方が優位性があり、送客手数料を100円または200円で選択すると、特設ページに掲載される仕組みを採用しています。
ドメイン | https://hotpepper.jp/ |
オーガニックトラフィック | 862万 |
ポイント | Pontaポイント dポイント |
ホットペッパーグルメは、美容業の予約サイトで独占しているホットペッパービューティーの飲食業版です。
ホットペッパーグルメの特徴は、20代女性に強く、そもそもがクーポン誌であったことから、顧客単価が低めの加盟店が他の媒体よりも多いのが特徴です。
ポイントは、Pontaポイント、dポイントで選択することができます。
グルメサイト・グルメアプリというよりは、集客代行サービスの要素も強く、屋号などでリスティング広告もセットになっています。
政令指定都市では、食べログよりも集客力が高いですが、その分他のグルメサイトよりも月額固定費用が基本的に高額でもあります。
検索順位は、プラン順、誌面などへの広告の出稿の有無で異なります。地域によって月額固定費が異なり、また誌面の取り扱いのある地域ではプランのセット売りがされていることもあります。送客手数料は、50円と安めに設定されています。
予約されたコースの売上に対しての成果報酬制のサービスであり、利用料金がかからないグルメサイトです。いわゆる高級店のみが登録できるサービスで、登録には審査が必要です。
グルメサイト・グルメアプリの選び方
グルメサイト・グルメアプリを活用する上では、新規顧客が獲得できないと意味がありません。
グルメサイト・グルメアプリの集客力が高い上で、検索で上位にも表示されるということが最低限の選択となります。
その上で重要なのは、送客手数料です。ほとんどが集客人数もしくは売上に連動している変動費が発生しているため、この費用を支払っても赤字にならない顧客単価で勝負していることが大前提になります。
例えば、顧客単価が3,000円の店舗では、送客手数料が220円ならば、7.3%送客手数料が50円ならば、1.7%です。
これに月額固定費が別途かかりますが、集客が多いほど固定費の割合は低くなっていきます。
いわゆる販促費の割合は、3〜5%程度と言われているため、3,000円では、送客手数料だけで予算のかけすぎになります。
客数重視の席数が多い居酒屋ではホットペッパーグルメに投資されているのは送客手数料が理由です。それに対し、顧客単価が高い高級店では、送客手数料はそこまで重視せずに、集客力のある媒体で上位表示することを優先するべきです。
脱グルメサイト・グルメアプリを目指すべきか?
特定のグルメサイト・グルメアプリの利用料金の高さで考えるのはナンセンスです。
飲食店では、固定費を捻出するために、安定的な売上を上げることが必要です。果たして、ほかの広告運用やSNSだけで安定した客数を獲得できるかと言われると、客席数が多いほどそれも難しくなります。
また、グルメサイトの役割は、Web予約を可能にしていることもあります。Web予約は、人件費の削減にも直接繋がりますし、デジタルマーケティングを活用する上ではないと困ると思います。
また、経験上、販促費を単一の媒体に突っ込むというのは回避した方が良いです。グルメサイトの利用には季節性がありますし、加盟店の増減により集客が安定しなくなるからです。集客が弱っている時に活用できる販促費がないと何もできなくなります。